ニジタツ読書

日々読んだ本の感想です。面白い本がないかな~と思ったらご参考までに。

ウィリアム・サッカレー『ばらと指輪』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ウィリアム・サッカレー、大平よし子(訳)『ばらと指輪』を読みました。

 

すてきなタイトルだな、と思い手に取ったのですが…。

短い話ながら人間関係が割と込み入っていて、読みながら相関図を書きました。

出てくる名前も、結構覚えにくいです。ホッギナルモ伯爵とか。(メモしにくい。)

 

作者サッカレーカルカッタ(インド)生まれで、6歳の時にイギリスにやってきたそうです。

本作は病気の自分の子どもを慰めるため、ローマで書かれたものだとか。

 

ストーリーよりも、サッカレーが子どもが大好きで、自身も一生、大きな子どものようだった、という解説の方に惹かれました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

バラとゆびわ (岩波少年文庫)

バラとゆびわ (岩波少年文庫)

 

 

 

姜尚中『あなたは誰?私はここにいる』

おはようございます、ゆまコロです。

 

おすすめされて、姜尚中『あなたは誰?私はここにいる』を読みました。

 

「この絵(ベラスケスの「ドン・セバスチャン・デ・モーラ」)をじっと見つめていると、わたしはかつて不治の病と恐れられたハンセン病に罹患したある知り合いのおじさんのことを思い出します。

 少年のころ、わたしはそのおじさんが我が家に出入りすると、そそくさと逃げてしまうほど極度に恐れていました。わたしの心の中にべっとりとした墨のように偏見が滴り落ち、わたしはその虜になっていたのです。数十年後、施設を訪れ、そのおじさんと再会し、わたしは恥ずべき仕打ちを詫びましたが、そのときのおじさんの言葉が忘れられません。

 

「よかよ、仕方んなか。子供は大人の心を映す鏡だけん。わしはこがん運命を背負ったばってん、すべてば受け入れて、一生懸命生きてたと。生きんと、生きて生きて生き抜かんと。それがわしらの生きた証だけんね。」

 

 その目には、ベラスケスの矮人の哲学者を思わせる目のように、憂いに満ちた潔さがあふれていました。

 それにしても、ベラスケスは、なぜ、わざわざ彼らのような人たちを描いたのでしょうか。いかに絵を描く職業とはいえ、人や花を描くのと違って、彼らのような矮人を描くことは楽しいことだったとは思えません。

 絵画だけでなく文学などでも、ときにはあえて突き放すような冷徹なリアリズムで社会的弱者を描くことはあります。その方法が見る人に対して大きな訴求力を持つこともあります。しかし、ベラスケスはそのような目的で彼らを描いたとは思えません。ではなぜなのかと言えばー、わたしは、ベラスケスは矮人を慰み者として描いたのでもなければ、冷淡に突き放して描いたのでもなく、かといって人間愛的なまなざしで描いたのでもなく、「我が同輩」として描いたのではないかと想像するのです。

 それは、彼自身が自らの出自を隠していたことと関係あるのかもしれません。彼はコンベルソ(改宗ユダヤ人。当時のスペイン社会では一種蔑視の対象)としての記憶を消し去ることで、宮廷画家兼役人として高い地位を得ました。

 しかし、彼の心の奥には虚しさが潜んでいて、きらびやかな暮らしに全面的に同化できなかったと思うのです。ベラスケスの心の中に、どこかはみ出し者的な劣等意識が残りつづけたのではないでしょうか。だからでしょうか、彼は倭人に矮人らに同輩としての意識を抱いたのかもしれません。彼の中には生まれながらの消し去れない悲しみが、霜のように白く冷たく降り積もっていたと想像します。」

 

他にも、ルーシー・リーカップの話など、良かったです。

美術鑑賞がお好きな方は楽しめると思います。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

あなたは誰? 私はここにいる (集英社新書)

あなたは誰? 私はここにいる (集英社新書)

 

 

チャールズ・ディケンズ『オリバー・ツイスト』

今週のお題は「読書の秋」ということなので、私もひとつ紹介してみます。

 

チャールズ・ディケンズ、及川甚喜(訳)『オリバー・ツイスト』を読みました。

 

オリバーは両親を知らず、貧しい人々を救う収容所の中でもいじわるをされ、奉公に出された先でなにか良いことが起こるのかと思いきや、亡くなった母親のことを悪く言われ…。奉公先を飛びだして、一人でロンドンを目指します。

 

印象的だったのは、オリバーが悪党が置いて行った怖い本を開くシーンです。

 

「恐ろしい本だった。血なまぐさい大犯罪人の一生や、首切り台のことや、裁判の話などであった。本のページの中から、死人のうつろなつぶやきが聞こえてきそうに思われた。

 オリバーは本をとじ、それ押しのけると、ひざまずいて神さまに祈った。じぶんが、この本の中にあるようなひどいことになりませんように、もしじぶんが、このようなことをしなければならないときは、神さまのお情けで、じぶんをただちに死なせてくださいますように…。オリバーは心をしずめ、さらに祈った。」

 

身近な人からの愛情を知らず、教育も受けてこなかったオリバーが敬虔で、他者への思いやりが強いことに、ちょっと意外な感じさえします。

その他の登場人物が個性的すぎて、あんまり目立たない主人公ですが、ここではオリバーの気持ちがよく出ていて、心に残りました。

 

主人公とローズ(オリバーのおば)に尽力してくれたナンシイ(敵の一味の情婦)が殺されるところと、オリバーに盗みをさせようとした窃盗団の頭・フェイギンが死刑になるところをオリバーが見に行くところなど、手厳しい展開が目白押しです。

これが、ディケンズが26歳の時の作品というのも凄いと思いました。

 

あまりホンワカした気分にはなれないけど、ドキドキしたい時にはいいかもしれません。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

(全集の中に収録されているものを読んだので、この訳者の本は見つかりませんでしたが、他の方の訳本のリンクを貼っておきます。)

 

オリバー・ツイスト〈上〉 (新潮文庫)

オリバー・ツイスト〈上〉 (新潮文庫)

 

 

 

ワシントン・アーヴィング『リップ・バン・ウィンクル』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ワシントン・アーヴィング、大石真(訳)『リップ・バン・ウィンクル』を読みました。

 

以前も『スケッチ・ブック』という本で読んだことがあります。

びっくりするくらい、浦島太郎の物語に似ています。

 

リップがカーツキル山で、ヘンリー・ハドソン船長と乗組員(=ハドソン川ニューヨーク州一帯を初めて発見した。)の亡霊が、寝ずの番をし、自分たちが探検したところを見て回る場面に遭遇するところは、何度読んでも薄気味悪いです。

 

旦那さんが帰ってこなかったら、どんな気持ちだろう、と思いますが、リップさんがいなくなってこれほど幸せを感じるような奥さんなら、別れても良かったのでは?と思わなくもないです。

 

ひと眠りしているうちに植民地時代が終わり、合衆国時代になっていた、というテーマが、この物語が長く愛されているポイントなのかな、と感じました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

リップ・ヴァン・ウィンクル

リップ・ヴァン・ウィンクル

 

 

 

ハーマン・メルヴィル、及川甚喜(訳・文)『白鯨』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ハーマン・メルヴィル、及川甚喜(訳・文)『白鯨』を読みました。

 

捕鯨船の乗組員の給料や、拝火教(火をあがめ、火を神とする宗教。)のことなど、発見が多く面白かったです。

 

クジラの描写が好きです。

 

「なお、見れば、むこうのほうに、わずかにもたげた頭の大きな輪になったしわさえも、ながめられる。そして、はるか前面の波の上には、大きい乳白色の白びかりのかげが、ひろびろと動いてすすみ、さざなみがそのかげにじゃれついていた。さらに、巨鯨のうしろのほうには、泳いだあとの堂どうとした航跡が、移る谷間のように残り、青い波がこもごもそのなかにおどりこむ。鯨の両側には、輝く水のあわが、わき腹からわきたちはねあがる。そこから分かれた水は、はてしないうねりとなり、しなやかにひろがって行く。

 そのながめをいっそうにぎやかにしているのは、柔らかに海面をおおった、おびただしい海鳥の軽やかな足どりと、気まぐれな群れだちとであった。」

 

作者のメルヴィルは18歳でイギリス通いの貨物船の水夫になったというから、エイハブ船長と同じ年ぐらいから船に乗っていることになります。

捕鯨船は、鯨に出会っても、出会わなくても過酷な旅だと思いましたが、鯨の描写はリアルで、雄大さが伝わってきました。

イシュメール(主人公)が、海に放り出された時、病気の時のクィークェグが大工に作らせていた丸木舟の棺桶につかまって助かった、という伏線も良いと思いました。

しかし、想像以上のバッドエンドでした。

 

読んでよかった感は大きかったです。

かっちりとしていて割と好きな訳でしたが、全集の一部のため、同じものがアマゾンにはなく…。違う訳者のリンクを貼りました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

白鯨 上 (岩波文庫)

白鯨 上 (岩波文庫)

 

 

トーベ・ヤンソン『ムーミンパパの思い出』

おはようございます、ゆまコロです。

 

トーベ・ヤンソンムーミンパパの思い出』を読みました。

 

ムーミンシリーズの4作目です。
この本で、初めてリトルミイが登場します。


そして、彼女がいるのに、母親を同じくするスナフキンがまだ生まれていないことから、二人がきょうだいであることが明らかになります。


ムーミンパパが若いころの話をみんなに聞かせている、という本書なので、物語は過去と現代を行ったり来たりします。


上手だなぁと思ったのは、ムーミントロールとその父親の性格の書き分けが明確であるところです。
ムーミンパパは息子のムーミントロールよりは感情的で、環境などの変化を求め、行動的な感じです。(息子は、母親似なのかもしれません。)


ムーミンパパがヨクサル(スナフキンの父親。船旅に協力的ではない)をあまり好きじゃないのが、ちょっと意外な感じがしました。


パパとママとの出会いも印象深いです。海で遭難し、助けてもらったのに、開口一番、ハンドバッグの行方を心配するムーミンママ。

いつも彼女はみんなの中にいると現実主義者でありながら、どこか沖融たる言動が癒されるなあと思います。


この本に出てくる仲間で一緒に遊ぶとしたら、ロッドユール(スニフの父親)かなと思いました。純朴で、優しい性格が好きです。


孤児院の玄関にムーミンの入った紙袋が置いてあるなんて、考えただけでも衝撃的です。ぜひ拾いたい。

 

来年のムーミン展が今から楽しみです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫)

新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫)

 

 

ストウ夫人『アンクル=トムの小屋』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ストウ夫人、上崎美恵子(訳)『アンクル=トムの小屋』を読みました。

 

「ジョージ(イライザの夫。麻袋工場で働いている)は胸を張った。

 「わたしの父親は、あなたと同じ白人でした。けれども母親は黒人のどれいでした。父が死ぬと、わたしたち七人のきょうだいと、母は、犬や、馬と同じように売りにだされたのです。わたしたちは違う買い手に買われました。母はわたしの買い手の前にひざまづいて、いっしょに買ってくれ、と頼みました。けれども主人は、母をけとばして、わたしを馬の首にしばりつけて屋敷につれて帰ったのです。」

 「……。」

 「わたしの主人は、わたしの姉もいっしょに買いましたが、姉は主人にむちで打たれてばかりいました。ピシリ、ピシリというむちの音を聞くつらさがどんなものだったか。―美しい姉でしたが、クリスチャンらしく生きようとしたために、主人から嫌われて、南部へ売りとばされてしまいました。

 わたしは、それからひとりぼっちで、だれにも愛されずに育ったのです。ひもじくて、犬がかじっている骨をとって、しゃぶったこともあります。でも、少年のころのわたしが、夜中に、目をさまして泣いたのは、ひもじかったからでも、むちの跡が痛かったからでもありません。母や姉が恋しかったのです。だれも愛してくれる人がいないのが悲しかったのです。けれども、あなたの工場で働くようになってから、わたしはあなたにやさしくしてもらって、はじめて人の親切を知りました。仕事もやりがいのあるものでした。そして、イライザと結婚しました。

 イライザは天使のような心の持ち主です。ハリイも生まれ、人を愛する喜びも、愛される喜びも知りました。しかし、主人はそこから、わたしをひき離そうとしたのです。好きな仕事からも、そして愛する妻や子どもからも!わたしに少年のころの犬よりもみじめな生活にもどれというのです。ウィルソンさん、あなたならがまんできますか?だれだってがまんできないはずだ!」」

 

こう語る混血児ジョージの右手に焼き印が押してあるというのも辛いですが、この後、トムと一緒に船に乗ってきた黒人の女性が、積み荷のかげに赤ん坊を寝かせているすきに、新しい主人が子どもをかかえて船から降りてしまい、女性がそのことを苦に海に身投げをする、という話にもっと気が滅入りました。

 

フィクションだと言い聞かせて読んでも、おそらく事実はここに書かれていることと似たり寄ったりだったのでは、と思い、苦しみながら読みました。

 

途中途中の挿絵も、衝撃的なものが多く、つらい…。

 

ここ何年かの間で読んだ本の中で、最も衝撃を受けた本です。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

全集の中に入っているものを読んだので、同じ挿絵があるのかは分かりませんが、一応貼っておきます。

 

カラー名作 少年少女世界の文学 アンクル・トムの小屋

カラー名作 少年少女世界の文学 アンクル・トムの小屋