おはようございます、ゆまコロです。
アーシュラ・K・ル=グウィン、清水真砂子(訳)『さいはての島へ ゲド戦記Ⅲ』を読みました。
2巻よりもずっと、もったりした雰囲気の3巻です。
この巻で、気になったセリフはこちらです。
仕上がってくるものがおかしいと言うけれど、どうおかしいのか説明できる者もいない。
ここを読んで、会社の会議のことを思い出しました。
こういうセリフもあります。
「彼らには何が欠けていると思う?」(ゲド)
「生きる喜びだと思います。」(アレン)
アレンが、魔法を使わなくなったゲドのことを、疑いながら一緒に航海するのは苦しいだろうなと思いました。
時間が経って成熟したはずのゲドなのですが、時々アレンの方が冷静に振舞っているように見えるのがおかしかったです。
「ありとあらゆるものの道理が失われていく。この世界のどこかに穴が開いていて、海の水がどんどんこぼれていっている。光もそうだ。だんだん薄れていく。おれたちは干からびた土にとり残されることになろう。ことばは失せ、死もまたなくなるだろう。」
「死はわしらが己れの生命に、生きてきたその生のすべてに支払う代価なのさ。」
そういわれると、どうして命は消えていくのか、少し腑に落ちるような気もします。
この巻では、 だんだん世の中が良くない方向へ進んでいく様子が分かるのですが、これはフィクションだから、と割り切れないような現実味を感じさせます。
「ありとあらゆるものの道理が失われていく」、この様子は、本の中だけでなく、現代のことを言われているようで、不安な気持ちにさせられました。
映画ではこの3巻を主としていたようですが、この巻だけを見るなら、映画の方が盛り上がりがあるように感じます。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
- 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,ゲイル・ギャラティ,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/02/17
- メディア: 単行本
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