ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ボリス・ヴィアン『日々の泡』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ボリス・ヴィアン、曾根元吉(訳)『日々の泡』を読みました。

 

パリに暮らす若者たちのお話です。

小説なのですが、主人公がハツカネズミと意思疎通ができたりと、幻想的な出来事が次々と起こります。

 

登場人物はこんな感じです。

  • コラン…主人公。ハツカネズミと意思疎通ができる。冒頭でおめかしをする描写が可愛い。
  • クロエ…コランの恋人。肺の中に水連が咲く病気を患っている。彼女を診る医師(マンジュマンシュ先生)はヤブっぽい感じがする。
  • シック…コランの友人。ジャン=ソオル・パルトル(ジャン=ポール・サルトルのパロディ)狂で、関係する品は何でも欲しがる。放蕩っぷりがなぜか憎めない。
  • ニコラ…コランの料理人。29歳。物語初期の、礼儀正しい彼が好み。
  • イジス…ニコラの恋人。お見舞いに来る姿が好き。いい人そう。
  • アリーズ…ニコラの姪でシックの恋人。シックと同じパルトル好きで、彼を心配する。

クロエの謎の病気の描写がなんだか綺麗です。

 

 

彼女(=クロエ)の周囲には、おびただしい花のかずかずが、とくに蘭の花、薔薇の花が多く、さらにまたあじさい、カーネーション、椿の花々があり、桃や巴旦杏(アーモンドの別称)の長い枝に咲いた花々、いくかかえあるとも知れぬジャスミンの花々があった。クロエの胸部はむき出しになっていて、右の乳房の琥珀色には際だって大きな水いろの花冠がくっきりと見えていた。

 

 

よく分からない、と思っていたのに、いつの間にか結末が気になって仕方なくなっていました。

 

コランと仲の良いハツカネズミが自殺してしまったことが可哀相でした。

 

「読者は≪不思議の国≫に入り込んだアリスのように用心深く進むこと。」とありますが、想像力を働かせて登場人物に寄り添うのが楽しい本です。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

日々の泡 (新潮文庫)

日々の泡 (新潮文庫)