ニジタツ読書

読んだ本の感想です。胸に刺さった言葉をご紹介します。時々美術館のことなども。

小説

ブッツァーティ『タタール人の砂漠』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。 ブッツァーティ、脇功(訳)『タタール人の砂漠』を読みました。 そう、いまでは彼は将校なのだ、金も入るし、美しい女たちも振り向くことだろう。だが、結局は、人生のいちばんいい時期、青春の盛りは、おそらくは終わ…

ポール・オースター『インヴィジブル』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『インヴィジブル』を読みました。 私はこれが終わってほしくなかった。不思議な、測りがたきマルゴと一緒にその不思議な楽園で暮らすことは、それまで私の身に起きた最良の、最高にあ…

オルガ・トカルチュク『昼の家、夜の家』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。 オルガ・トカルチュク、小椋彩(訳)『昼の家、夜の家』を読みました。 ノヴァ・ルダの協同組合銀行に勤めるクリシャは夢を見た。一九六九年の早春のことだった。 夢のなかで彼女は、左耳に声を聞いた。はじめは女性の声…

シュトルム『みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。 シュトルム、松永美穂(訳)『みずうみ/三色すみれ/人形使いのポーレ』を読みました。 読んだのはずいぶん前なのに、心に残るシュトルム作品。 大好きな松永美穂さんの訳で文庫になっていたので、再読しました。 3話入…

ポール・オースター『写字室の旅』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『写字室の旅』を読みました。 自由に旅行ができないこの時節柄、旅というタイトルに心踊りましたが、主人公の置かれた状況は、これ以上無いくらい閉鎖的でした。 どうして捕らえられて…

ポール・オースター『闇の中の男』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『闇の中の男』を読みました。 作中で更に違う物語が展開される「物語中物語」が面白い(場合によると本編よりも)のは、オースター作品ではよくあることですが、今回は物語中物語とメ…

新海誠『小説 天気の子』

おはようございます、ゆまコロです。 新海誠『小説 天気の子』を読みました。 ーそうか。皆が取材でなんでも話してくれるのは、だからだ。女子高生も大学の研究者もいつかの占い師も、相手が夏美さんだからこそあんなふうに喋ったのだ。誰のことも否定せず、…

ポール・オースター『冬の日誌』

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『冬の日誌』を読みました。 より繊細な、より美しく、最終的にはより充実感のあるゲーム― もっとも暴力的でないスポーツたる野球の技能を君は着々と身につけていき、六つか七つのこ…

斉藤洋『ルドルフとノラねこブッチー ルドルフとイッパイアッテナV』

おはようございます、ゆまコロです。 斉藤洋『ルドルフとノラねこブッチー ルドルフとイッパイアッテナV』を読みました。 「ねえ、イッパイアッテナ。イッパイアッテナがアメリカにいこうと思ったのは、また、日野さんの飼いねこになるためだったのかな。ぼ…

ポール・オースター『ブルックリン・フォリーズ』

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『ブルックリン・フォリーズ』を読みました。 その家族ディナーを、私はきわめて暖かい場として記憶している。誰もがグラスを掲げ、トムの成功にお祝いの言葉を述べた。私が彼の歳だ…

あさのあつこ『さいとう市立さいとう高校野球部 下』

おはようございます、ゆまコロです。 あさのあつこ『さいとう市立さいとう高校野球部 下』を読みました。 我が母親の名誉のために言っておくけど、おふくろは気紛れで、忘れっぽく、かなりの天然で“こまったちゃん”の要素が無きにしも非ずだが、息子や娘に対…

あさのあつこ『さいとう市立さいとう高校野球部(上)』

こんにちは、ゆまコロです。 あさのあつこ「さいとう市立さいとう高校野球部(上)」を読みました。 ひさびさの、あさのあつこ先生の本です。 家族って、何でこんなに鬱陶しいんだろう。 ときどき、全部捨てられたらどれくらいすっきりするだろうなってやばい…

斉藤洋『生きつづけるキキ―ひとつの『魔女の宅急便』論―』

おはようございます、ゆまコロです。斉藤洋『生きつづけるキキ―ひとつの『魔女の宅急便』論―』を読みました。 『魔女の宅急便』シリーズが完結してしまい、寂しさを感じていたので、手に取りました。そうしたら、大好きな『ルドルフとイッパイアッテナ』の作…

ペーター・ハントケ『幸せではないが、もういい』

おはようございます、ゆまコロです。 ペーター・ハントケ、元吉瑞枝(訳)『幸せではないが、もういい』を読みました。 ノーベル文学賞を受賞された作家さんですが、お恥ずかしながら、受賞されるまで知りませんでした。 本書は、著者の母親の思い出について…

角野栄子『キキとジジ 魔女の宅急便番外編その2』

おはようございます、ゆまコロです。 角野栄子『キキとジジ 魔女の宅急便番外編その2』を読みました。 この巻では、キキよりもどちらかというと、ジジが何を考えて大きくなったか、ということが重点的に書かれています。 9歳のキキが、自分は魔女にはならず…

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 1』

おはようございます、ゆまコロです。 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 1』を読みました。 (感想の順序がひっくり返りましたが、)1巻で好きなところは、次の二ヶ所です。 (前略)この青年は人々を愛していたし、どうやら他人のことを完全に信頼しつ…

ポール・オースター『オラクル・ナイト』

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『オラクル・ナイト』を読みました。 物語序盤の、主人公シドニーが文房具屋を見つけて入る場面が好きです。 文具好きがこんな文房具屋さんを偶然見つけたら、すごく喜ぶだろうな、と思…

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻』

おはようございます、ゆまコロです。 ドストエフスキー、亀山郁夫(訳)『カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻』を読みました。 「ほんとうにどんな人間でも、だれそれは生きる資格があって、だれそれは生きる資格がないってことを、自分以外の人間について…

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 4』

おはようございます、ゆまコロです。 ドストエフスキー、亀山郁夫(訳)『カラマーゾフの兄弟 4』を読みました。 この巻で好きなのは、幼いミーチャとゲルツェンシトゥーベ先生の、出会いの場面です。 恐ろしかったのは、イワンが幻覚症になるシーンです。…

ポール・オースター『孤独の発明』

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『孤独の発明』を読みました。 この本を読んで、著者がどれほど書くことを愛し、また書くことに苦しめられているか、はじめて文章を通して伝わってきたように思いました。 作家という…

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 3』

おはようございます、ゆまコロです。 ドストエフスキー、亀山郁夫(訳)『カラマーゾフの兄弟 3』を読みました。 面白くなってきたので、さらっと行きました。 この巻で好きな場面を選ぶとしたら、この二つです。 「どうしたのです?泣かずに喜びなさい。そ…

星新一『声の網』

おはようございます、ゆまコロです。 星新一『声の網』を読みました。 タイトルから何となくイメージできる通り、インターネットを想起させるお話です。 書かれたのが1969年というのが凄いです。 ショートショート(超短編)で有名な星新一先生には珍しい、…

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 2』

おはようございます、ゆまコロです。 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 2』を読みました。 1巻も読んだのですが、よく分からないなぁと思いながら2巻に進んだら、面白くなってきたので、とりあえず感想を書きます。 謎解き的な要素に関わるので、あまり…

角野栄子『魔女の宅急便その5 魔法のとまり木』

おはようございます、ゆまコロです。 角野栄子『魔女の宅急便その5 魔法のとまり木』を読みました。 19歳になったキキのお話です。 プロローグでの彼女の成長ぶりに、結構胸が熱くなります。 (しかし、遠くの町にいるとんぼさんとはすれ違っています。) コ…

サン=テグジュペリ『星の王子さま』

おはようございます、ゆまコロです。 サン=テグジュペリ、池澤夏樹(訳)『星の王子さま』を読みました。 子どもの頃に読んだ時には、面白いのかそうでないのかよく分からない、という感想を抱きました。 今改めて読むと、長くない物語である割に、教訓めい…

夏目漱石『坊ちゃん』

おはようございます、ゆまコロです。 夏目漱石『坊ちゃん』を読みました。 初めてこの話を読んだ時、思ったよりも面白かったと感じたのを覚えています。(失礼な言い方ですみません。) ただ、期待に胸を膨らませて読んでいた「マドンナ」が結局出てこないの…

森鴎外『ヰタ・セクスアリス』

おはようございます、ゆまコロです。 森鴎外『ヰタ・セクスアリス』を読みました。 性欲的生活(ラテン語)という意味のタイトルらしいのですが、全体を通して、肉体的な欲望を綺麗に客観視している、といった印象でした。上品ささえ感じます。 僕はどんな芸…

川端康成『みずうみ』

おはようございます、ゆまコロです。 川端康成『みずうみ』を読みました。 好みの女性を見つけると、その後をついて行ってしまうという男性が主人公です。 その行動は社会規範的にどうなのか、ということはとりあえず置いておいて、ところどころに出てくる、…

ポール・オースター『ルル・オン・ザ・ブリッジ』

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、畔柳和代(訳)『ルル・オン・ザ・ブリッジ』を読みました。 戯曲なのですが、やはりオースターはオースター、という感じです。 イジーの前妻・ハンナが魅力的です。 「私が誰かを愛したら、それは…

ジャン・ジュネ『葬儀』

おはようございます、ゆまコロです。 ジャン・ジュネ、生田耕作(訳)『葬儀』を読みました。 作者はフランスの小説家・劇作家・詩人です。 読んだ印象は、作者自身が思索を巡らしている段階なのかな、という感じでした。 もちろんそういう効果なのでしょう…