ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

チャールズ・キングズリー『水の子トム』

おはようございます、ゆまコロです。

 

チャールズ・キングズリー、酒井朝彦(訳)『水の子トム』を読みました。

 

イギリスの牧師さんが書いた童話です。

母はこの話を子供の頃読んで、とても面白かったので印象に残っていると言っていたのですが、現代においてこの本の評価はそれほど芳しくないようでした。

 

1862年から1863年に『マクミラン』誌に連載され、1863年に出版された。著者の友人のチャールズ・ダーウィンの『種の起源』を擁護するための笑い話の側面を持つ。イギリスで非常に人気があり、何十年もの間、英国児童文学の主力だった。が、アイルランド人、ユダヤ人、アメリカ人、貧乏人に対する偏見(当時は普通だった)をふくむため、流行らなくなった。

 (中略)当時の一般的な偏見の多くを表現しており、アメリカ人、ユダヤ人、黒人、カトリック教徒、特にアイリッシュに否定的・侮辱的な言葉が含まれる。」(ウィキペディアより)

 

最初は煙突掃除夫だったトムが川で溺れ、水の子になる、というちょっとメルヘンチックな冒頭ですが、ところどころの言葉が心に残ります。

 

 

「ねえ、きみ、そんないたずらはしないほうがいいよ。いまに、じぶんのしたことは、きっとじぶんにしかえしをさせられるよ。あのビーダンバイアズユーデイド夫人(Bedonebyasyoudid、あんたがやったようにされろ、の意味とのこと。ゆまコロ注)が、ここへくるからね」

 

 

教訓めいたセリフが多い気がします。

 

 

「子どもってものは、じぶんでいろいろ苦労して、新しいものを見つけなければなりませんよ。だから、海にいる生き物や、空を飛ぶ鳥を見たら、かまわず、片っ端からたずねてみるがいい。それで、おまえさんが、それらの者たちに親切にしたら、誰かがきっと、 “光った壁” へ行く道を教えてくれるだろうよ」

 

 

水の子になったトムは最後には、自分の精神的指導者である前述の夫人によって人間の世界に帰してもらいます。

自分にひどい仕打ちをした親方を助けに向かうと、親方の母親は病中のトムに親切にしてくれた女性でもあり、そのことでトムが改心するのも面白いと思いました。

物語の中で、トムとデートしていたヒロイン・エリー嬢と結局結ばれないのも、あれっという感じです。

 

全体を通して、そんなに偏見的な要素は汲み取れませんでした。(読解力が不足しているのかもしれません。)むしろ奇想天外で面白かったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。