ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

角野栄子『キキとジジ 魔女の宅急便番外編その2』

おはようございます、ゆまコロです。

 

角野栄子『キキとジジ 魔女の宅急便番外編その2』を読みました。

 

この巻では、キキよりもどちらかというと、ジジが何を考えて大きくなったか、ということが重点的に書かれています。

 

9歳のキキが、自分は魔女にはならず、周りのみんなと同じがいいと思っているのが印象的です。

 

 

    「血すじって、何?」

 

    「親から子へ、そのまた子どもへ、何代もながーく続いてるってことね。不思議なほど、長く」

 

     「これからも、続いていかないといけないの?だとしたら、どうして?」

 

    「それは、かあさんにもよくわからない。もしかすると、言葉にはできない不思議なのかもしれないの。でもね、血すじだからって、キキも自然に魔女になってしまう、ってものではないのよ」

 

    「じゃ、かあさんはどうしてなったの?」

 

    「わたしのかあさんに、魔女のこといろいろ話してはもらっていたんだけど、はっきりしたきっかけがあってね。ある日、草原に寝ころがって、はてしないほど広い空を見てたらね、雷がどーんと落ちてきたみたいに、突然(わたしは魔女になる!)って思ったの。(どうしてもなるんだ)って。その一瞬で、これは絶対だ、もう変えない、って心が決まったの。不思議だった。

    『続いてる』だけじゃだめなのよね、自分で決めなきゃ。キキにも、そういう雷が落ちてくる、そんな時が来るかもしれない。来るといいね」(p141)

 

 

魔女になってもいいし、ならなくてもいいとキキのお母さん・コキリさんは言います。あくまで娘の意思に沿おうとする、見守るスタンスが素敵です。

そしてキキのお父さんは、セリフがちょっととんぼさんを彷彿とさせます。

(ジジが学校についていくのを止めないところとか。)

 

自発的にキキの家にやってきたジジが、赤ちゃんのキキばかり可愛がられるのが面白くなくて、自分のお母さんを探しに家出してしまうのが、ちょっとかわいそうで可愛かったです。

 

ほっこりするスピンオフでした。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。