おはようございます、ゆまコロです。
二部の森の話が恐くて、電車の中で声が出そうになりました。
「あのねアイコ、好きな人の名前を訊かれてクエスチョンマーク付きで答えてるうちは全部間違いなのよ。愛ってのは迷わないものなのよ。絶対正解で間違いとは無縁のものなのよ。」
主人公アイコとシャスティン(アイコが頭の中で会話する人物。第二の人格のような存在と思われる。)の会話が好きです。
でも多分きっと、人が人を好きになるときには、相手のこことかそことかこういうところとかああいうところとかそんな感じとかそういうふうなとことかが好きになるんじゃなくて、相手の中の真ん中の芯の、何かその人の持ってる核みたいなところを無条件で好きになるんだろうと思う。私もだから、陽治のその核のことが、胸の裏に張り付いて離れない。
章が変わる時に、こうやって終わる文章も好みでした。
目の前にいる陽治は自分のことを好きではないと悟ったアイコが公園で泣くシーンが可愛いです。
ぜんぜん好きでない人と関係を持ったり、不条理な暴力を受けたり、人と人との距離が近いようでいて、一方で他者との関係をドライに割り切っている感がしました。
例えばこんな文章です。
天にいる神はそういった眩しい星の明かりに慣れていて、実は僕たちのことなど闇の中にあって気づいていないのではないか?
だとすれば、僕たちは彼の目の届かないところで、実は自分たちだけの力ですべてをしっかりやっていかなくてはならないんだ。祈る姿も苦しむ姿も見えていない神の足元の暗闇の中で、僕たちは神の視線を意識したまま生きてきてんだろうけど、でも最終的には全部自力で処理していく他ないのだ。
なかなか潔い宗教観のように見えます。
なんとなく、重松清と桜井亜美を足したような文章だと思いました。
暴力的な世界が繰り広げられるので、読む人を選ぶかもしれません。
最後まで読んで下さってありがとうございました。