ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

城山三郎『指揮官たちの特攻 幸福は花びらのごとく』

こんばんは、ゆまコロです。

 

城山三郎『指揮官たちの特攻  幸福は花びらのごとく』を読みました。

 

印象に残ったのは、第一神雷特攻隊を率いる、野中五郎少佐の言葉です。

 

「「戦闘機の十分な掩護あってのことなのに、こんな作戦はなっとらん。こんなの戦争ではない。どうか特攻をやめさせてくれ」一部下にできることではないと承知の上で、なおそう言い置かねば気の済まなかった野中の憤り。 

  堕ちて行く機の中で、歯ぎしりする形相が目に見えるようである。」

 

とても大っぴらには口に出来なかったであろう状況を想像すると、胸が痛みます。

 

興味深い記述はいくつかあるのですが、個人的には文体に気持ちが乗せられないというか、感情移入しにくくて少し残念でした。

作中の指揮官あるいは、当時の状況下での皆の気持ちなのか、はたまた筆者の考えなのか、一見分かりにくくなる文章が時々あり、読む手が止まってしまうことも。

しっかり読んだつもりですが、うまく理解できず、申し訳無さが残る読了感でした。

 

うまくお伝えできずにすみません。

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)

指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)

 

 

重松清『ロング・ロング・アゴー』

こんばんは、ゆまコロです。

 

重松清『ロング・ロング・アゴー』を読みました。

 

この作者は、どうしてこんなに女性の気持ちに沿った文章が書けるのかと不思議に思うことがあります。

 

「実際にお母さんにならなければわからないことは、たくさんあります。でも、昔はわかっていたはずなのに、お母さんになったとたんわからなくなってしまったこともーそっちのほうがもっとたくさんあります。

  なにをしてもうまくいかないとき、どうやって元気を取り戻したのか。

  友だちに意地悪なことをされたとき、親や先生には言いつけず、でもやられっぱなしで我慢しつづけるのでもなく、どんなふうにそれを解決したのか。

  「お母さんの頃はね」とエリカに教えてあげたいのに、思い出せません。浮かんでくることもなにかぜんぶ嘘っぽく思えて、こんなのいまの子どもたちには通じないよ、という気もして、そんなもどかしさをついエリカにぶつけて、キツくあたってしまうことさえあります。

  エリカみたいに要領の悪い子は、教室や友だちの輪の中で、どこに居場所を見つければいいのか。

  みんなにちょっとバカにされても嫌われずにいるには、どうすればいいのか。勉強ができない子や、顔がかわいらしくない子や、おしゃべりをしていても面白いことがすぐに思いつかない子は、どんな言葉で励まされて、どんなことで張り切って、どんなことで落ち込んで、どんなことをいつまでもくよくよと気にしてしまうのか。

  昔はわかっていたはずなのに。」

(「人生はブラの上を」)

 

ほろ苦い気持ちになる短編が多く、重松さんにしては、辛い展開が少なめかな、という感じがしました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

ロング・ロング・アゴー (新潮文庫)

ロング・ロング・アゴー (新潮文庫)

 

 

中島聡『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』

こんばんは、ゆまコロです。

 

なんだかよく分からないけど時間内に仕事が終わらなくて、毎日のように残業をしていた頃がありました。

くたびれ果てて、『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』を読みました。

 

20倍界王拳とか、レーシングゲームロケットスタートとか、例えが分かりやすそうで、私にはいまいち分かりにくかったです。

 

そんな本書で、やってもいいかな、と思ったのはこれ。

 

「あなたが今日から実践すべきこと、それは夜寝る前に、明日やることのタスクリストを作ること。

左端にチェックボックスを書き、その右に仕事の内容を書く。

(15分程度で終わる単位の仕事に分けること。)

そして明日の仕事の大半を、明日の午前中までに終わらせるというものです。

 

・「他人の仕事は遅れるもの」という認識を強く持つ。

・「締め切りは絶対に守るもの」という前提で臨む。

 

などの考え方は、なるほどと思いました。意識の点で、モチベーション向上につながるかもしれません。

 

読んで下さってありがとうございました。

 

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である

 

 

ノバク・ジョコビッチ『ジョコビッチの生まれ変わる食事』

こんばんは、ゆまコロです。

 

ノバク・ジョコビッチ、タカ大丸(訳)『ジョコビッチの生まれ変わる食事 あなたの人生を激変させる14日間プログラム』を読みました。

 

なるほど、と思ったのは以下の記述です。

 

「大部分の人たちは睡眠を軽視している。そういう例を私はたくさん見ている。ある統計によると、少なくとも4人に1人は十分な睡眠をとっていないという。もしあなたもそんな睡眠不足の一人なら、毎日それを実感しているはずだ。これから、なぜ私が絶対に睡眠をないがしろにしないかを話そう。

  運動と睡眠は決してケンカをすることがない夫婦のようなものだ。この2つはお互いを支えあっている。どのように?快眠できれば強い負荷をかけたトレーニングができる。強い負荷をかけたトレーニングができれば、夜はぐっすり眠れるようになる。体を鍛えるために運動をして、睡眠により翌日にはさらに回復して強くなる。運動をしてもっと寝られるようにしよう。そしてよく寝てもっと運動できるようにしよう。」

 

運動すればよく眠れる。確かにその通りなのですが、なかなか難しいです。

 

食生活など、こんなに開示しちゃっていいのかと思ってしまいますが、それも彼の人柄なんでしょうね。

 

ジョコビッチはTVで観てもすっごく細いけど、この食事であの運動量じゃあ、太る要素は無いよね、と思ってしまいました。

 

カルシウム摂取の為、アーモンドミルクは試してみたいと思います。

 

テニスをやっている人には特に、興味を惹かれることが多いと思います。

読んで下さってありがとうございました。

 

ジョコビッチの生まれ変わる食事 新装版

ジョコビッチの生まれ変わる食事 新装版

 

 

ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ『世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉』

こんばんは、ゆまコロです。

 

ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ、佐藤美由紀(訳)『世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉』を読みました。

書評を見て、彼のスピーチが気になったからです。

 

ホセ・ムヒカウルグアイ東方共和国の大統領だった人です。任期は2010.3.1から2015.3.1まで。

スペイン系の父親とイタリア系の母親のもとに、1935年に生まれます。

 

好きな言葉はこれです。

 

「人生というものは、刻一刻とあなたから逃げていきます。でも、足りないからといってスーパーで追加の人生を買うことはできません。

  だから、人生を生きるために闘ってください。人生に中身をあげてください。あなたは、自分の人生の方向性をある程度決められます。自分の人生の道を切り拓いていけるのです。他の生き物と違い、あなたは、自分の人生に中身を詰めるか詰めないかを選択できるのです。

  マーケットに自分の命を売り、必要でもないものを買い漁り、ローンを支払いながら人生を過ごしていたら、あっという間に私のような老人になってしまいますよ。リューマチまみれのね。」

 

発言もすごいですが、政策もすごいです。

 

2013年12月10日、ウルグアイの上院議会は大麻(マリファナ)の所持、使用、栽培を合法化する法案を可決。国家としては初めての大麻合法国に。

 

「1985年、ウルグアイでは約1,500人が麻薬を消費していたとされています。しかし、現在は約15万人に膨れ上がっています。これまで、多くの中毒者を逮捕し、麻薬の取り締まりにもお金をかけてきましたが、麻薬組織のほうが勝利していました。これは、ウルグアイのみならず、世界中で起きていることです。」

 

同年、ウルグアイでは同性婚も法律で認められます。

 

豊かさとは何なのか、考えさせられる本です。

 

 

世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉

世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉

 

 

加納新太『君の名は。Another Side:Earthbound』

おはようございます、ゆまコロです。

 

加納新太  新海誠(原作)『君の名は。Another Side:Earthbound』を読みました。

 

映画を観てから読みました。

主人公たちの周りにいる登場人物が、同じ物語を見て語っているので、同じ情景でも見方が変わって面白いです。

 

いろいろ味わい深いのですが、特にお父さんの話が好きです。

以下は四葉(次女)が生まれた時のお父さんの気持ちです。

 

「分娩室と廊下を隔てる重い樹脂製の引き戸が解放されたので、中に飛び込んだ。いつかと同じで、赤ん坊を目にする前から、またしても正体の知れない感動がなだれ込んできて俊樹の周囲を満たした。

  俊樹にはその正体がずっとわからなかった。あとになって、それは自分自身より大切なものがこの世にまたひとつ増えたことに対する心のふるえなのだと理解できた。

  まったく、不思議なことがいくつもあるものだ。

  昨日までこの子は存在していなかった。

  今は存在している。」

 

映画を観ただけの時より、この話が好きになりました。

 

最後まで読んで下さりありがとうございました。

 

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
 

 

ジョルジュ・カステラン『クロアチア』

こんばんは、ゆまコロです。

 

ジョルジュ・カステラン、ガブリエラ・ヴィダン、千田善、湧口清隆(訳)『クロアチア』を読みました。

 

2018年4月にクロアチアを初めて訪れました。

テレビで見たプリトヴィツェ湖群国立公園に行きたかったのですが、あとはどんな国なのかよく知らず、クロアチアについて書かれた本を探しました。

 

実際にこの国を訪れてみると、紛争の跡は所々に見られました。しかし、海も観光地もとても綺麗なので、この国に住む人々がここを愛していて、短い期間に懸命に立て直したのだなと思いました。

 

興味深い記述はこれです。

 

クロアチア人のキリスト教への改宗は八世紀ないし九世紀頃であったが、その後、クロアチア人は、書き言葉ないし公用語としてラテン語を採用した。ラテン語は、その後しだいにクロアチア人の文語の一つとして定着し、十五世紀から一九世紀までの間にかなりの数の文学作品や科学論文がラテン語で書かれた。クロアチア人はヨーロッパの中で最も遅く

(1847年まで)ラテン語公用語として使用していた民族の一つであろう。」

 

シェイクスピアの話の中くらいでしか、その話題を目にしなかったラテン語ですが、これを読んでクロアチアに親近感が湧きました。

(シェイクスピアが好きなので。)

 

難しい内容も多いのですが、紛争の概略など、勉強になりました。

 

クロアチア出身の画家や作家についても紹介があったので、今度探してみたいと思います。

 

クロアチアを訪れる際に読むと、地名や紛争になった場所などが分かり、予習になると思います。

 

最後まで読んで下さりありがとうございました。

 

 

クロアチア (文庫クセジュ)

クロアチア (文庫クセジュ)