ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

皆川ゆか『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』

おはようございます、ゆまコロです。

 

皆川ゆか矢立肇富野由悠季(原作)『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』を読みました。

 

自分の住んでいる国で、戦争や紛争が起こったらどうしよう、ということを、小さな頃から考えたり、不安になったりすることがよくあります。

あんまり心配すると本当にその通りになりそうだから(引き寄せの法則みたいに)、考えなきゃいいのに、それでも心配してしまいます。太平洋戦争の敗戦について考える夏は特にそうです。

 

友人がこの作者の他のシリーズのファンなので借りてみました。

印象に残った文章はこちらです。

 

 俺たちは一個の人間である前に、まず兵士であり、軍人でなければならない。もし、個人の怨恨を口にするなら、俺たちは刑事事件の殺人犯と同じ位置に立つことになる。

 

 これを人殺しに理由をつけているだけだという者もいるだろう。しかし、俺たちにはそんな理由をつけねば、戦争というものの中で戦うことなどできない。戦争は顔のない人間が行うべきなのだ。 

 

読んでいて、デーヴ・グロスマンの本を思い出しました。

 

すでに何人もの人間が、この部隊に来て戦死していた。仲間の死はつらい。顔を知っているからだ。だから、俺は慣れることにした。あのとき、目の前で死んだザクのパイロットの顔を記憶の奥に追いやったように。

 

 ジェームズもまた、この戦争で死んだ顔のない兵士の一人に加えた。(俺は冷たい人間なんだろうか?)

 

 自問したが、答えが出るわけはなかった。そういう問いかけに本人が答えることは傲慢だとも思う。 

 

ドキュメンタリーでも、フィクションでも、つい戦争や紛争の本を手に取ってしまうのは、回避策は分からなくても、せめてこういう思考は良くないとか、何かヒントがつかめるのではないかという期待を寄せてしまうからなのでしょう。

 

面白かったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

機動戦士ガンダム外伝―THE BLUE DESTINY 講談社文庫

機動戦士ガンダム外伝―THE BLUE DESTINY 講談社文庫