ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

沢木耕太郎『キャパの十字架』

こんばんは、ゆまコロです。

 

沢木耕太郎『キャパの十字架』を読みました。

 

私は写真を見るのが好きです。

部屋に飾りたい写真をいつも探しています。

 

ロバート・キャパ(ハンガリーの写真家)が撮影したスペイン内戦の時の報道写真「崩れ落ちる兵士」は、銃弾に撃たれた兵士と見られていたけれど、写真の男性は実は被弾していなかった、という話は聞いたことがありました。

 

作中では、撮影したのも彼ではなく、恋人のゲルダ・タローが撮ったものである、ということも明らかになります。

 

「キャパには自分から結婚を申し込んだ唯一の女性であるゲルダ・タローがいた。しかし、そのゲルダは、キャパが二十三歳のとき、すでに死んでいた。もちろん、キャパが、ゲルダに対する思いを引きずっていたため、イレーヌ・ジャスティンとも、イングリッド・バーグマンとも結婚しなかったというのは、あまりにもロマンティックすぎる考え方のような気もする。ただ、キャパの心の奥底に、ゲルダに対する独特な思いが残りつづけていたことは間違いない。それが、愛情なのか、未練なのか、後悔なのか、贖罪の意識だったのかは定かではないのだが。」

 

ゲルダがパジャマ姿で寝ている写真を展覧会で見たことがあります。キャパが撮った写真です。

柔らかく、幸せそうな寝顔で、二人が辿った人生を思うと、胸がいっぱいになります。

 

自らの身を危険に晒して、写真を撮って下さったキャパとゲルダに敬意を表します。

 

ドキュメンタリー、写真が好きな方に読んでほしいです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

キャパの十字架 (文春文庫)

キャパの十字架 (文春文庫)