ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

小説

星新一『声の網』

おはようございます、ゆまコロです。 星新一『声の網』を読みました。 タイトルから何となくイメージできる通り、インターネットを想起させるお話です。 書かれたのが1969年というのが凄いです。 ショートショート(超短編)で有名な星新一先生には珍しい、…

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 2』

おはようございます、ゆまコロです。 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟 2』を読みました。 1巻も読んだのですが、よく分からないなぁと思いながら2巻に進んだら、面白くなってきたので、とりあえず感想を書きます。 謎解き的な要素に関わるので、あまり…

角野栄子『魔女の宅急便その5 魔法のとまり木』

おはようございます、ゆまコロです。 角野栄子『魔女の宅急便その5 魔法のとまり木』を読みました。 19歳になったキキのお話です。 プロローグでの彼女の成長ぶりに、結構胸が熱くなります。 (しかし、遠くの町にいるとんぼさんとはすれ違っています。) コ…

サン=テグジュペリ『星の王子さま』

おはようございます、ゆまコロです。 サン=テグジュペリ、池澤夏樹(訳)『星の王子さま』を読みました。 子どもの頃に読んだ時には、面白いのかそうでないのかよく分からない、という感想を抱きました。 今改めて読むと、長くない物語である割に、教訓めい…

夏目漱石『坊ちゃん』

おはようございます、ゆまコロです。 夏目漱石『坊ちゃん』を読みました。 初めてこの話を読んだ時、思ったよりも面白かったと感じたのを覚えています。(失礼な言い方ですみません。) ただ、期待に胸を膨らませて読んでいた「マドンナ」が結局出てこないの…

森鴎外『ヰタ・セクスアリス』

おはようございます、ゆまコロです。 森鴎外『ヰタ・セクスアリス』を読みました。 性欲的生活(ラテン語)という意味のタイトルらしいのですが、全体を通して、肉体的な欲望を綺麗に客観視している、といった印象でした。上品ささえ感じます。 僕はどんな芸…

川端康成『みずうみ』

おはようございます、ゆまコロです。 川端康成『みずうみ』を読みました。 好みの女性を見つけると、その後をついて行ってしまうという男性が主人公です。 その行動は社会規範的にどうなのか、ということはとりあえず置いておいて、ところどころに出てくる、…

ポール・オースター『ルル・オン・ザ・ブリッジ』

おはようございます、ゆまコロです。 ポール・オースター、畔柳和代(訳)『ルル・オン・ザ・ブリッジ』を読みました。 戯曲なのですが、やはりオースターはオースター、という感じです。 イジーの前妻・ハンナが魅力的です。 「私が誰かを愛したら、それは…

ジャン・ジュネ『葬儀』

おはようございます、ゆまコロです。 ジャン・ジュネ、生田耕作(訳)『葬儀』を読みました。 作者はフランスの小説家・劇作家・詩人です。 読んだ印象は、作者自身が思索を巡らしている段階なのかな、という感じでした。 もちろんそういう効果なのでしょう…

J.D.サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

おはようございます、ゆまコロです。 J.D.サリンジャー、村上春樹(訳)『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読みました。 読む前に思っていたよりも、ずっと分かりにくい本でした。 展開としては、ちょっと自意識過剰な16歳の不良少年が学校を追い出され、寮…

エミリー・ブロンテ『嵐が丘』

おはようございます、ゆまコロです。 エミリー・ブロンテ、田中西二郎(訳)『嵐が丘』を読みました。 主人公の性格的に仕方がないことなのかもしれませんが、皮肉な言い回しが多く、セリフのどれが本心なのか判断しかねます。なので、物語の世界に入ってい…

村上春樹『アフターダーク』

おはようございます、ゆまコロです。 村上春樹『アフターダーク』を読みました。 いろんな視点から語られる話なのですが、輪郭がぼんやりとしていて、誰かの夢を見ているような不思議な感覚に陥ります。 印象的な科白はこちら。 「そういう気持ちになれんか…

瀬尾まいこ『卵の緒』

おはようございます、ゆまコロです。 瀬尾まいこ『卵の緒』を読みました。 印象的なのは、育生くんがお父さんを亡くすこのシーンです。 僕はたった一瞬の間に自分に関するいろんなことを知ってしまった。なぜか大きな驚きはなかった。ただ、不思議なことに僕…

リュドミラ・ウリツカヤ『ソーネチカ』

おはようございます、ゆまコロです。 リュドミラ・ウリツカヤ、沼野恭子(訳)『ソーネチカ』を読みました。 本の虫である主人公ソーネチカが家庭を築くお話です。 ロシアの寒い図書館で、将来の夫になるロベルトに出会う辺りの、ちょっと夢見がちな日常の描…

角野栄子『トンネルの森 1945』

おはようございます、ゆまコロです。 角野栄子『トンネルの森 1945』を読みました。 角野先生の体験が元になったお話と知り、気になっていた本です。 主人公の少女・イコちゃんがお母さんをなくし、住んでいた東京深川から疎開するところから物語は始まるの…

村上春樹『スプートニクの恋人』

おはようございます、ゆまコロです。 村上春樹『スプートニクの恋人』を読みました。 長くない本なのですが、随所に覚えておきたいと思った会話があります。 「もしそれが性欲じゃないと言うのなら、わたしの血管を流れているのはトマト・ジュースよ」 「う…

スー・モンク・キッド『リリィ、はちみつ色の夏』

おはようございます、ゆまコロです。 スー・モンク・キッド、小川高義(訳)『リリィ、はちみつ色の夏』を読みました。 1964年にジョンソン大統領が公民権法に署名し、法律上明確に差別が禁じられた頃のお話です。 「先の見込みなんかないってことさ」 「な…

アーシュラ・K・ル=グウィン『さいはての島へ ゲド戦記Ⅲ』

おはようございます、ゆまコロです。 アーシュラ・K・ル=グウィン、清水真砂子(訳)『さいはての島へ ゲド戦記Ⅲ』を読みました。 2巻よりもずっと、もったりした雰囲気の3巻です。 この巻で、気になったセリフはこちらです。 仕上がってくるものがおかし…

アーシュラ・K・ル=グウィン『こわれた腕環 ゲド戦記Ⅱ』

おはようございます、ゆまコロです。 アーシュラ・K・ル=グウィン、清水真砂子(訳)『こわれた腕環 ゲド戦記Ⅱ』を読みました。 ゲドが影と戦った1巻とは、ずいぶん雰囲気の違う続巻です。 好きなのは、テナーが海を見る場面です。 砂漠も山も、こんなふう…

アーシュラ・K・ル=グウィン『影との戦い ゲド戦記Ⅰ』

おはようございます、ゆまコロです。 アーシュラ・K・ル=グウィン、清水真砂子(訳)『影との戦い ゲド戦記Ⅰ』を読みました。 初めてこの本を読んだのは、大学生の時です。(生涯学習の講義の課題図書でした。)友達と、ハリー・ポッターと似ていると話し…

ボリス・ヴィアン『日々の泡』

おはようございます、ゆまコロです。 ボリス・ヴィアン、曾根元吉(訳)『日々の泡』を読みました。 パリに暮らす若者たちのお話です。 小説なのですが、主人公がハツカネズミと意思疎通ができたりと、幻想的な出来事が次々と起こります。 登場人物はこんな…

エドワード・ブルワー=リットン『ポンペイ最後の日』

おはようございます、ゆまコロです。 エドワード・ブルワー=リットン、篠原雅之・藤原一生(訳)『ポンペイ最後の日』を読みました。 1834年にイギリスで発表されたこのお話の舞台は、西暦79年のローマ帝国ポンペイです。ポンペイはベズビオ火山爆発で、地…

ジョージ・エリオット『サイラス=マーナー』

おはようございます、ゆまコロです。 ジョージ・エリオット、工藤好美・淀川郁子(訳)『サイラス=マーナー』を読みました。 因果応報という道徳性と、子どもを育てることで育まれる愛情がテーマになっています。 作中ではいろいろなことが起こり、また書かれ…

シャーロット・ブロンテ『ジェイン=エア』

おはようございます、ゆまコロです。 シャーロット・ブロンテ、上田健次郎(訳)『ジェイン=エア』を読みました。 イギリスの小説家・ブロンテ姉妹の長姉の作品です。 (彼女は三女ですが、長女・次女は11歳と10歳で亡くなっています。) 孤児だったジェインが…

チャールズ・キングズリー『水の子トム』

おはようございます、ゆまコロです。 チャールズ・キングズリー、酒井朝彦(訳)『水の子トム』を読みました。 イギリスの牧師さんが書いた童話です。 母はこの話を子供の頃読んで、とても面白かったので印象に残っていると言っていたのですが、現代においてこ…

ロバート・バランタイン『名犬クルーソー』

おはようございます、ゆまコロです。 ロバート・バランタイン、白木茂(訳)、藤原一生(文)『名犬クルーソー』を読みました。 文学全集のイギリス編の中に収録されていたお話です。書かれたのは1860~1861年ころとのこと。 なのですが、読んでいると物語では馬…

瀬尾まいこ『幸福な食卓』

おはようございます、ゆまコロです。 瀬尾まいこ『幸福な食卓』を読みました。 著者のファンである友人に貸してもらいました。 好きな場面は、主人公・佐和子さんとその彼氏が一緒に帰るシーンでのこの会話です。 「この自転車を押して帰る俺と、迎えに来て…

舞城王太郎『阿修羅ガール』

おはようございます、ゆまコロです。 舞城王太郎『阿修羅ガール』を読みました。 二部の森の話が恐くて、電車の中で声が出そうになりました。 「あのねアイコ、好きな人の名前を訊かれてクエスチョンマーク付きで答えてるうちは全部間違いなのよ。愛ってのは…

皆川ゆか『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』

おはようございます、ゆまコロです。 皆川ゆか、矢立肇・富野由悠季(原作)『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』を読みました。 自分の住んでいる国で、戦争や紛争が起こったらどうしよう、ということを、小さな頃から考えたり、不安になったりするこ…

ベン・ライス『ポビーとディンガン』

おはようございます、ゆまコロです。 ベン・ライス、雨海弘美(訳)『ポビーとディンガン』を読みました。 あらすじはこんな感じです。 「アシュモル・ウィリアムソンの妹、ケリーアンには、「特別な人にしか見えない」友達がいた。ポビーとディンガン。アシ…