ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

小説

あさのあつこ『透明な旅路と』

おはようございます、ゆまコロです。 あさのあつこ『透明な旅路と』を読みました。 あさの作品にしては孤独で内省的な描写が多く、『福音の少年』と少し似た感じがします。 自分の力だけで生きていけるようになりたかった。吉行明敬という人間にはりつき、の…

舞城王太郎『私はあなたの瞳の林檎』

おはようございます。ゆまコロです。 舞城王太郎『私はあなたの瞳の林檎』を読みました。 以前、同じ作者の『阿修羅ガール』を読んだとき、その文章の勢いと展開に圧倒されました。 面白かったのですがそれ以上に怖かったので、それからこの作者の本は読んで…

小川洋子『博士の愛した数式』

おはようございます、ゆまコロです。 小川洋子『博士の愛した数式』を読みました。 ゆまコロにしては珍しく、映画を観たあとに本を読みました。 80分しかとどめていられない博士の記憶が、ある日短縮された場面が一番衝撃的でした。 好きな箇所はこちらです…

重松清『トワイライト』

おはようございます、ゆまコロです。 重松清『トワイライト』を読みました。 以前読んだ『疾走』が恐ろしかったので、あの時ほど酷い展開にはならないだろう、と何となく思いつつ読んでいて、スイカ割りの場面で一気に現実に戻されました。 作者が重松清であ…

乙一『GOTH 夜の章』

おはようございます、ゆまコロです。 乙一『GOTH 夜の章』を読みました。 主人公(僕)と友人である森野夜は、猟奇的な事件などに関心を寄せるという共通点を持っており、段々とそういった事件に巻き込まれていくお話です。 僕や森野は、異常な事件や、それ…

重松清『疾走・下』

おはようございます、ゆまコロです。 重松清『疾走・下』を読みました。 下巻で好きな場面は、このシーンです。 カゴが空になった自転車をとばして専売所に戻る。朝の風と光を正面から浴びた。見知らぬひとの不幸や悲劇を悲しいと感じられる自分が、少し嬉し…

重松清『疾走・上』

おはようございます、ゆまコロです。 重松清『疾走・上』を読みました。 お話の舞台は、以下のような場所です。 「沖」(干拓地にある集落)と「浜」(干拓以前からある集落)に分かれている日本のある町の中で、お互いはほとんど交流なく暮らしています。 …

あさのあつこ『福音の少年』

おはようございます、ゆまコロです。 あさのあつこ『福音の少年』を読みました。 主人公の少年・明帆が、お付き合いをしていた同級生・藍子の死に疑問を抱き、彼女の幼馴染の陽と真相を探るお話です。 交際中の16歳の二人がいきなりギクシャクしているので、…

エーリッヒ・ケストナー『一杯の珈琲から』

おはようございます、ゆまコロです。 エーリッヒ・ケストナー、小松太郎(訳)『一杯の珈琲から』を読みました。 物語の主人公の日記を預かり、それを本にすることにした、と断って話が始まる冒頭に、ケストナーっぽさを感じます。 主人公ゲオルグの、5つの…

金城一紀『GO』

おはようございます、ゆまコロです。 金城一紀『GO』を読みました。 この本は、朝鮮籍から韓国籍を経て日本に帰化した作者の、半自伝の形をとっています。 在日韓国人の主人公・杉原が、父親にボクシングを習い、ケンカに明け暮れる日々の中で、桜井という女…

ポール・オースター『最後の物たちの国で』

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、柴田元幸(訳)『最後の物たちの国で』を読みました。 彼の作品で、女性が主人公の物語を初めて読みました。 ●「私は目を閉じ、眠りなさいと自分に言い聞かせます。でも脳のなかは煮えくり返って、…