ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

スティーブン・R・コヴィー『まんがと図解でわかるスティーブン・R・コヴィーの7つの習慣』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ティーブン・R・コヴィー『まんがと図解でわかるスティーブン・R・コヴィーの7つの習慣』を会社の人から借りました。

 

ティーブン・R・コヴィー(1932-2012)は、アメリカの経営コンサルタントです。

 

タイトルの「7つの習慣」とは、人格を磨くための習慣であるようです。

 

自分の人生の目的を「毎日人格を磨くこと」を目的にすると、心の平安を得ることができ、充足感に満たされた生活を送ることができるのだそうです。 

 

逆に、仕事、金、愛、自由、家族、遊びなどはどれも大切な要素ですが、それを目的として生きるのでは、人生が空虚になってしまうとコヴィー博士は言います。

 

まずは、人格を磨くことで人間関係も良くなり、仕事や家族など、すべての面で成功することができるというのが「7つの習慣」の原則中心の生き方です。

 

その7つを要約するとこんな感じです。

 

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1、自分を変えようと常に意識する

=自分の短所に気づき、問題への反応の仕方を変える。

「自分との小さな約束を守る。その積み重ねが人を成長させる。」

…自分の弱点を弁護したり、他人のせいにしたりしない。グチを言う集団の中に入らない。

 

2、なりたい自分を想像してから始める

=目的を設定し、そうなるためにできることを考えていく。

 

3、重要なことを後回しにしない

=健康管理や問題のフォローを怠らない。目的に合わせた時間の使い方をする。

「時間は管理できない。管理できるのは自分だけ。」と、重要事項を果たす順序を管理する。

 

4、相手も自分も幸せな方法を探す

=自分に有利なことばかりを選択しない。相手と一緒に向上する考え方にシフトする。

「与える人こそ豊かになれる。」

幸せは限られたパイではなく、新しく作り出していける、と考える。

 

5、相手のことを心から理解する

=しかし自己解釈ではダメ。相手の立場になって話を進める。

 

6、対立は成果への第一歩と考える

=反対意見をつぶしたり妥協するのでなく、2つを合わせたもっといい方法を考える。

 

7、肉体や精神を日々、磨く

=ポテンシャルを高めるため、自分への投資を続ける。

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途中で出てくる、人間関係を貯金の残高に例える考え方が少々ショッキングでした。

最初の方で、普段の習慣を変える、という箇所を読んだ時、お説教っぽくてなんとなく面倒くさそうな印象を持ちました。(すみません)

でも、一つ一つの振舞いを丁寧にすることが、だんだん自分を取り巻く環境をよくすることにつながるのかな、と思い、ちょっとずつ頑張ろうかな、という気分になります。

 

ビジネス書のコーナーに置いてあるような印象でしたが、学生などいろんな立場の人にもあてはまるように思いました。ざっくり分かるところも良いです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

まんがと図解でわかる7つの習慣 (別冊宝島) (別冊宝島 1805 スタディー)

まんがと図解でわかる7つの習慣 (別冊宝島) (別冊宝島 1805 スタディー)

 

 

福島正伸『どんな仕事も楽しくなる3つの物語』

おはようございます、ゆまコロです。

 

福島正伸『どんな仕事も楽しくなる3つの物語』を読みました。

 

どんな仕事も楽しくなる、なんてことがあるのだろうか、と思って手に取りました。

 

この本の中で興味深いと感じたのは、経営コンサルタント会社のプロジェクトリーダーから、出産を経て、内勤の仕事に変えてもらったという女性の語る言葉です。

 

「仕事とは自分らしく取り組むもの、というお話を伺いました。はじめは、そうは言っても、と思いましたが、どうせ、今の仕事をやるしかないんだから、できることから自分らしく取り組んで楽しんでみようと思いました。どんなに些細な仕事も、自分が楽しいと思って取り組むように努力しました。私の場合、コンサルタントをしていましたから、自分が楽しいと感じるのは、他人の役に立っている時です。だから、今の仕事でも、もっと他のスタッフの役に立てるように、自分ならどうするかをいつも考えながら仕事に取り組みました。それを続けていたら、みんなから感謝されるようになったんです。そうしたら、この仕事がますます面白くなってきて、徹底的にこの仕事を極めていこうと思いました。」

 

どうせやるしかないのだから、楽しいと思えるように努力する、というのは、建設的でいいなとおもいました。

 

他にも、「自分が今やっている仕事を楽しみたい」と思っている駐車場の管理人さんや、

いま笑顔を見せる、ということが、会社を日本一にする第一歩と信じているタクシーの運転手さん、

自分の仕事が、誰かに喜びや感動を与えることができると気付いたペンキ屋さんの息子の話など、素敵なエピソードが多かったです。

 

仕事に面白さが見いだせない時や、仕事で孤独を感じた時、ちょっとしたヒントが見つかるかもしれません。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

どんな仕事も楽しくなる3つの物語

どんな仕事も楽しくなる3つの物語

 

 

 

エドワード・ゴーリー『うろんな客』

こんにちは、ゆまコロです。

 

エドワード・ゴーリー柴田元幸(訳)『うろんな客』を読みました。

 

この本の中の、傍若無人なお客様が何者なのかは、訳者の解説を読むと分かります。

そして、お客様の正体を知った後で再び読み返すと、他の登場人物たちの表情も味わい深く思えてきます。

 

ネタバレになるのでこれ以上は言及できませんが、興味がありましたらお手に取ってみてください。

 

リズムのある、柴田元幸さんの文章が楽しいです。

 

改めて「うろん」を辞書で引くと、こうありました。

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胡乱(うろん)=1、正体の怪しく疑わしいこと。また、そのさま。

2、確かでないこと。

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原題は「The Doubtful Guest」とあり、

 doubtful は

(…に)疑いを抱いて、確信がなくて、疑いを抱いて、確かでなくて、疑わしい、はっきりしない、あやふやな、おぼつかない、ありそうもない、いかがわしい

( Weblio辞書  英和辞典・和英辞典)

と、いう意味なので、謎めいたこの本にはぴったりのタイトルだと思いました。

 

1957年の絵本ですが、不思議とモダンな雰囲気です。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

うろんな客

うろんな客

 

 

下園壮太『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』

おはようございます、ゆまコロです。

 

下園壮太自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術』を読みました。

 

ちょっとしたことで落ち込んだり、動揺したりする自分に気が付くと、精神的な強さを得るためには、何が必要なのかなと考える時があります。

 

本書で、なるほど、と思ったのは以下の個所です。

 

●「今、自分はムリをしている」という自覚を持つこと。

「例えば、砲弾が雨あられと落ちてくる戦場なら、どんな人でも、1ヶ月で、だめになる。人として正常な判断や思考ができなくなるのだ(実際には5%ほどの人間は戦場に適応する。ちなみに、それらの人は平和な社会では、犯罪者であったり、暴力的行為が問題になっていた人たちだ)。

 

 私たちの経験では、海外などでのこれまでとは異なる環境の中で、精神的にも緊張する作業を続ける場合なら、3ヶ月。日本の中で、残業続きの日々が続く場合なら、1年。これが限界だ。もちろん目安に過ぎない。人間には、動物として「動き続ける」限界がある、という事を意識してもらうための目安だ。

 

 ムリをしていると自覚できたら、次の二つに気をつけるといい。

 

 一つは、とにかく「睡眠」を確保すること。睡眠は疲労回復の特効薬だ。

 もう一つは、「動的ストレスケア※を控える」こと。

 

※動的ストレスケア…ドライブ、海外旅行、スポーツなど。ストレス解消法は「動」と「静」をもつ。」

 

●ストレスを軽減する「昨日の振り返り」エクササイズ

「夜寝る前、電車での帰宅時あるいは朝の出勤、朝夕のトイレの時間、ほんの1分でいい。昨日(今日)の良い所三つ、悪いところ一つ。改善策。という振り返りをすることを、習慣にするといいだろう。

 

 1人でやる時は、ノートか何かに、日記代わりにメモしておくと、あとで読み返しても、幸せな気分になれる。」

 

確かにこの「昨日の振り返り」エクササイズは、ちょっとうまくいかない時に見返したら、前向きな気分で過ごせそうな気がしました。

 

また、著者は「ムラのない仕事をするために」、

“ 目の重さ、肩の張りなどの疲労の兆候を発見したら、気付かないふりをしないこと、体にブレーキをかけるように ” と言っていて、これもいいなと思いました。

 

本書に流れる、終始思いやりのある優しい語り口が、自衛隊というシビアな組織を円滑に動かしているのかな、と思うと、少し力が湧いてくるようです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

 

 

 

 

三島由紀夫『三島由紀夫レター教室』

おはようございます、ゆまコロです。

 

三島由紀夫三島由紀夫レター教室』を読みました。

 

目次を見ると、「招待を断わる手紙」など、用途ごとの章タイトルになっています。

いろんな場面での、三島由紀夫が考えた手紙の文例が並んでいるのかと思いきや、様々な境遇の5人の手紙のやりとりがつながっていて、それがひとつの物語になっています。

その一風変わった構成も面白いのですが、登場人物の心境の表現の巧みさ、語彙の豊かさに感服させられます。

 

それでいて三島は、手紙を書くときに大事なこととして、

「あて名をまちがいなく書くこと」とあとがきに書いていて、なんだか親しみが湧きました。

 

この中で好きなのは、ある男性から女性に宛てて、自分が褒められた出来事を語る手紙です。

 

「僕は自分の気持ちを分析してみて、そこにナルシシズムがあるのをつきとめました。今まで僕は人から「美しい」などといわれたことはないし、あんまり自分の容貌を気にするたちではありません。それなのに、人もあろうにあの肥った三枚目からそう言われてみると、「あいつに比べれば、なるほど僕のほうがずっと美しいかもしれない」という、比較対照の感情を持つようになったのです。

 

 それに、僕にとっての新しい発見はこんな同性からの賛美によって、自分の男性的魅力がはじめて確認された、という感じを得たことです。

 

 女の子から、「ちょっとイカスわね」と言われれば、うれしいにきまっているが、男は軽率に自分の男性的魅力を信じるわけにはいきません。

 

 女の子というものは、妙に、男の非男性的魅力に惹かれがちなものだからです。しかし同性からそう言われたら、もう僕の男としての魅力には疑いがない。なぜなら向うも男であるのに、その男が膝を屈して愛を打ちあけるのだから、僕の男性的魅力は、水準以上ということになります。

 

 まあ、こんなわけで、大川点助の手紙は、いやらしいのグロだのという偏見を取りさってみれば、僕の人生に一つの贈り物をしてくれたという感じがします。

 

 これについて貴女の感想をきかせてください。」

 

嬉しいことがあった時や、相談に乗ってほしいことがある時など、その書き出しや、自分の誠意の伝え方など、実際に手紙を書く時にも、結構参考になりそうな気がしました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

 

 

ワタナベ薫『一週間で美人に魅せる女(わたし)の磨き方』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ワタナベ薫『一週間で美人に魅せる女(わたし)の磨き方』を読みました。

 

「磨く」というと、元からあるものを更に良くするべく頑張る、みたいなイメージかと思いましたが、本書はむしろ、なにを手放すか?ということに重きを置いていて、身軽になれそうな項目が並びます。

 

いいなと思ったのは、この2つです。

 

●がんばることをやめる

「「あなたに、しなければならないことなど、何もない」ことをわきまえておくこと。

「自分がしなければならない」「自分でなければいけない」「やらなければならない」「こうしなければならない」というものは、世の中に何一つありません。

 

 裏を返せば、自分のエゴ、プライド、欲望、ただのおもいこみであることがほとんど。」

 

●今日から「お金がない」は禁止する

「なぜお金ばかりを追い求める姿勢がよくないのかというと、「お金が欲しい」=「今お金がない」ということを潜在意識にインプットしていることになるからです。

 

 お金によってもたらされる変化やプロセスに意識を向けると、意識は未来に向きます。するとお金は目標を達成する手段になりますので、いわゆる生き金となり、豊かさを含めた、思い通りの未来を実現するように人生がシフトしていきます。

 

 お金に対する大切なもう一つの見方として、こんな話があります。

 

 昔々、お釈迦様が弟子たちに托鉢をしに家々を回るように、と言いました。そのときに、「お金のある家をまわってはならない。貧しい家に行きなさい」と言いました。弟子たちは、「お金持ちの家の間違いではないですか?」と聞き返しました。

 

 するとお釈迦様は、「豊かな人は、今まで人に与えることを実践してきたから、お金持ちなのです。でも、貧しい人というのは、自分が貧しいゆえに、他の人に施しを与えてこなかったから、もっと貧しくなっているのです」と言いました。

 

 お釈迦様の托鉢の意味は、お金を集めることではありません。お金を集めることが目的だったら、お金持ちの家に行けばいいことです。しかし、わざわざ貧しい集落に托鉢に回ることで、彼らに与えることの大切さを教えていたのです。

 

 この教訓は、与える心、そして、 “させて頂いている” という精神です。(中略)

 豊かになってから与えるのではなく、先に与えるから豊かになるのです。ここでの豊かさには精神的な豊かさも含みます。

 

 ですから、「施し」や「出す」が先です。そして、入ってきたら貯めこむだけではなく、ほどよくまた還元していかないと、豊かさはまた失われていくのです。」

 

「お金によってもたらされる変化やプロセスに意識を向ける」…、実際にお金がないときはなかなか難しそうです。

でも、こんな風に考えられたらいいな、と思えました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

1週間で美人に魅せる女の磨き方

1週間で美人に魅せる女の磨き方

 

 

トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の十一月』

おはようございます、ゆまコロです。

 

トーベ・ヤンソン、鈴木徹郎(訳)『ムーミン谷の十一月』を読みました。

 

物語は、なんだか思い通りにならなかったり、ふとしたことでつまづいたりと、いろんな不満を抱えた登場人物たちが、以前に訪れたときの楽しい思い出を思い出し、ムーミン谷を目指すところから始まります。

 

ムーミン谷へ出発する前のヘムレンさんの、元気のない朝の様子に、なんとなく親近感を覚えます。

 

「ヘムレンさんは、ねむい目をこすりこすり、やっと目がさめました。目がさめきってみると、自分は、やっぱり、いつもの自分です。ちっともかわっていません。

 

 ああ、いやだなあ。もう、ぼくは自分がいやになった。なにか、ぼくの知らない、ちがったものになりたいなあ。

 

 ヘムレンさんは、ゆうべ、ベッドにはいったときよりも、もっとうんざりしていました。

 

 —また、一日がはじまるんだ。夜までつづいて、また、あくる日がやってきて、また、やってきて、いつまでたっても、きまりきったヘムレンのくらしが、毎日毎日つづいていくんだ。

 

 ヘムレンさんは、ふとんの中に深くもぐりこみ、鼻をまくらにあてて、ぐいぐいおしつけました。それから、おなかを、つめたいシーツのはしのほうへずらしました。ベッドいっぱい大の字になって、両手と両足をひろげて、たのしいゆめを見るまで、じっと待っていました。いつまで待っても、たのしいゆめなんて、見られっこないんですけどね。」(p41)

 

方々からいろんな仲間が集まるのですが、留守なのかムーミン屋敷には誰もいなくて、集まった皆はそこで共同生活を送ります。

 

玄関には鍵をかけたことがないムーミン屋敷なのに、室内には鍵のかかったタンスがあったりして、時々、薄気味悪さを感じます。

 

「(ぼくは、連中のところへ出かけていかなきゃいけない)と、スナフキンは思いました。(思い出してばかりいるよりも、いっしょにいたほうが、まだましだ。連中ときたら、ムーミンたちとは大ちがいだ)

 

 はっと、きゅうにスナフキンは、ムーミン一家がこいしくて、たまらなくなりました。ムーミンたちだって、うるさいことはうるさいんです。おしゃべりだってしたがります。どこへいっても、顔があいます。でも、ムーミンたちといっしょのときは、自分ひとりになれるんです。いったい、ムーミンたちは、どんなふうにふるまうんだろう、と、スナフキンはふしぎに思いました。夏になるたびにいつも、ずっといっしょにすごしていて、そのくせ、ぼくが、ひとりっきりになれたひみつがわからないなんて。」(p118)

 

この後、ちょっとした事件があり、我を忘れて怒る、貴重なスナフキンが見られます。

 

作中では上記のスナフキンのように、それぞれが抱いている、ムーミン一家のイメージについて語られるのですが、肝心のメンバーは一度も姿を現さず、最後に屋敷に帰ってきそうなことをちらっとうかがわせるだけです。

 

これがムーミンシリーズ全9作の最後の巻なのですが、近くて遠い、ムーミンたちの存在を思わせる、なかなか素敵な幕切れだと感じました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

新装版 ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)

新装版 ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)