ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

腸、血管、ストレスとの関連がわかる。『脳が強くなる食事』を読んで

こんばんは、ゆまコロです。

 

マックス・ルガヴェア、御舩由美子訳『脳が強くなる食事』を読みました。

 

新聞で広告を見て面白そうと思って探しに行きましたが、割と分厚い本でびっくり。

結構長いので先にご紹介してしまいますが、本書で脳が強くなる食べ物(ジーニアス・フード)としておすすめされている食品は次の通り。

 

  1. エクストラヴァージンオリーブオイル…オレオカンタール(そのまま飲んだときに感じる、ピリッとした刺激がこれ)に抗炎症効果があり、非ステロイド性抗炎症薬のイブプロフェンを少量服用するのと同じ効果がある。
  2. アボカド…体内の脂肪組織を保護する働きが他の果物・野菜よりも高い。1個で食物繊維を豊富に摂取できる。
  3. ブルーベリー…アントシアニンが海馬に蓄積し、記憶を処理する部位のシグナル伝達を強化する。
  4. ダーク・チョコレート…ポリフェノールの一種カカオフラバノールは認知機能の老化を食い止め、インスリンの感受性や血管機能、脳の血流、運動機能まで改善する。カカオ85%の板状チョコレートを週に1枚の割合で摂るのが望ましい。
  5. 卵…特に卵黄には、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンE、セレン、亜鉛など、正常に働く健全な脳になるために必要な全成分が含まれる。
  6. グラスフェッドビーフ…鉄分、亜鉛ビタミンB12、ビタミンEが含まれる。著者によれば、不健康でストレスをため、廃棄された穀物やキャンディなどひどく不自然な飼料を与えられた食肉ではなく、「悪い日は1日だけ」だった牛の肉を探すことが望ましいとのこと。
  7. 緑の葉物野菜…ほうれん草、ロメインレタスなど。葉酸マグネシウムが豊富。
  8. ブロッコリー…そのほか芽キャベツやキャベツ、ラディッシュルッコラ、チンゲン菜などアブラナ科の野菜には、がんや自己免疫性疾患の予防に有望なスルフォラファンを含む。
  9. 天然の鮭…水銀が少なく、オメガ3系脂肪酸EPADHAが豊富。アスタキサンチンというカロテノイドは、養殖よりも天然の方が含有量が多い。
  10. アーモンド…皮に含まれるプレバイオティクスが大腸の細菌叢を育てる上、ポリフェノール(身体と腸内細菌に抗酸化作用をもたらす)とビタミンE(脂溶性の抗酸化物質)を含む。

 

(…)アメリカの神経学の分野では指折りといわれる施設もいくつか訪れたが、どこでも決まって「診断を下して、はい、さようなら」だった。
 つまり身体と認知機能を調べる一連の検査が済むと、あとは新しい生化学的絆創膏の処方箋を持たされるぐらいで、大した成果もなく追い払われたのだ。そのたびに私は、もっといい治療法を探すことに、それまで以上に没頭した。深夜まで眠らずに何時間もリサーチを続け、母の頭をぼんやりとさせている病気のメカニズムの情報を片っ端から探した。
 最初に症状が現れたとき、母はどう考えても高齢ではなかったので、年齢が病気の原因だとは考えにくかった。当時、母はまだ50代で、若々しくて、お洒落で、人目を引く魅力の持ち主で、これっぽっちも――そして、いまだに、高齢者の病気に侵されるような人間には見えなかった。親戚には神経変性の病気を患った人は1人もいなかったので、母の遺伝子が原因だとは考えにくかった。そのため原因は外部にあるに違いなく、私の直感では食生活が関係しているように思えた。
 その直感にしたがった私は、それから10年のほとんどを食べ物(それと運動や睡眠、ストレスなどライフスタイルの要因)が脳に与える影響を調べることに費やした。その過程で、最先端の研究にたずさわる数少ない臨床医が、代謝――身体が食品や酸素など必須の成分からエネルギーをつくる働き――と脳の関係に注目していることを知った。母には糖尿病の兆候は全然なかったものの、私はさっそく二類糖尿病について、またインスリンやレプチンのようなホルモン、それに代謝を制御している、あまり知られていないシグナルについて調べはじめた。そして食餌療法と心血管に関する最新知見に興味を持った。 酸素や栄養素を脳に運んでいる毛細血管のメンテナンスについても知りたくなった。さらに、腸に住みついている古代の細菌がどのように脳の沈黙の守護者として働いているかや、その細菌を現代の食生活が文字どおり餓死させてしまうことも知った。
 食べ物がアルツハイマー病などの病気とどのように関わっているかを知るにつれ、私はその新たな知識をさっそく実生活に活かしはじめた。そして、いくらも経たないうちに、自分のエネルギーのレベルが上がっていることや、その感覚が1日中続いていることに気づきはじめた。
 思考はよどみなく流れ、気分も晴れやかになっていた。ものごとに簡単に集中できるようになり、あまり気が散らなくなった。その上、当初の目的ではなかったが、それまでどう頑張っても落ちなかった脂肪が落ち、人生で最高の体型も得られた。こんなボーナスなら大歓迎だ!母のために始めたリサーチだったはずが、脳を健康にする最新の食餌療法に、私が夢中になってしまったのだ。
 思いがけず、私は埋もれていた知識を掘り当てたのだ。
 つまり、脳を認知症と老化から守るための食べ物が、 今すぐに脳の働きを改善してくれることだ。未来の自分に投資することによって、今日、自分の生活を向上させることができるのだ。
(p33)

 

50代でアルツハイマー病の症状が現れた母親のために行ったリサーチが、本書を執筆するきっかけだったと著者はまえがきで述べています。優しい視点とともに、切実さが伝わってきます。だんだん自分のコンディションが良くなってきている様子も分かるのが良いです。

 

気になるところだけピックアップしましたが、長くなるので、興味のある方だけお進みください。

 

 BDNFは脳の最高のビルダーだ


 オメガ3系脂肪酸、とりわけDHAは「脳由来神経栄養因子 (BDNF)」というタンパク質を増やすことによって、脳をじかに支えている。脳の奇跡の肥料といわれるBDNFは、記憶の中枢の神経 細胞の新生を促すだけでなく、今ある神経細胞が生き延びられるように助けるボディガードでもある。シャーレ (ペトリ皿)の神経細胞にBDNFを振りかけると、その驚くべきパワーを見ることができる。何かを学んだり覚えたりしたときに神経細胞から伸びるトゲ状の物質――樹状突起が、 伸びるのだ。
 BDNFの量が増えると、短期間で記憶力や気分、実行機能が改善され、脳の長期的な可塑性も強化される。「可塑性」という言葉は、脳の変化する働きを表す神経科学の用語だ。アルツハイマー病やパーキンソン病などの疾患ではこの可塑性の働きが衰えるが、BDNFも減少する。実際に、アルツハイマー病を発症した脳には、健康な脳の半分のBDNFしかないこともあり、その量も簡単には増えないという。うつ病は、BDNFが減るために生じるともいわれており、BDNFを増やすと症状も改善する。
 神経細胞を保護して成長させる、この強力なホルモンを増やす最善策の1つが運動だ。一方、食生活では、オメガ3系脂肪酸DHAを摂取することが最善策だと言われている。DHAは健康な脳を構築するための重要な成分で、研究者は人類の脳が初期のヒト科から現在の大きさになったのは、この特別な脂肪のおかげだと考えている。 魚を食べることによってDHAを含むオメガ3系の血中濃度が高くなると、徐々に脳の体積が増加するのはこれが理由かもしれない。だがDHAの親友、EPAも忘れてはいけない。炎症は脳のBDNFを枯渇させることがわかっているが、EPAがその炎症を強力に抑制してくれるのだ。


 脂肪が脳の交通渋滞を解消する

 

 私は子どもの頃、今の時代によく見られる症状とよく似た問題を抱えていた。 注意力が散漫で、教室でじっと座りながら授業に集中することが苦手だったのだ。結果的に、いい成績を取るために努力した。学校の指導カウンセラーが、私を心理学者のところにつれていくように両親に勧めたこともあった。
 私が抱えていた問題は実行機能、つまり計画や意思決定、注意力、自己制御など、さまざまな認知機能に関わるものだった。実行機能は、日常生活の広範囲に及ぶ営みに関わりがある。そのため専門家のなかには、人生で成功するには知能指数や生まれつきの学力よりも、実行機能が重要だと考える者もいる。そしてありがたいことに、研究によれば、食事で摂取する脂肪が、実行機能を最適化できるという。

 あらゆる認知機能と同じく、実行機能もやはり神経伝達物質が正常に働くことで成り立つ。そうなるとオメガ6系とオメガ3系のバランスが悪い場合、困ったことになるかもしれない。
 ある研究では、オメガ6系の摂取量が少ない子どもは、実行機能が優れていたという観察結果が出ている。 注意欠如・多動症(ADHD)と診断された子どもたちの場合、その症状は実行機能に関わっていることが多く、ある研究ではADHDと診断されていない子どもたちも含めて、オメガ3系のサプリメントを摂取することで注意力が改善したという(私は子どもの頃にマーガリンと穀物油を摂っていたが、私の問題はそれが要因だったのだろうか? はっきりとは断言できない。だが、あながち外れているとも言いきれない)。
 体調を改善するために摂取する脂肪を変えたいなら、思い立ったが吉日だ。ベルリンのシャリテ医科大学病院の臨床試験によると、ただ魚油のサプリメントを摂取するだけでも効果があるという。この研究では、成人の被験者が1日あたり1320ミリグラムのEPAと、880ミリグラムのDHAを含むオメガ3系脂肪酸サプリメントを与えられた。2週間後、オメガ3系のサプリメントを摂取した被験者の実行機能が、プラセボ群より2パーセント向上していた。しかもプラセボ群の認知機能は、わずかに低下していた。 またオメガ3系を摂取した被験者は、脳の灰白質の容積が増え、「白質が構造的に完全な状態になっていた」という。たとえば、こう考えてみよう。白質は脳の高速道路網で、その追い越し車線を通って、データがさまざまな地域のあいだを行き来している。先ほどの研究の場合、オメガ3系のサプリメントの摂取によって、道路の整備チームが出動したかのように、高速道路の凸凹が埋められて滑らかになり、その上、車線まで増えたのと同じ効果があったのだ。
 もしあなたが世界中で何らかの精神疾患を患う4億5000万人のひとりだったら、食事にオメガ3系脂肪酸をもっと加えれば同じ恩恵が得られるのだろうか? この問いに答えるべく、メルボルン大学の研究チームが、精神病性障害の病歴のある10代と20代前半の被験者に魚油を与えた(魚油なら精神病治療薬を使う場合と違って偏見を持たれないため、患者にも受け入れやすい)。
 この臨床試験の被験者は、それぞれ700ミリグラムのEPAと、480ミリグラムのDHAを毎日与えられた。3ヵ月後、魚油を摂取したグループは、プラセボ群に比べて精神疾患の症状が出ることが大幅に減っていた。だが、もっと驚くべき発見があった。この7年後に医師が被験者を診察すると、プラセボ群の4パーセントは完全な精神疾患に移行していたが、魚油を摂取した被験者のうち精神疾患に移行していたのは10パーセントだけだった(つまりリスクが4分の1減った)。その上、脳機能がかなり改善し、疾患の症状を抑えるための薬の量も減っていた。
 では、魚油はメンタルヘルスの万能薬なのだろうか? 残念ながら、答えはノーだ。 それでもこの研究は、はっきりとしたエビデンスを提供してくれている。

(p70)

 

オメガ3系脂肪酸は脳に良いらしい、とぼんやり知っている程度でしたが、

「記憶力や気分、実行機能が改善され、脳の長期的な可塑性(かそせい。固体に外力を加えて変形させ、力を取り去ってももとに戻らない性質)も強化される」

と聞いたら、もう摂らない理由などない、という気分になります。そして運動も頑張ろうと思いました。

 

 トランス脂肪酸は怖がるべき脂肪だ


 トランス脂肪酸は、飽和脂肪酸に似たふるまいをする不飽和脂肪だ。自然界で生成されるトランス脂肪酸として共役リノール酸(CLA)があるが、これはミルクやグラスフェッドの食肉に含まれている。この共役リノール酸はとても健康的な脂質と考えられ、代謝の正常な働きや血管の健康、ガンのリスクの減少に関わっているとされている。だが、天然由来のトランス脂肪酸は、現代人の食生活では、どちらかといえば珍しい存在だ。
 人間が摂取しているトランス脂肪酸のほとんどは、工業的につくられたものだ。こうした人工的なトランス脂肪酸は、ただ悪いだけではない。ダース・ベイダーがヴォルデモート卿と結託するくらい始末に負えないのだ。トランス脂肪酸は、初めは多価不飽和脂肪酸の油だが(これは血液脳関門を自由に通過できる)、水素が加えられると生成される。この油は水素添加油脂、あるいは部分水素添加油脂という名前で、食品のパッケージに表示されている。水素を加えることで、この油脂は飽和脂肪酸のようにふるまい室温で固まる。このような食品を製造する理由は、2つある。安価な油によって、食品に濃厚なバターのような風味を加えられること。そして、その食品の保存期間を伸ばせること。そのため、こうした油脂は主に加工食品、ケーキ(油の分離を防ぐ)に含まれている また、いかにも健康食品っぽく包装されたビーガン用「チーズ」スプレッドにも含まれている。
 人工のトランス脂肪酸は炎症性が高く、インスリン抵抗性や心血管疾患を促進する(善玉のHDLコレステロール値を下げ、総コレステロール値を上げる)。近年のメタ分析 (研究の研究)では、トランス脂肪酸の摂取は全死因死亡率、つまり何らかの要因により早期に死亡する率が34パーセント上がることと関係があるとわかった。
 脳にとっては、トランス脂肪酸はとりわけ有害かもしれない。細胞膜の流動性の話を覚えているだろうか? トランス脂肪酸神経細胞の膜にとけ込み、死後硬直を起こした死体のように硬化させてしまう。そうなると神経伝達物質の働きが損なわれ、細胞が栄養素や燃料を受け取るのも難しくなる。研究では、トランス脂肪酸の摂取と脳の萎縮や、アルツハイマー病のリスクが極端に増えることとの関連が指摘されている。
 また、健康な人のトランス脂肪酸の摂取が、記憶力の悪化と関わっているという。2015年に発表された論文によれば、被験者がトランス脂肪酸を1グラム摂取するごとに、指示された言葉を思い出せる率が0.76ワード減ったという。そして最も多くトランス脂肪酸を摂取した被験者は、まったく摂取しなかった被験者より思い出せる言葉が12ワード少なかった。
 では、単に水素添加油を避ければ安全なのだろうか? 実は、多価不飽和脂肪酸を加工するだけでもトランス脂肪酸が生成される。 研究者たちは、市販されている多くの食用油の容器に、少量のトランス脂肪酸が潜んでいるのを見つけた。たとえオーガニックでも、圧搾されたキャノーラ油には、5パーセントのトランス脂肪酸が含まれている。私たちは平均で、1日に1人あたり約20グラムのキャノーラ油やほかの植物油を摂取している。となると、毎日トランス脂肪酸を1グラムずつ摂取していることになる。
 先ほど述べたように、コーン油や大豆油、キャノーラ油(また、そうした油を使ってつくられた食品)を避けるのはもちろん、「水素添加」や「部分水素添加」の油脂も避けよう。そうすれば、あなたの身体に人工的なトランス脂肪酸が入りこむことはないだろう。


 脂肪が栄養を運ぶ

 

 最後に、よい脂肪(卵、アボカド、脂質の多い魚、エクストラバージンオリーブオイルなどの高脂肪の食品)をもっと食事に加えた場合の、絶対に見逃せない利点に触れておこう。このような脂質は、ビタミンAやビタミンE、ビタミンD、ビタミンKなど、脂溶性の必須のビタミンや、β-カロテンのような重要なカロテノイドの吸収を促してくれる。こうした栄養素はDNAの損傷を防いだり、体内にある脂肪を保護したり、脳を加齢から守ったりと、広範囲にわたる恩恵をもたらす。
 カロテノイドは、ニンジンやサツマイモ、ルバーブ、またケールやホウレンソウなどの葉物野菜に豊富に含まれる黄色やオレンジや赤の色素で、脳の強力なブースターといわれている(濃い緑の葉物野菜のカロテノイドは、葉緑素クロロフィル)の緑の色素によって隠れてしまうため目には見えないが、ちゃんとそこにある)。カロテノイドのうち、ルテインとゼアキサンチンは神経系の働きを改善し、「結晶性知能」、つまり人が一生のあいだに獲得していく技能や知識を適用する能力とも関連があるという。
 カロテノイドを血液中に入れるには、脂肪と抱き合わせにする必要がある。たとえばサラダを食べる場合、脂質を含む食品と一緒に食べないと、カロテノイドはごくわずかしか吸収できない。サラダにかけるものとして最高の選択肢は、エクストラバージンオリーブオイルだ。これを、たっぷりかけることをお勧めする。あるいは、単に全卵をいくつか添えるだけでもいい。
 パデュー大学の研究では、サラダに全卵を3つ加えた被験者は、1つも加えなかった被験者と比べて、カロテノイドの吸収が3倍~8倍に増えたという。もし卵を食べられないのなら、アボカドを加えてもいい。そうすればカロテノイドのような脂溶性の栄養素のすばらしい恩恵にあずかり、脳の働きがグンとよくなるだろう。
(p86)

 

「善玉のHDLコレステロール値を下げ、総コレステロール値を上げる」

と言われたら、今後なるべくトランス脂肪酸は避けて通ろう、と思っちゃいますね。

日本では外国と比べ摂取量が少ないから規制されていません、と言われても、回避できるのであれば回避したいです。

 

「カロテノイドを血液中に入れるには、脂肪と抱き合わせにする必要がある。たとえばサラダを食べる場合、脂質を含む食品と一緒に食べないと、カロテノイドはごくわずかしか吸収できない。サラダにかけるものとして最高の選択肢は、エクストラバージンオリーブオイルだ。」

サラダを食べるとき、億劫がってなにも付けずに食べたりしていましたが、こういう作用を知らないがゆえの愚行だよなぁと思いました。せっかく食べてても、もったいなかったです。

 

(…)どれも血糖を急激に増やし、食欲と脂肪の貯蔵をコントロールするホルモンを勝手にいじる。だが近年、ある甘味料が、物議をかもしている。私たちの食の環境の隙間から、音も立てずに忍びこんでくるその甘味料は、果糖だ。
 果糖は、ブドウ糖とは別の経路で吸収される。つまり血流を利用せず、特急列車に乗って肝臓に到達する。ドクター・ルスティヒは、生物学における果糖の独特の作用を「等カロリーだが、等代謝ではない (isocaloric, but not isometabolic)」と表した。(接頭辞の iso は 「等しい」の意)。要するに、ほかの糖質と同じくグラム数が同じならカロリーも同じだが、代謝となると果糖のふるまいはかなり特異らしいのだ。果糖は血糖を増やさず、インスリンの分泌も増やさない――少なくとも最初は。たいていの食品メーカーは、この違いを利用して、果糖で甘味をつけた食品を健康志向の顧客や糖尿病患者に売っている。
 果糖が肝臓に入ると「脂肪合成(リポジェネシス)」を誘発する。つまり文字どおりに脂肪がつくられる。じつのところ、炭水化物はどれも過剰に摂取すると脂肪合成が誘発されるが、果糖はその作用が最も強いかもしれない。肥満学会誌 『オベシティ』に掲載された短期の研究によると、健康な人が果糖を加えた高カロリーの食事をとると、ブドウ糖の場合と比べて肝臓の脂肪が2倍近く増加したという(それぞれの比率は、113パーセント対59パーセント)。
 果糖によって肝臓で脂肪が過度につくられると、余った分はトリグリセリド(中性脂肪)として血液中に放出される。食事で脂肪を摂ったあとも、やはり血液中のトリグリセリドが一時的に増えるが、果糖による脂肪合成は、かなり高脂肪の食事をとったときよりもたくさんの脂肪を血液中に送りこむ。そのため、果糖の含有量が多い菓子やスナックを食べると、実際に血液は薄いピンク色に見えるかもしれない。また空腹時のトリグリセリドの検査値(代謝の異常と心血管疾患のリスクを調べるために使われるマーカー)が、炭水化物の摂取、とりわけ果糖によってほぼ例外なく上昇するのも、それが理由だ。
 果糖はすぐに血糖に大きな影響を与えることはないが、頻繁に摂取すれば、いずれ血糖が増える。なぜかというと、肝臓に負担がかかって炎症が生じ、細胞が血液からブドウ糖を「吸い上げる」力が損なわれるからだ。これは人類が自然界にある旬の果物を食べて脂肪をたくさん貯蔵できるように適応した結果かもしれない。だが現代では、それが糖質を摂ると二型糖尿病の発症率が跳ね上げる理由になる(今こそ、果糖の含有量が多い甘味料――たとえば90パーセントが果糖のアガベシロップなどが、健康志向の人や糖尿病患者にとって本当に正しい選択なのかを問うべきだろう)。
 果糖の複合効果は、脳内の遺伝子の発現を変化させるかもしれない。 UCLAの研究チームは、毎日ラットに1リットルの炭酸飲料と同量の果糖を与えた。6週間後、ラットに典型的な錯乱が起きはじめた。血糖とトリグリセリド、インスリンが増えて、認知機能が崩壊しはじめたのだ。水だけを与えられたマウスと比べて、果糖を与えたマウスは、迷路を抜けだすのに2倍の時間がかかった。だが何より研究チームを驚かせたのは、果糖を与えられたほうのラットの脳で1000に近い遺伝子が変わっていたことだった。その遺伝子は、愛らしいピンクの鼻やふさふさのヒゲをつくるためのものではなく、パーキンソン病うつ病双極性障害などに関わる人間の遺伝子と同種のものだった。この遺伝子破壊は非常に深刻で、UCLAが発表した記事によれば、研究チームを率いるフェルナンド・ゴメス・ピニーリャは、脳への影響という観点から「食品は医薬品のようなものだ」と述べている。だが、食品の力はポジティブな方向にも働く。果糖は認知機能と遺伝子発現の両方にネガティブな影響を与えたが、その影響はラットにオメガ3系脂肪酸DHAを与えると軽減したという。
 アメリカの530万人の外傷性脳損傷の患者にとっては、糖質の過剰摂取による脳の負担を避けることが、状況改善の鍵となるかもしれない。果糖を多く含む食事は、ラットの脳の可塑性を損ない、その結果、頭部の外傷の治癒力が低下した。ラットと人間は同じではない。だが脳の損傷は、実験動物で簡単に再現できる器質性疾患だ。自然な形ではラットやマウスに発症しない複雑な疾患とは違う。


 人間のフォアグラ
 

 一般的に、果糖などの糖質の摂取は、非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)を発症する大きな要因となる。現在、アメリカでは7000万人の成人(人口の30パーセント)がこの疾患に侵されている。この数字は、甘いものがやめられない私たちの傾向について何かしら対策を考えないかぎり、これから数年のうちに爆発的に増えることを告げている。2030年までに、アメリカの人口の50パーセントがNAFLDを発症するといわれている。そして、世界中でぼう大な数の人に見られるインスリン抵抗性は、このNAFLDの病状の重さと比例している。とはいえ、脂肪肝のエピデミックを体験している生物は、私たちだけではない。
 カモとガチョウも人間と同じく、だがそれよりもっと大きな規模で、余ったカロリーを脂肪という形で肝臓に大量にため込むことができる。これは長距離を飛行するとき、餌を食べるために止まらなくていいように発達した習性だ。そしてこの習性は、世界中の人が堪能しているフランスの珍味、フォアグラをつくるために利用されている。
 フォアグラは、栄養をふんだんに与えられたカモやガチョウの肝臓だ。濃厚なバターのような舌触りが珍重されてはいるが、本来の肝臓とはまったくの別物だ。フォアグラをつくるためには、健康なカモやガチョウの咽喉にチューブを差し込み、穀物(通常はトウモロコシ)を強制的に流し込む。つまり自然な形で食べるよりもはるかに多い炭水化物を摂ることになる。そして肝臓は脂肪がついて肥大し、普通の大きさの10倍近くになる。 肝臓がそこまで肥大すると血流は悪くなり、腹圧は高くなり、呼吸も十分にできなくなる。またストレスから、肝臓やほかの臓器が破裂することもある。この残酷で非情な肥育法は、極端にいえば、私たちが糖質を摂取しつづければどうなるかを教えてくれている。

(p116)

 

マウスの実験がそのままヒトにも当てはまるわけではない、と思うのですが、

「水だけを与えられたマウスと比べて、果糖を与えたマウスは、迷路を抜けだすのに2倍の時間がかかった。」

という実験がちょっと怖い。

糖質の過剰摂取は脳の負担であるということが分かっただけでも良かったです。糖質に振り回されそうになったときに思い出したい。

 

「2030年までに、アメリカの人口の50パーセントがNAFLDを発症するといわれている。」

と、さらっと書かれているけど、2人に1人が非アルコール性脂肪性肝疾患って、とんでもないですよね。

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)と診断された身内がおりますが、もともとアルコールを飲んでいないうえで食事療法で肥満を解消するのは、なかなか大変そうでした。普段の食事、間食、嗜好品と、何やかんや医師から制限されていました。

肝臓を10倍にさせられるカモやガチョウも想像するとしんどいけど、自らの身体を似たような状態にしている人がたくさんいるというのも恐ろしいです。

 

 果物は「制限なく」食べても問題なく、むしろ有益だ、などと言われることが多い。だが進化という見地に立つと、果物(とりわけ現代の品種改良された糖度の高いもの)は、体内の代謝を騙(だま)す名人かもしれない。これは論理的には適応、つまり私たちが冬場をしのげるよう脂肪をため込むための一時的な特性だといえる。私たちの祖先は緑の背景から赤く熟した実を識別することを「唯一の目的」として、赤と緑の視覚を発達させたといわれている。つまり進化的に見れば、果物には飢えた狩猟採集民の命を救うほどの価値があったのだ。現代の場合、365日いつでも糖度の高い果物を食べることは、身体が決して訪れない冬に備えていることにほかならない。
 ブドウやほかの甘い果物をたらふく食べつづけると、脳にどんなことが起きるだろうか?いくつかの大規模な研究が、何かしらのヒントを与えてくれている。ある研究では、認知機能の正常な高齢者が果物をたくさん食べることと、海馬の体積が小さくなることに関連が見られたという。果物をたくさん食べる人には、たいがい健康的な兆候が見られるため、このような知見は珍しい。この研究では、被験者の食べたものの成分がすべて特定され、その結果、果物は記憶をつかさどる部位には何の恩恵も与えていない可能性があるという。メイヨー・クリニックの研究でも、果物の摂取と皮質、つまり脳の外側の広範囲にわたる層の体積とが反比例しているという結果が出ている。メイヨー・クリニックの研究チームは、糖度の高い果物(イチジク、デーツ、マンゴー、バナナ、パイナップル)の過度の摂取は、炭水化物の加工食品と同じように、代謝異常や認知機能障害を誘発するかもしれないと論文に記している。
 とはいえ、果物には重要な栄養素がさまざま含まれている。そしてありがたいことに、低糖の果物には、そうした重要な栄養素が最も豊富に含まれている。たとえばココナッツ、アボカド、オリーブ、そしてカカオ(いや、チョコレートのことを果実といっているわけではない………だがダークチョコレートは、脳に数えきれないほどの恩恵をもたらしてくれる。これもジーニアス・フードだ)だ。また、ベリーもすばらしい果物だ。なぜなら果糖が少ない上、記憶力を高めアンチエイジングの効果もある抗酸化物質が特に多く含まれているからだ。 ナースヘルス研究[看護職を対象に疫学研究を行っている研究機関] は、1万人の女性看護師の食事を長期にわたって調査した。そして最も多くベリーを食べた看護師の脳をスキャンした結果、2.5年若返っていたという。近年の研究論文の分析によれば、全般的な果物の摂取と認知症のリスクの減少との間に関連性はないが、ベリーだけは例外だという。やるじゃないか、ベリー!


 私たちは待つべきか?
 

 アメリカの国民にジャンクフードを売るために、毎年何十億ドルもの金が使われている。だが、そういった巨大な企業は、雑誌やテレビの広告スペースに金を出す以上に、ジャンクフードと肥満との関係を軽視するような研究に、たびたび資金を提供している。近年、『ニューヨークタイムズ』紙が、ある実態を暴露した。ある研究グループ――炭酸飲料を製造販売する最大手の企業から資金提供を受けている――が、世界中に広がる肥満と二型糖尿病は食生活のせいではなく、怠惰と運動不足のせいだと主張しているというのだ。この研究グループの幹部は、次のように述べている。

 

 大手メディアや科学誌の言うことは、こればかり――「ああ、みんな食べすぎだ。 食べすぎだ。食べすぎだ」いつも責めたてられるのは、ファストフードや甘い飲み物のような食品だ。ところが、確かにそれが原因だ、という説得力のあるエビデンスは、実のところない。


 運動は、脳を含めて身体の健康を保つためには欠かせない。とはいえ、数々の研究では、運動が体重に与える影響は、何を食べるかに比べれば微々たるものだということがわかっている。
 フィットネスに熱中している人なら、「腹筋はキッチンでつくられる」ことを知っているが、過体重や肥満の人にしてみれば、このような発言は、ただ混乱が続くばかりで何の解決にもならない。こういうやり方は社会の一番弱い人たちに罠を仕掛けて、認知障害や早死にへと向かわせることにほかならない。私は決して大げさに言っているのではない。今までで、喫煙習慣より食習慣がアメリカ人の命を奪うようになったのは初めてだ。事実、循環器関連の学会誌『サーキュレーション』に掲載された最新のデータによると、毎年20万人近くの人が、糖を添加した飲料だけによる疾患で死亡しているという。この数字は、2015年の全世界のテロによる死亡者の7倍にあたる。
 喫煙についていえば、今やタバコと肺ガンの因果関係ははっきりしているが、その歴史的な経緯をちょっとだけのぞいてみよう。20世紀半ばに誰もがタバコを吸うようになるまでは、肺ガンは「非常に珍しい」病気だった。にもかかわらず、肺ガンが急増した主な要因がタバコだと医師たちが確信するに足る「証拠」が論文に現れるまで数十年もかかった。
 医師が公然とタバコを推奨する1940年代の呆れかえるような宣伝広告(グーグルで簡単に見つかる)を、誰が忘れるだろうか? 1960年代になっても、その20年前からはびこる肺ガンのエピデミックは喫煙のせいだとわかっているのに、アメリカの医師の3分の2は、タバコが有罪かどうかはまだ確定していないと考えていた。

(p124)

 

ジーニアス・フードその3と4のブルーベリー、ダーク・チョコレートについての話がここで出てきます。

「最も多くベリーを食べた看護師の脳をスキャンした結果、2.5年若返っていたという。近年の研究論文の分析によれば、全般的な果物の摂取と認知症のリスクの減少との間に関連性はないが、ベリーだけは例外だという。」

この本を閉じて真っ先に冷凍のブルーベリーを買いに行きました。

 

「運動は、脳を含めて身体の健康を保つためには欠かせない。とはいえ、数々の研究では、運動が体重に与える影響は、何を食べるかに比べれば微々たるものだということがわかっている。」

やはり食生活をおろそかにして、健康な体は手に入らないということがまざまざと思い知らされます。

 

 その一方で、脂肪はいつでも燃えることができるように待機している。脂肪は身体のいわば薪であり、たった約16キロから脳の予備エネルギー3000カロリー以上が得られる。平均的な体重の人なら万単位のカロリーを予備エネルギーとして持ち歩いているが、肥満の人は数十万カロリーもの予備エネルギーを運んでいるかもしれない!そしてブドウ糖とは違い、脂肪として貯蔵できるカロリーは事実上、無制限だ。
 飢餓の状態で皮膚の下や胴まわりの脂肪組織が分解されると、脂肪酸が血液中に流れだし、肝臓によって「ケトン体」、もしくはシンプルに「ケトン」と呼ばれる燃料に変換される。ケトンは脳細胞に簡単に取り込まれ、必要なエネルギーを最大60パーセントまで補給できる。ケトン研究の先駆者、リチャード・ビーチは、2004年に発表した論文にこう記している。「ケトン体は“スーパー燃料〟と呼ぶにふさわしい」。その理由を説明しよう。

 汚染の解決策?

 

 ブドウ糖とは異なり、ケトンは「クリーンに燃える」燃料と考えられている。なぜなら、ブドウ糖より少ない代謝プロセスで、取り込んだ酸素からより多くのエネルギーをつくり、その結果、エネルギー変換時に生成されるゾンビ分子(フリーラジカル)が少なくなるためだ。また、フリーラジカルを中和する力が強いグルタチオンという天然の抗酸化物質を使える機会も大幅に増える。つまりケトンを利用することで、アンチエイジングが半額セールの状態になるためだ。
 ケトンの恩恵は、そこで終わらない。ケトンが脳にあると、BDNFを増産する遺伝子経路が活性化されることが研究で示されている。BDNFは気分を改善したり、学習能力や可塑性を促したり、神経細胞を日常的な損傷から守ったりといった、いわば脳の「成長ホルモン」だ。第5章で述べたように、ケトンは脳への血液の供給にも一役買い、30パーセントも血流を増やすという。
 炭水化物をふんだんに摂る「普通の」西洋型の食生活において、この有益なケトンの合成は、ほぼ抑えられた状態にある。なぜなら、高炭水化物食によって膵臓インスリン分泌が刺激され、インスリンが増えるたびにケトンの合成が止まるからだ。
一方、絶食や、炭水化物を極端に減らした食生活によってインスリンが抑えられると、ケトンの合成が誘発される。
 では、この2つのケトン合成ルートについて探求してみよう。

 

 インターミッテント・ファスティング~断続的な断食~
 

 今、人類はほとんどの時間を食べることに費やし、絶食状態で過ごすことはめったにない。
 大多数の人は目覚めたときから、眠りにつく前まで食べている。だが、人類の歴史の大部分においては、そうではなかった。宗教やダイエットの本が、むやみにエネルギーの欠乏状態になるべきではないと教えるずっと前、農耕生活を始める前の祖先たちは、食料供給の見通しが立たなかったため、定期的に絶食を経験していた。彼らの脳(と私たちが受け継いだ脳)は、この不確実性のなかで鍛えられ、食べる時期と絶食の時期を振り子のように繰り返す生活に見事に適応した。
 食料の摂取を周期的に制限することによって、身体は生理学的な適応を強いられ、ケトンを合成する。断食(ファスティング)の方法はいろいろあるので、好きなものを選ぶといいだろう。お勧めは、最後に栄養を取り込んでから16時間、何も食べない状態を維持する方法だ。 これは一般的に普及している「16:8」メソッドというファスティングだ(つまり16時間は何も食べないが、残りの8時間は食べてもいいというものだ)。 このファスティングは毎日行うことができて、ファスティングの多くの恩恵が得られる。具体的にはインスリンの分泌量が減り、蓄えられた脂肪の分解が促される(女性には16時間ではなく、12~14時間から始めることを勧めている。女性のホルモンのシステムは、食料難のシグナルに対して敏感に反応する可能性があるためだ。たとえば絶食時間が長くなると、生殖能力に悪影響がおよびかねない)。
 12~16時間のファスティングは、必ずしも必要ではない食事、つまり単に朝食を抜くことで達成できるかもしれない。毎晩、睡眠中に持ちこたえている絶食時間を延ばすとなれば、身体の目覚めのホルモンであるコルチゾールも活用することになる。コルチゾールの分泌は、起床してから30~45分がピークだ。 このホルモンは、エネルギーとして使うために備蓄された脂肪酸ブドウ糖、タンパク質を動員するという、おまけもついてくるので(それについては第9章で)、夕食を抜くよりもお得だ。
 朝食を抜く別の利点は、社交行事として夕食をとる機会が多いため、それより前の時間に食べるのをやめるよりは、食べはじめる時間を遅らせるほうが成功しやすいからだ。だが、もしあなたが朝食を抜くのが無理なら、夕食を早めに済ますという手もある。これは、ルイジアナ州立大学の最近の研究によって裏づけられている。この実験では、過体重の被験者が午前8時から午後8時のあいだに、つまり大多数の人の平均的な食事の時間帯に1日のカロリーを摂取した。だが研究チームが、夕食を抜いて午後2時に食べるのをやめるよう被験者に指示すると、ブドウ糖ではなく、脂肪の燃焼(つまりケトン)が増加した。また、代謝の柔軟性の改善も見られた。要するに炭水化物と脂肪の燃焼の切り換えを行うスイッチの働きがよくなったのだ。
 となると週に1、2度、夕食を軽めにしたり、早めに済ませたり、あるいは抜いたりすることで、脂肪の燃焼作用が促進されるということだ(遅い時間に食事をとると、夜中に活動が収まる自然な身体のメカニズムを妨げてしまう)。
 このほかにも、目下研究が進んでいるファスティング法がある。1日おきのファスティング(16:8メソッドのような「時間制限による食事」の方法)や、断続的な超低カロリー食(VLCD)だ。
 このVLCDのもとになる理論は、炭水化物の摂取の有無にかかわらず、身体が蓄えられた燃料を放出してエネルギー不足に対応するというものだ。これは、「断食模倣食(FMD)」といわれ(ヴァルテル・ロンゴという研究者が提唱した食餌療法)、老化や糖尿病、ガン、神経変性疾患、心血管疾患のリスクを減らしたり、バイオマーカーの数値を下げたりといった大きな恩恵にあずかれる可能性があるという。
 さまざまあるなかから、あなたはどのファスティング法を選べばいいだろう?
 ヘンリー・デイヴィッド・ソローは、「人生は、細部を気にしていると浪費されていく」という名言を残している。どれを選ぶ(そして、それをきちんと実行する) かに関していうなら、男女を問わずほとんどの人が、起床してから1、2時間(かそれ以上)は何も食べず、就寝前の2、3時間は何も食べない、というやり方で恩恵が得られるだろう。 
(p216)

 

糖質を極端に制限してケトン体を増やし、エネルギー源としてケトン体を使うことで痩せるという「ケトン体ダイエット」について、全然分かっていなかったですが、本書で少し理解が深まりました。単に糖質を控えれば良いのかな、というイメージでしたが、葉物野菜を肉・魚以上の量摂らなければいけない、など他にもルールがあるそうです。

ケトン体についてはこちらのサイトにわかりやすく書かれています。

health2sync.com

 

ファスティングも気になっていましたが、女性におすすめなのか謎で、試したことはありませんでした。BMIの値とかによっては、やっちゃいけない人もいるらしいし。

「男女を問わずほとんどの人が、起床してから1、2時間(かそれ以上)は何も食べず、就寝前の2、3時間は何も食べない、というやり方で恩恵が得られるだろう。 」

ひとまずここだけ覚えておこうと思います。

 

 子どもの頃、母はユダヤ教のヨム・キプル(贖罪日)の慣例として、私に毎年(無駄に)丸1日断食をさせようとした。私には、無意味な自虐的行為にしか思えなかった。とはいえ、今なら何時間だってやすやすと断食ができる。
 脳の要求に抗わないでブドウ糖を与え続けると、依存症になる。急に炭水化物を摂らなくなると頭痛や疲労が起きるのは、そのためだ。私はこれを、ピッツァやペストリー菓子ばかり食べていた10代前半の頃に経験した。だが、あなたが定期的なファスティングと併せて低炭水化物食を断続的に行うと、代謝を「初期設定」の状態に戻す生理的な地固めができる。インスリンの分泌を減らし、ケトンの合成を促せば代謝の柔軟性を取り戻すことができる。その結果、代謝があなたにしたがって働くようにしつけられ、それに逆らうような働き方をしなくなる。それこそが代謝の理想の姿だ。
 次に挙げる7つのステップは、代謝の柔軟性を取り戻すことを目標にしている。具体的には体脂肪からケトンを合成し、それをエネルギー源とする回路に脳を適応させる。このステップは、ファスティングによる連鎖反応を真似たものでもある。3~7日のあいだに「空腹によるイライラ感」と頭痛が起きるかもしれないが、理論的にはケトンを燃料に変えるための酵素を脳が上方制御しているためだと考えられる。
 各ステップに示した時間は、まだケトン回路に適応していない状態での概算だ。

 

1. 最後に摂った炭水化物によるエネルギーが枯渇する(4~12時間)。
2. 身体に蓄えられたエネルギーが枯渇する。体格によって個人差はあるが、肝臓がお
よそ100グラムの炭水化物をグリコーゲンという形で貯蔵できるのを思い出してほしい(2~18時間)。
3. 筋肉を維持するためにアミノ酸の分解を減らす(20~36時間)
4. 糖新生のためにアミノ酸を分解する(24~72時間)。
5. ケトンの合成と活用を増やす (48~72時間以上)。
6. ケトンをエネルギー源に変える脳の酵素を上方制御する。これは最大で1週間かかるが、激しい運動によって貯蔵されたグリコーゲンを早く使いきったり、低炭水化物食を徹底させたり、あとで述べる「中鎖脂肪酸」を組み入れたりすることで短縮できる(1~7日)。
7. 代謝の柔軟性を得る。この状態になれば、たまに炭水化物を摂っても――特に運動中や運動後に摂る場合、脂肪燃焼モードは妨げられない。

 

 食べ物から本当の意味で自由になるための鍵は、ブドウ糖依存を断ちきり、人類の祖先が持っていた代謝の柔軟性を取り戻すことにある。炭水化物の制限をはじめた数日後には、空腹感や、高炭水化物の食品が欲しくてたまらない状態は徐々に収まり、やがて消える。次に挙げるのは、体内で脂肪燃焼モードが活発に働いているサインだ。
 ・数時間、何も食べなくても誰かに八つ当たりしたいと思わず楽に過ごせる。
 ・食間に、デンプン質や糖質の食品を無性に食べたくなることがなくなる。
 ・頭が冴えわたってクリアになり、精神状態や活力のレベルが安定する。
 ・中強度の運動をしても、異常な食欲や疲労感を覚えない。

(p230)

 

「・食間に、デンプン質や糖質の食品を無性に食べたくなることがなくなる。
 ・頭が冴えわたってクリアになり、精神状態や活力のレベルが安定する。」

とか、すごくいい状態じゃん、と思いますが、ケトンを燃料に変えるための酵素を脳が上方制御できるようになるまで7日ほどを要し、それまで毎日糖質を1日あたり60gに抑える。うーん、すでに難しそうな気がしてきました。

 

 衛生管理のレベルが高い国ほど、アルツハイマー病の発症率が高いことを示す完璧な線形相関が見られたのだ。


 免疫のチューナー

 

 自己免疫、つまり人に備わった免疫システムが、その人の身体の一部を攻撃することがある。
 これはセリアック病やMS、 一型糖尿病、橋本病など、たくさんの一般的な疾患に見られる特徴だ。なぜ、自己免疫疾患になるのか? なぜ、このような病気が増えてきているのか? 私たちは、味方の誤射によって身体や脳がダメージを受けるように生まれついているのか? それとも、やはりこれも現代生活の罠に落ちた人間の生物学の1つの側面なのだろうか? 現代人の食生活とライフスタイルが、どのようにして複雑な免疫システムに影響をおよぼして自己免疫反応を引き起こすのかを理解するには、まず免疫システムが、一生涯「訓練」されつづけていることを理解しなくてはならない。
 大腸の内部がどうなっているのかイメージするため、ちょっとトンネルの横断面を思い浮かべてみよう。内壁の一番内側の層は、「上皮」と呼ばれる組織だ。ここには細胞がびっしり隙間なく並んでいて、腸の内部、つまり「内腔」と血管のあいだのバリアの役目を果たしている。内腔にあるものは身体の一部ではないため(肺を満たす空気のように)、科学者はこの空間を宿主をとりまく環境の一部としてとらえている。つまり腸は環境と接触している広大なインターフェイスで、皮膚よりもはるかに広い。かりに消化管をそっくり引き抜いて床に広げたら、小さなワンルームマンションの床なら、足の踏み場もなくなってしまうだろう。
 こうした理由で、体内のほとんどの免疫細胞は、消化器官で起きていることに集中するよう教えこまれている。そう言うと、あなたは意外に思うかもしれない。それどころか加工食品や3回洗浄済み(トリプルウォッシュ)のカット野菜が売られている今の時代では、資源の誤用にさえ思えるかもしれない。だが、これはしごく理にかなっているのだ。人類の歴史上のほとんどの時代、そして近代的な食品システムが登場する以前の時代、私たちの食べ物は汚れていた。ほしいときに買える、この上なく新鮮な(そして見るからにおいしそうな) 食料品がぎっしり並んだスーパーマーケットなどなかったし、何か口にするたび病院クラスの無菌を保証するような、おびただしい数の抗菌ソープや「野菜洗浄剤」とともに進化してきたわけでもない。
 旧石器時代の祖先たちは病原体を、つまり感染したら死ぬかもしれない微生物を飲み込んでしまう可能性がとても高かった。人類は早くから、このようなとてつもないプレッシャーにさらされていた。そのため危険な細菌が侵入したときに立ち向かえるように、高感度かつ高性能の免疫反応が装備された。とはいえ腸のなかには、外からやってきた微生物がうじゃうじゃしている。もしかしたら私たちの知らない戦いが、そこで繰り広げられているのだろうか?
 いや、そんなことはない。正常な免疫システムというものは、サッカースタジアムに配備された、高度な訓練を受けた警備員のようなものだ。彼らは、チケットを手にやって来る何千人もの入場者を、涼しい顔をしながら手際よく検(あらた)めていく。こうした警備員は、不審な人物を見つけるたびにいちいち質問などしない。よく訓練された警備員なら、そんな人物が問題を起こすずっと前に、その兆候を見つけられる。私たちの体内にいる細菌は、ちょうどスタジアムの観客のように、免疫システムが環境のめまぐるしい変化に適応できるよう、警備のスキルを鍛える手助けをしている。そのおかげで、免疫システムは、怪しい訪問者が来たときに簡単に見つけられるのだ。つまり腸とその住人は、免疫システムの「トレーニングキャンプ」のような役割を果たしている。
 免疫システムが基準に達していないと、侵入者をうまく見つけられないばかりか、身内の細胞を間違えて攻撃しかねない。つまり、さまざまな腸内細菌は“免疫システム警備員〟に、誰を警戒すべきかだけでなく、身内には寛容に対処することについても指導しているのだ。健康な腸には、いつでも多様な細菌が無数に住みついていると考えられている。そして正常な免疫システムは、そのたくさんの細菌に助けられているという。じつのところプロバイオティクスは、こうした仕事もしていると考えられている。プロバイオティクスは、マイクロバイオームの細菌とは違う種類から成り、体内の警備員が仕事中に居眠りをしないように目を光らせながら流れている。
 免疫システムがミスを犯して宿主を攻撃したときは、アレルギーや自己免疫反応が起きる。科学者たちは、この理由を解明するため、マイクロバイオームに焦点を当てた研究を行っている。免疫システムが暴走する理由はたくさん考えられる。たとえば過度に衛生的な生活や抗生物質の使いすぎ、食物繊維の不足、出産時に赤ん坊が母親のマイクロバイオームを獲得できない分娩方法などだ。理由は何であれ、それがスタジアムの警備員の訓練不足につながり、結果的に自己免疫反応が起きやすくなるという。
 グルテンは、混乱した免疫システムが自己免疫反応につながる最適な事例だ。そして、この事例はかなりたくさんの人に見られる。グルテンを構成する主なタンパク質の1つ、グリアジンは、私たちの免疫細胞にとっては細菌のようなものだ。グリアジンが腸に入ると、免疫システムは抗原を追跡するために抗体を送りだす。ちょうど不審者を探すように訓練されたスタジアムの警備員を出動させるようなものだ。問題は、外から入ってきた異物(グリアジンのような)の抗原が、私たち自身の細胞の表面にある目印とそっくりに見えるときがあることだ。これは「分子擬態」というが、もしかしたら病原体は、宿主の環境にうまく適応しようとして擬態するのかもしれない。たとえ病原体でも、生き延びるのに必死だからだ!そうなると体内の免疫システムが抗原と戦うために抗体をつくりだしたとき、味方である自分自身の組織も誤って攻撃してしまう。

 これは「トランスグルタミナーゼ」という酵素によく起きる。トランスグルタミナーゼは全身に存在している、健康を維持するための重要な成分だ。このトランスグルタミナーゼの機能不全は、アルツハイマー病やパーキンソン病、ALSの発症と関わりがあるといわれている。また、特に多く見られるのが甲状腺で、橋本病やバセドウ病などの自己免疫性甲状腺疾患を発症すると、甲状腺が攻撃されてしまう。 困ったことに、トランスグルタミナーゼは、グリアジンの抗原ととてもよく似た分子の目印を持っている。そのため、グルテンに過敏に反応してしまう人がグルテンを食べると身体がグリアジンだけでなく、トランスグルタミナーゼも攻撃してしまうことがある。
 グルテンを摂取した人すべての免疫システムが暴走するわけではない。だが、最近の研究では、自己免疫性甲状腺疾患の患者のセリアック病の有病率が、健康な対照群と比べて2~5倍高いという結果が出ている。実際に、自己免疫性疾患(一型糖尿病やMSなど)と同時に発症する別の免疫性疾患は、セリアック病が最も多い。これは不健康な消化管が、一見まったく関係なさそうな2つの病気に関わっていることを示している。そして、どの自己免疫性疾患の場合も、脳が攻撃の脅威にさらされている兆候だと考えられる。なぜなら、このような疾患の患者は、認知症を発症する可能性が高いことが近年の研究でわかっているからだ。心に留めておいてほしい。こうした病気は何カ月、あるいは何年もあとで現れ、それまではっきりした症状がないことも多いのだ。そして、甲状腺疾患とセリアック病の両方にかかっている多くの患者には、消化管の症状はない。これは、「腸とともに生きて」道に迷ってしまう珍しい例だ。
 だが、ただグルテンを食べなければ、この免疫システムの故障を回避したり止めたりできるわけではない。あるものを食卓に復帰させることが重要だ。だが、それは現代人の食生活からすっかり抜け落ちてしまっている。つまり食物繊維だ。食物繊維は、ある程度は免疫の混乱から私たちを守ってくれる。なぜなら酪酸塩などのSCFAが、結腸の「制御性T細胞」の発生や分化を促すからだ。この細胞は「Treg」とも呼ばれ、炎症を促すほかの免疫細胞の反応を抑制し、正常な炎症反応を促す免疫細胞だ。このTregを、やたらと喧嘩っぱやい若い隊員たちを統制する治安部隊の隊長だと考えてみよう。隊長は、身体が自分と自分でないものをきちんと区別するのを手伝ってくれる重要な人物だ。 そして、もしその重要な働きが損なわれたら、免疫システムは自らの身体を攻撃し、自己免疫性疾患へとつながりかねない。

(p268)

 

警備員の例えが分かりやすい。

「たとえ病原体でも、生き延びるのに必死だからだ!そうなると体内の免疫システムが抗原と戦うために抗体をつくりだしたとき、味方である自分自身の組織も誤って攻撃してしまう。」

この箇所を読んで、グルテンのちょっと面倒くさい部分が少し分かったような気がします。そして、食物繊維を自分が思っていたよりも重んじるべきだなと思いました。

 

(…)プレボテラ属の細菌が少なくバクテロイデス属の細菌が多い女性は、ネガティブなものに対して感情的に強く、回復力もあった。
 細菌が、この女性たちの脳に影響をおよぼしたのだろうか? それとも女性たちの脳が、腸内細菌の構成を何らかの形で変えたのだろうか? それは誰にもわからない。だが、別の研究者の実験では、先ほどのマウスの糞便移植のように、マイクロバイオームを変えただけで、マウスの行動やメンタルヘルスらしきものに変化が見られたという。この結果は、腸内細菌の種類が、脳の機能に影響をおよぼすことを示唆している。
 前述したように、最適な腸内細菌の構成はそう簡単に解けないパズルだ。また、私とあなたとでは違う可能性だってあるだろう。おもしろいことに、炭水化物の摂取が多い穀物ベースの食生活を送っている人は、腸にいる「プレボテラ属」の細菌の割合が多い傾向にあるという。
 だが、この分野で多くの科学者が認めていることが1つある。変わりやすく厳しい腸の環境で、有益な細菌を上位の座につける最善策は、食物繊維やポリフェノールなどの植物性栄養素を十分に食べ、糖質や精製炭水化物の食品を避けることだ。それが有益な細菌叢によい環境を与え、病原体を兵糧攻めにし、入り乱れた腸の生態系のなかで有害な菌種を増えにくくする。腸内細菌の真実が明らかになるのを待ちながらも、食生活を穀物ベースから食物繊維たっぷりの野菜ベースに変えることが、あなたのマイクロバイオーム(と気分)をより健やかな状態にすることは間違いないようだ。

 

 多様性のルール


 前に述べたとおり、私たちの免疫システムは、たくさんの細菌の恩恵にあずかっている。ところが、現代のマイクロバイオームに欠けているものがもう1つある。多様性だ。西欧諸国の都会人の腸のマイクロバイオームと、植物をたくさん食べる農村部の村民や狩猟採集民(必然的に食物繊維を多く摂る)のマイクロバイオームを比べた多くの研究では、近代化によって細菌の多様性が大幅に失われていることがわかったという。細菌の種類によって、その餌となる食物繊維は異なるため、多様な食物繊維を摂れば、腸内細菌も多様になる。 マイクロバイオームの研究はまだ始まったばかりとはいえ、科学者たちが合意しているのは、この多様性が宿主の健康の鍵になることだ。ある研究によると、腸内細菌の多様性を劇的に増やしたり減らしたりできるのは、食物繊維だけかもしれないという。しかも、この多様性は、あなたが自分の子どもに手渡す財産にもなりうるという。あなたの腸内細菌を最大限に多様化する方法はほかにもある。

 ・抗菌ソープや手指の消毒剤は使わない。病院のような、病原体にさらされるリスクが高い場所を訪れるなど、本当に必要なときにだけ使おう。
 ・自然と親しむ。公園を訪れたり、キャンプやハイキングに出かけたりして、屋外で過ごす時間を増やそう。
 ・浄水フィルターで濾過した水を飲む。発展途上国の場合、病原菌に汚染された水から感染病が流行するのを防ぐために塩素を使うのはとてもいいことだが、先進国で供給されている飲料水は、塩素が過度に加えられる傾向にある。
 ・シャワーの回数を減らす。あるいは石けんを頻繁に使わず、シャワーのたびではなく1回おきに使うことをお勧めする。それによって異性を引きつける匂いの分子「フェロモン」が、あなたのデートを応援してくれるかもしれない。シャンプーは週にせいぜい1、2度にとどめよう――毎日シャンプーする理由はないのだ!
 ・できるだけオーガニックの食品を買う。 オーガニックの食品には抗酸化作用の強いポリフェノールがたくさん含まれており、酪酸塩をつくる細菌や健康な粘膜を維持できる。
 ・本当に必要なとき以外は、広域抗生物質の服用を避ける。 抗生物質は、しかるべきときには命を救える――これは紛れもない事実だ。だが最近の研究によれば、アメリカで処方されている抗生物質の30パーセントはまったく必要がなく、むしろ細菌叢の生態系を荒らしてしまうという。その隙に、クロストリジウム・ディフィシルのような日和見性の病原体に住み処を占領されてしまうこともある。
 ・ペットを飼う。施設に保護されている、何千という行き場のない動物たちは、喜んであなたの腸内細菌の多様性を促進してくれるだろう。犬を飼っている女性が妊娠した場合、アレルギーのある子どもが生まれる可能性が減り、また、犬と一緒に暮らしている子どもは、喘息になる可能性が15パーセント少なくなるという研究データもある。犬と暮らすことは、家と腸の細菌の多様性を促進するのに最適だ。
 ・ゆったりする。「安静と消化」という言葉が示すとおり、消化はあなたがリラックスしているときに行われる。何かをしながらせわしなく食べると、体内のストレス反応のメカニズムが作動して消化を邪魔し、栄養素の吸収が損なわれ、あなたの細菌の友だちのいる場所まで届かなくなる。
(p288)

 

「腸内細菌の種類が、脳の機能に影響をおよぼす」というのがすごい。やはり腸活は大きなテーマだなと思いました。

それなのに、抗菌ソープや手指の消毒剤は使わない、とか、シャンプーは週に1、2度にとどめる、とか、コロナ禍で真逆とも言える行動様式を求められるのがジレンマですね。

 

「犬を飼っている女性が妊娠した場合、アレルギーのある子どもが生まれる可能性が減り、また、犬と一緒に暮らしている子どもは、喘息になる可能性が15パーセント少なくなるという研究データもある。」というのは、明るい話題だと思います。猫とか違うペットを飼っても同じようなデータが得られるのか、気になるところです。

 

 「サイコバイオティクス」現る

 

 マウスを使ってうつ病を研究する場合、マウスがどんな状態であればうつ病なのか、しっかり見きわめる必要がある。そして、マウスの幸福度を見きわめるための数ある方法の1つに「強制水泳試験」というものがある。説明しよう。まずマウスを円筒形の水槽のなかに落とす。するとマウスは、すぐさま足場を求めて必死で水をかく。メンタルが正常なマウスは水をかいている時間が長いため、生きる意欲があると解釈される。だが、抑うつ状態にあるマウスは、それよりも早い段階で絶望して水をかくのをやめ、水面から頭を出してじっと浮かんでいる。そんな方法で? と思ってしまうが、これは実際に抗うつ薬の研究や試験をするときに最初に行われるものだ。
 そしてある研究では、この手法に独特のひねりが加えられ、マウスは「ラクトバチルス・ラムノサス」というプロバイオティクスを与えられてから、水槽に落とされた。このマウスは、プロバイオティクスを与えられなかったマウスとは違い、必死に水をかきつづけた。しかも脳の一部には、抗不安作用のあるGABAの受容体まで増えていた。実験では迷走神経を切断されたマウスも使われ、同じようにプロバイオティクスを与えられたが、そのマウスにこのような兆候は見られなかった。 迷走神経は腸に分布し、脳と直接つながっている。つまり腸内細菌が、迷走神経を通じて脳とじかにコミュニケーションを取り、それが行動に影響をおよぼしたということだ。
 プロバイオティクスがマウスのうつ病を改善するなら、ほかの神経病にも効果があるのだろうか? ファストフードと同等のマウスの餌(脂質と糖質を混ぜた最悪の餌)を1日に何回も食べた母親から生まれたマウスは、自閉症と同じ社会行動の症状を見せた。このマウスの腸内細菌の数を調べたところ、「ラクトバチルス・ロイテリ」というプロバイオティクスが9分の1しかなかった。研究チームは、このマウスにプロバイオティクスのサプリメントを与えてラクトバチルス・ロイテリを増やし、その結果、自閉症による行動障害を「治す」ことができた。しかも、このマウスの脳では、神経伝達物質と似た働きをする「オキシトシン」がたくさんつくられていた。オキシトシンは、人間同士の絆を深めるホルモンだ。
 興味深いのは、私たちの体内のラクトバチルス・ロイテリの量が、自閉症の割合やファストフードの摂取の増加に伴い減少していることだ。1960年代にラクトバチルス・ロイテリが発見されたとき、この細菌は人口の30~40パーセントの体内に存在していた。ところが、今では10~20パーセントにまで減っている。理由としては、たぶん発酵食品や食物繊維をあまり摂らなくなったことや、超加工食品に依存するようになったこと、抗生物質の使用が増えたことが考えられる。このラクトバチルス・ロイテリは、たいていは母乳を通じて子どもに受け渡される。それを考えると、この細菌は、いなくなって初めてわかる大切な友人みたいなものかもしれない。


 アセチルコリン:学習と記憶の神経伝達物質
 

 アセチルコリンは、「コリン作動性システム」の神経伝達物質だ。コリン作動性システムは体内のたくさんの活動に関わっているが、主な役割はレム睡眠、学習、記憶だとされている。
 アセチルコリンの減少はアルツハイマー病と関係があり、アルツハイマー病の患者は、アセチルコリンをつくる神経細胞がダメージを受ける。今、アルツハイマー病とほかの認知症に使われている主なもう1つの治療薬は、シナプスで余っているアセチルコリン酵素が分解するのを阻害し、アセチルコリンの濃度を増やすためのものだ(1つ目の薬についてはすでに述べた。グルタミン酸の修飾薬だ)。

 アセチルコリンを最適化する

 
 アセチルコリンの機能を最適化する1つの方法は、ごく一般的で種類も豊富な「抗コリン性」の薬を避けることだ。多くの抗コリン薬が広く出まわっており、薬局で簡単に手に入り、アレルギーから不眠症まであらゆる症状に使われている。
 この薬は、その言葉が示すとおり、神経伝達物質アセチルコリンをブロックするものだ。これを使い続けると、わずか60日で認知機能の障害が起きる可能性がある。だが、作用の強い抗コリン薬をたまに使う場合でも、急性中毒症状が現れることがある。この症状を暗記するために、医学生はよくこんな覚え方をする。 「コウモリのように目が見えず(瞳孔散大)、ビートのように真っ赤で(顔面紅潮)、野ウサギのように熱く(発熱)、骨のように干からび(ドライスキン)、帽子屋のように気が変になり(せん妄と短期記憶の喪失)、ヒキガエルのようにふくらみ(尿路閉塞)、心臓がひとりで走る(頻脈)」

 神経伝達物質は単にメッセージを伝えるだけではなく、神経細胞を正常に保つために欠かせないときもある。『JAMAニューロロジー』誌に掲載された不安をかき立てる論文によると、抗コリン薬の常習者は、脳の糖代謝が低下しており、認知機能障害があったという(短期記憶と実行機能の衰えも見られた)。この被験者の脳をMRIでスキャンすると、脳の構造が変化しており、体積も減り、脳室(脳の内部にある空間)が大きくなっていた。この被験者たちが服用していた抗コリン薬は、夜用の風邪薬や市販の睡眠補助剤、筋弛緩剤などだった。

(p306)

 

ロイテリというヨーグルトを見つけた時にどういう意味だろうと思って調べたことがあったので、ラクトバチルス・ロイテリ菌に虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑制する作用があるということは薄っすら知っていましたが、結構前に発見された細菌だったんですね。しかも、発見された当時よりも所持している人が少なくなっているとか聞くと、ちょっと摂ってみようかなという気持ちになりました。

 

 パーキンソン病は、脳の「黒質」という部位のドーパミン産生細胞がダメージを受ける病気だ。そのため患者はドーパミン補充薬を服用し、しばらくのあいだは症状が緩和する。だがこうした薬物療法の効果はやがて薄れてしまう。それは1つには、人為的に神経伝達物質を増やすと、脳内のドーパミンの受容体のダウンレギュレーション(減ること)につながるからだ。
 これは自己調整のメカニズムで、どの神経細胞神経伝達物質への感度を減らしたり増やしたりしなくてはならない。だが、ドーパミンの場合には特に危険だ。パーキンソン病においてドーパミンを補充する治療の副作用には、病的なギャンブルや、強迫的な性行動、過度の買物など「危険な行動」が増えるというものがある。
 ドーパミンの作用による行動は、ADHDの場合にも減る。ADHDの人はシナプス後細胞のドーパミンの受容体が少ない。つまり注意力と集中力を維持するために、より多くのドーパミンが必要になるのだ。だが、これは障害なのだろうか? それとも目新しいものを探せるように脳に組み込まれた特性なのだろうか?
 近年『ニューヨークタイムズ』紙に掲載された記事では、あることが指摘されていた。太古の昔から比較的最近まで狩猟採集民として進化してきた私たち人類にとって、ADHDの脳に見られる新奇なものを求める傾向は、明らかに優位に働いていたというのだ。この説は、きわめて理にかなっている。狩猟採集民が生き延びるには、食料を調達する新たな機会を求めるための動機づけが必要で、見つけたときには脳から報酬が与えられる必要がある。そのため組み立てライン的な教育や、職業の選択肢が細分化された現代社会では、ADHDの人は私のお気に入りの映画の1つから言葉を借りれば、「同じことの繰り返し」によって心が静かに蝕まれていき、やがてはアデロール(デキストロアンフェタミン)やリタリン(メチルフェニデート)などの薬を処方されることが少なくない。このような薬物は、コカインと同じくドーパミンの再取り込みを阻害する。
 先ほどの記事を書いたのは、ワイルコーネル医療センターで臨床精神医学に携わるリチャード・フリードマン教授だ。フリードマンは、治療が成功した患者についてこう述べている。「(彼は)単にルーティーンワークから、変化に富んだ予測不可能な仕事に転職するだけでADHDを「治療」しました」これは、起業家にADHD学習障害を持つ人たちが非常に多い理由を説明できるかもしれない。

 

 ドーパミンを最適化する

 

 ドーパミンは、脳内で「チロシン」というアミノ酸からつくられる。そして、ほかの神経伝達物質と同じように、タンパク質が不足していないかぎりはすぐに利用できる。それを考えれば、正常なドーパミン作動性システムは、栄養素の不足よりも私たちの選択と行動に左右されるシステムかもしれない。食べるのがやめられなくなる加工食品を食べたり、危険な活動に手を染めたり、脳の報酬系をハイジャックしてショートさせる物質を摂ったりするような行動は、不健康で自己破壊的な依存をもたらす。私たちの身体は果物が豊富な時期に糖質を摂って脂肪を蓄えるように進化してきたため、糖質や、すぐに消化される小麦などの炭水化物を摂ると、ドーパミンがたくさん放出される。糖質の依存性はとても強いので、先ほど述べた違法薬物と比較されることも多い。ソーシャルメディアから生じるフィードバックループは、多くの点では確かにポジティブな力だが、それでもドーパミンの働きがうまく調節できなくなって依存に陥る可能性も否定できない。
 それとは逆に自分自身の短期、または長期の目標を設定するのは好ましい「ハック」だ。それによって期待(幸福感が続くという点で重要)と報酬がもたらされる。 ぜひ新しいことに挑戦してみてほしい。新たにエクササイズを始める、楽器を習う、慣れ親しんだ居心地のいい領域から抜け出す、恋に落ちる、副業的な起業プロジェクトを立ち上げる、などさまざまある。
 そして、どれもが健康的な形でドーパミンを増やすことができる。
(p322)

 

「太古の昔から比較的最近まで狩猟採集民として進化してきた私たち人類にとって、ADHDの脳に見られる新奇なものを求める傾向は、明らかに優位に働いていたというのだ。」

ADHDの脳は「新しいものを探せるように脳に組み込まれた特性」かもしれない、という話に勇気づけられますね。

 

ソーシャルメディアから生じるフィードバックループは、多くの点では確かにポジティブな力だが、それでもドーパミンの働きがうまく調節できなくなって依存に陥る可能性も否定できない。」

良いところだけを享受することの難しさを感じます。

新しいエクササイズ、楽器を習うこと、居心地の良い領域から抜け出すことなど、健康的な形でドーパミンを増やしていきたいものです。

 

 ビタミン剤をたくさん摂るのは身体にいいのか?

 

 運動でフリーラジカルによるストレスを一時的に増やすと、細胞のメカニズムが強化される。このプレッシャーがなくなると、運動の効果は薄れる。これは、バレンシア大学による実験で証明された事実だ。アスリートがトレーニングを行う直前に、高用量の抗酸化物質、つまりビタミンCを投与した。その結果、パフォーマンスが低下しただけでなく、前に述べた運動の効果――抗酸化作用の範囲とミトコンドリア新生の増加が阻害されたという。
 こうした研究の成果が示しているのは、高用量のビタミンを投与しても、望ましい効果は得られないかもしれないこと つまり、身体が強くなるために必要な刺激が奪われてしまうことだ。だから、私はビタミンのサプリメントを過剰に補給することは勧めない。それよりも運動して、アボカドやベリー類、ケール、ブロッコリー、ダーク・チョコレート(幸い、すべてジーニアス・フードだ)などの食品を摂り、自然な形でサプリメントよりも強力な抗酸化物質がつくられるように刺激しよう。

 

 運動から最大限の効果を得るには

 

 ここまで述べたように、有酸素運動無酸素運動もカロリーの消費にとどまらない独特の効果を脳と身体にもたらしてくれる。では最大限の効果を引きだすには、どのくらい頑張ればいいのだろうか? 驚いたことに、あなたが思うよりも労力はずっと少ない。最新の研究によると、有酸素運動は時間をかけてゆっくりと行い、無酸素運動は短時間で強い負荷をかけて行う必要があるという。絶対に避けたいのは「常習的な有酸素運動」だ。つまり、45分のハードなランニングを週に何回も行うといった高出力トレーニングを続けることだ。身体が適応できるストレスにはピークポイントがあり、それ以上刺激を与えても必ずしもよい結果は得られない。
 たとえば長距離ランナーなら、筋肉量が減り、テストステロンの濃度が下がり、腸の透過性が高まる。また、心筋と電気信号のシステムが損なわれると、命に関わる不整脈につながる。長く走りつづけることで生じる関節の軟骨の摩耗はいうまでもない。
 では、スイートスポットはどこか? 基本的には、しかめっ面で45分走りつづけるより、にこやかに会話しながら1時間半~2時間ハイキングをするほうがいい。ハイキングのような低強度のゆっくりとした動きはリンパ液の流れをよくし、毛細血管を増やし、関節を傷めることもない。また、最大限の労力の90~95パーセントで行う短距離走は、一定のペースで走る長距離走の5分の1の時間で、心肺機能と持久力が同じくらい上がるという!
 有酸素運動 (長距離のウォーキングやハイキング、自転車通勤など)と、集中的に行う無酸素運動を含め、適度な運動習慣をライフスタイル全体に浸透させるべきだろう。それによって有酸素運動でBDNFを増やし、神経可塑性の働きを最大化し、その一方で無酸素運動によって代謝を強化できる。
(p392)

 

「私はビタミンのサプリメントを過剰に補給することは勧めない。それよりも運動して、アボカドやベリー類、ケール、ブロッコリー、ダーク・チョコレート(幸い、すべてジーニアス・フードだ)などの食品を摂り、自然な形でサプリメントよりも強力な抗酸化物質がつくられるように刺激しよう。」

やはりサプリメントに走る前に、運動と食事が大切ということなんですね。

 

有酸素運動 (長距離のウォーキングやハイキング、自転車通勤など)と、集中的に行う無酸素運動」、これも、忘れないようにしたいです。

 

 酒類は飲んでもいい?

 

 研究によると、適度の飲酒(アメリカでは男性は1日2杯まで、女性は1杯まで)は、健康にいいという。とはいえエタノール(これが「酔い」をもたらす)は神経毒で、脳の健康という観点でいうと、科学は楽観視していない。30年にわたる研究によって、たとえ適度(週に5~7回の飲酒)でも、まったく飲まない人と比べると海馬の萎縮のリスクが3倍になることがわかっている。
 人とのつき合いの潤滑油やストレス緩和といった面で、適度な飲酒の効果はあなどれない。
 理想的な世界なら、誰もがストレスに対処する健康的なメカニズムを備えており、酒を飲むとしても、せいぜい週に1~2杯たしなむ程度だろう。だが、私たちは陽気に森を駆けまわったり、日がな1日ベリーを摘んだりして、何のストレスもなく生きているわけではない。私としては、飲酒は控えることを勧める。だが、あなたが酒を飲むことを選んだ場合のために、できるだけ脳に害がおよばないような飲み方のヒントをいくつか挙げておこう。

 

・必ず酔いを覚ましてから就寝する。アルコールは睡眠の質をかなり低下させ、眠っているあいだに分泌されるさまざまなホルモン、特に成長ホルモンに影響をおよぼす。
・「1対1」ルールにしたがう。グラス1杯の酒に対して、必ずグラス1杯の水を飲もう。
アルコールは腸を刺激して炎症を誘発し、一旦ダメージを受けると水分の吸収が妨げられて下痢が起きる。
・グラスの水に少し塩を振る。アルコールには利尿作用があり、ナトリウムなどの電解質の排出を促す。失われた塩分を補うため、グラスの水にほんの少し塩を足そう。
・酒は赤ワインや辛口の白ワイン、蒸留酒(スピリッツ)に限定する。 スピリッツを「オン・ザ・ロック」にしたり、炭酸水で割ったり、ライムを搾ったりして飲む。 ジュースや炭酸飲料など、糖質が含まれる飲み物で割るのは絶対にやめよう。
・空腹のときに飲む。かなり物議をかもしそうなアドバイスだが、胃が空っぽの状態で酒を飲むと、肝臓が消化のプロセスに邪魔されないので、より効率よくアルコールを処理できるようだ。アルコールはLDLのリサイクルを妨げ、食後のトリグリセリド(血中の脂質)を急上昇させる。酒は夕食の最中ではなく食前、あるいは食後に飲もう。ただし胃が空っぽだと酔いがまわりやすいので、注意してほしい。
グルテンを含む飲み物は、ダブルパンチを食らう可能性があるので避ける。グルテンは腸の透過性を高める場合がある。そのためグルテンを含むアルコール飲料は、腸のバリアの緩みを悪化させるかもしれない。そこのビール好きさん、あなたのことですよ。

(p436)

 

「グラスの水に少し塩を振る」というのがいいですね。さっそくやってみたいと思います。

それと、「空腹のときに飲む」というのが超意外でした。

しかし空きっ腹のときにシャンパンを飲みすぎて、吐いてしまった記憶のある私は、軽くトラウマになっているので、食後に飲むことにします。

 

それで結局、どんな食事にすればいいのさ、と読んでいるうちに感じてきますが、巻末にメニュー一覧と、おすすめレシピが掲載されています。

 

 ジーニアス・ウィーク・メニューの一例

【月曜日】

朝:水、ブラックコーヒーか紅茶

最初の食事:卵2、3個、 アボカド半分

軽食:アボカド半分に海塩を振って、EVOO(エキストラバージンオリーブオイル)をか けたもの

夕食:天然のサケの切身、大盛り 「オイルがけ」サラダ

 

ちなみに火曜日の朝も、「水、ブラックコーヒーか紅茶」となっております。

うーん、仕事できるかなあ、これで。電車に乗る前に帰りたくなっちゃいそうです。お弁当を作るのは簡単になるかもだけど…。

なかなか強い意志が必要そうな献立ではあります。

レシピメージは「セロリに生アーモンドバターとカカオニブを添えたもの」など、私のイマジネーション不足でよくわからなかったので、割愛します。

 

値段の割に情報量が多く、これでいいのかと思うようなページ数ですが、著者の本気度が伝わってくるようでした。

地中海式健康法のような食生活は、単純に日本食と比較するのは難しいかもしれませんが、とにかく項目が多いので、(良くも悪くも)できそうなところだけ真似しよう、という結論になるのではと思われます。

 

腸や血管、ストレスと脳との関連がだんだんクリアになっていくのが面白いです。

食事や運動のモチベーション維持をするのに、良い本だと思いました。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。