ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

熊井明子『シェイクスピアに出会う旅』

おはようございます、ゆまコロです。 熊井明子『シェイクスピアに出会う旅』を読みました。 シェイクスピア研究者である熊井先生が、イギリスで体験したことや、執筆や研究の過程で出会った人のことを綴ったエッセイです。 鷹狩りを見たときの話と、『ウィン…

かどのえいこ『ルイジンニョ少年 ブラジルを訪ねて』

おはようございます、ゆまコロです。 かどのえいこ『ルイジンニョ少年 ブラジルを訪ねて』を読みました。 かどのえいこ先生がブラジルで暮らしていたことがあることは知っていたけど、なぜブラジルに行ったのだろうか?と思っていましたが、この本の「復刻版…

ボリス・ヴィアン『日々の泡』

おはようございます、ゆまコロです。 ボリス・ヴィアン、曾根元吉(訳)『日々の泡』を読みました。 パリに暮らす若者たちのお話です。 小説なのですが、主人公がハツカネズミと意思疎通ができたりと、幻想的な出来事が次々と起こります。 登場人物はこんな…

メスキータ展に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。 東京ステーションギャラリーにて開催中のメスキータ展に行ってきました。 サミュ工ル・イェスルン・デ・メスキータ(1868-1944)は、アムステルダム生まれのユダヤ系オランダ人です。建築を学び、その後美術の世界に転じ…

エドワード・ブルワー=リットン『ポンペイ最後の日』

おはようございます、ゆまコロです。 エドワード・ブルワー=リットン、篠原雅之・藤原一生(訳)『ポンペイ最後の日』を読みました。 1834年にイギリスで発表されたこのお話の舞台は、西暦79年のローマ帝国ポンペイです。ポンペイはベズビオ火山爆発で、地…

ジョージ・エリオット『サイラス=マーナー』

おはようございます、ゆまコロです。 ジョージ・エリオット、工藤好美・淀川郁子(訳)『サイラス=マーナー』を読みました。 因果応報という道徳性と、子どもを育てることで育まれる愛情がテーマになっています。 作中ではいろいろなことが起こり、また書かれ…

シャーロット・ブロンテ『ジェイン=エア』

おはようございます、ゆまコロです。 シャーロット・ブロンテ、上田健次郎(訳)『ジェイン=エア』を読みました。 イギリスの小説家・ブロンテ姉妹の長姉の作品です。 (彼女は三女ですが、長女・次女は11歳と10歳で亡くなっています。) 孤児だったジェインが…

チャールズ・キングズリー『水の子トム』

おはようございます、ゆまコロです。 チャールズ・キングズリー、酒井朝彦(訳)『水の子トム』を読みました。 イギリスの牧師さんが書いた童話です。 母はこの話を子供の頃読んで、とても面白かったので印象に残っていると言っていたのですが、現代においてこ…

ロバート・バランタイン『名犬クルーソー』

おはようございます、ゆまコロです。 ロバート・バランタイン、白木茂(訳)、藤原一生(文)『名犬クルーソー』を読みました。 文学全集のイギリス編の中に収録されていたお話です。書かれたのは1860~1861年ころとのこと。 なのですが、読んでいると物語では馬…

瀬尾まいこ『幸福な食卓』

おはようございます、ゆまコロです。 瀬尾まいこ『幸福な食卓』を読みました。 著者のファンである友人に貸してもらいました。 好きな場面は、主人公・佐和子さんとその彼氏が一緒に帰るシーンでのこの会話です。 「この自転車を押して帰る俺と、迎えに来て…

舞城王太郎『阿修羅ガール』

おはようございます、ゆまコロです。 舞城王太郎『阿修羅ガール』を読みました。 二部の森の話が恐くて、電車の中で声が出そうになりました。 「あのねアイコ、好きな人の名前を訊かれてクエスチョンマーク付きで答えてるうちは全部間違いなのよ。愛ってのは…

マーク・ストランド『犬の人生』

おはようございます、ゆまコロです。 マーク・ストランド、村上春樹(訳)『犬の人生』を読みました。 ピューリッツァー賞詩部門を受賞された作者の短編集です。 好きな話はいくつかあるのですが、特に好きなのは、たくさんの美しい出会いの話「真実の愛」で…

角野栄子『ファンタジーが生まれるとき 「魔女の宅急便」とわたし』

おはようございます、ゆまコロです。 角野栄子『ファンタジーが生まれるとき 「魔女の宅急便」とわたし』を読みました。 角野栄子さんはとても好きな作家さんです。 この本からは、彼女の創作に対する姿勢や、日本語を大切にしている様子が伝わってきます。 …

整理整頓できない女、荷造りを真剣に考える。

おはようございます、ゆまコロです。 旅行が好きなのですが、旅行の荷物整理が苦手です。出発前も着いてからの夜も、カバンのあっちを開けたりこっちを開けたり、年中荷物を探しています。当然いつも大荷物です。おまけに忘れ物も多いです。(家から持ってく…

皆川ゆか『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』

おはようございます、ゆまコロです。 皆川ゆか、矢立肇・富野由悠季(原作)『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』を読みました。 自分の住んでいる国で、戦争や紛争が起こったらどうしよう、ということを、小さな頃から考えたり、不安になったりするこ…

ベン・ライス『ポビーとディンガン』

おはようございます、ゆまコロです。 ベン・ライス、雨海弘美(訳)『ポビーとディンガン』を読みました。 あらすじはこんな感じです。 「アシュモル・ウィリアムソンの妹、ケリーアンには、「特別な人にしか見えない」友達がいた。ポビーとディンガン。アシ…

デーヴ・グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』

おはようございます、ゆまコロです。 デーヴ・グロスマン、安原和見(訳)『戦争における「人殺し」の心理学』を読みました。 作者はアメリカの陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授でもある陸軍中佐です。 「なぜ人は人と戦い、殺すのか」ということを、心理学…

あさのあつこ『透明な旅路と』

おはようございます、ゆまコロです。 あさのあつこ『透明な旅路と』を読みました。 あさの作品にしては孤独で内省的な描写が多く、『福音の少年』と少し似た感じがします。 自分の力だけで生きていけるようになりたかった。吉行明敬という人間にはりつき、の…

舞城王太郎『私はあなたの瞳の林檎』

おはようございます。ゆまコロです。 舞城王太郎『私はあなたの瞳の林檎』を読みました。 以前、同じ作者の『阿修羅ガール』を読んだとき、その文章の勢いと展開に圧倒されました。 面白かったのですがそれ以上に怖かったので、それからこの作者の本は読んで…

小川洋子『博士の愛した数式』

おはようございます、ゆまコロです。 小川洋子『博士の愛した数式』を読みました。 ゆまコロにしては珍しく、映画を観たあとに本を読みました。 80分しかとどめていられない博士の記憶が、ある日短縮された場面が一番衝撃的でした。 好きな箇所はこちらです…

重松清『トワイライト』

おはようございます、ゆまコロです。 重松清『トワイライト』を読みました。 以前読んだ『疾走』が恐ろしかったので、あの時ほど酷い展開にはならないだろう、と何となく思いつつ読んでいて、スイカ割りの場面で一気に現実に戻されました。 作者が重松清であ…

ジョン・クリストファー『トリポッド④凱歌』

おはようございます、ゆまコロです。 ジョン・クリストファー、中原尚哉(訳)『トリポッド④凱歌』を読みました。 トリポッドの都市からデータを持ち帰った主人公・ウィルたちは、いよいよ侵略者たちと対決します。 「人間はもうおたがいに戦ったりしてないよ…

ベルンハルト・シュリンク『逃げてゆく愛』

おはようございます、ゆまコロです。 ベルンハルト・シュリンク、松永美穂(訳)『逃げてゆく愛』を読みました。 『朗読者』を書いた作者の短編集です。 最後にちょっとした驚きや、余韻を残して終わるところが、『朗読者』の時と似ていて、好きな感じです。 …

ジョン・クリストファー『トリポッド③潜入』

おはようございます、ゆまコロです。 ジョン・クリストファー、中原尚哉(訳)『トリポッド③潜入』を読みました。 トリポッドへの抵抗勢力「白い山脈」に参加したウィルたちは、トリポッド自体が意思を持つ存在なのか、それとも別の生命体が操縦している機械に…

グレイス・ペイリー『最後の瞬間のすごく大きな変化』

おはようございます、ゆまコロです。 グレイス・ペイリー、村上春樹(訳)『最後の瞬間のすごく大きな変化』を読みました。 E.ホッパーの表紙と、村上春樹さんの訳に惹かれて手に取りました。 なのですが、内容は難しく、よく分からないまま終わってしまった印…

乙一『GOTH 夜の章』

おはようございます、ゆまコロです。 乙一『GOTH 夜の章』を読みました。 主人公(僕)と友人である森野夜は、猟奇的な事件などに関心を寄せるという共通点を持っており、段々とそういった事件に巻き込まれていくお話です。 僕や森野は、異常な事件や、それ…

寺山修二『ポケットに名言を』

おはようございます、ゆまコロです。 寺山修二『ポケットに名言を』を読みました。 著者がまとめた格言集です。(『人生はニャンとかなる!』みたいな本です。) 寺山修二の言葉で好きなのは、 なみだは人間の作るいちばん小さな海です。 (「人魚姫」より)…

重松清『疾走・下』

おはようございます、ゆまコロです。 重松清『疾走・下』を読みました。 下巻で好きな場面は、このシーンです。 カゴが空になった自転車をとばして専売所に戻る。朝の風と光を正面から浴びた。見知らぬひとの不幸や悲劇を悲しいと感じられる自分が、少し嬉し…

重松清『疾走・上』

おはようございます、ゆまコロです。 重松清『疾走・上』を読みました。 お話の舞台は、以下のような場所です。 「沖」(干拓地にある集落)と「浜」(干拓以前からある集落)に分かれている日本のある町の中で、お互いはほとんど交流なく暮らしています。 …

末次由紀『ちはやふる42巻』

おはようございます、ゆまコロです。 末次由紀『ちはやふる42巻』を読みました。 クイーン戦の最終準備と、前夜祭、そして決定戦の朝までのお話です。 この巻も衝撃的なことが多く、まだ頭の中でまとまっていませんが、取り急ぎ感想を書きます。 表紙のカラ…