ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

小川洋子『博士の愛した数式』

おはようございます、ゆまコロです。

 

小川洋子博士の愛した数式』を読みました。

 

ゆまコロにしては珍しく、映画を観たあとに本を読みました。

 

80分しかとどめていられない博士の記憶が、ある日短縮された場面が一番衝撃的でした。

好きな箇所はこちらです。

 

 

父親のいない子供を産む点では二人同じなのに、あるいは同じだからこそ、どんな方法を用いても母の怒りは鎮まらなかった。苦しみと嘆きの叫びに貫かれた怒りだった。彼女の感情があまりにも強烈なために、自分の気持がどうなっているかを、見失うほどだった。

 

 

目の前にいる人の、大きな感情の吐露を見ると、自分の意見がよく分からなくなってしまうことって、ありますよね。

 

 

何であれ彼から質問されるのを喜んだ。子供は大人よりずっと難しい問題で悩んでいると信じていた。ただ単に正確な答えを示すだけでなく、質問した相手に誇りを与えることができた。

 

 

質問者に「質問してよかった」と思わせるなんて、すごく良い先生だと思った文章です。

 

 

自分の息子がこんなふうに誰かに抱擁されている姿を目のあたりにできるのは、幸せなことだった。

 

 

予想に反して穏やかな結末に喜んだり、ちょっとがっかりしたりしました。

博士はどうしてこんなに子どもが好きなのか、そこが窺える描写があるといいのにな、とそこは少し残念に思いました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)