ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

エーリッヒ・ケストナー『一杯の珈琲から』

おはようございます、ゆまコロです。

 

エーリッヒ・ケストナー、小松太郎(訳)『一杯の珈琲から』を読みました。

 

物語の主人公の日記を預かり、それを本にすることにした、と断って話が始まる冒頭に、ケストナーっぽさを感じます。

 

主人公ゲオルグの、5つの仕事部屋に、机、椅子、インキ壺、原稿用紙のブロック、カレンダーがそれぞれ5つある、というくだりがあるのですが、その様子を想像するとなんだか無性にわくわくしてきました。

 

ドイツとオーストリアが舞台の話なのですが、本書では

「国境を越える者は、特別な許可がない限り、月々十マルク以上持ち出すことが許されない」というルールがあります。

 

主人公はその規定に則り(?)、ライヘンハル(ドイツ)では大名暮らし、ザルツブルグオーストリア)では一文無しという生活を送ります。

(具体的には、ドイツで食事と睡眠をとって、オーストリアで芝居を観ています。)

 

このルールが読んでいるうちにごっちゃになってきて混乱しました。

そうこうしているうちに、主人公はヒロインのコンスタンツェと結婚し、「あ、ハッピーエンドなんだ」と思って終わりました。

 

タイトル通りおしゃれな感じの話なのですが、ケストナー第二次世界大戦中のドイツでこのお話を書いたと思うと、不思議な感じがしました。

コーヒーを飲みながら、じっくり読むのがいい本なのかもしれません。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

一杯の珈琲から (創元推理文庫 508-3)

一杯の珈琲から (創元推理文庫 508-3)