ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ロバート・キャパ『ちょっとピンぼけ』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ロバート・キャパ、川添浩史・井上精一(訳)『ちょっとピンぼけ』を読みました。

 

ロバート・キャパは、ハンガリー生まれの写真家です。

キャパの撮った写真からは、その時その場所で彼が聞いたであろう音が聞こえてきそうな印象を受けます。

 

戦場カメラマンの本なのに、なんとなく平和的な響きのする、不思議なタイトルだなと思っていました。このタイトルには、以下のような背景があります。

 

「1944年にはノルマンディー上陸作戦を取材。第1歩兵師団第16歩兵連隊第2大隊E中隊に従軍した。最大の戦死者を出したオマハ・ビーチにてドイツ軍と連合軍が入り乱れる中、100枚以上の写真を撮影した。

 しかし現像の際に興奮した暗室助手のデニス・バンクスが乾燥の際にフィルムを加熱しすぎてしまったために感光乳剤が溶け、まともな写真として残っているものは11枚しかなかった(8枚という説もある)。これが後に彼の写真著書『ちょっとピンぼけ』のタイトルに反映されたという。」(ウィキペディアより)

 

戦場に同行して撮影する中では、辛いことや、目を背けたくなるようなことも多かったのでは、と想像しますが、本書でキャパによって綴られる日々は冷静な視点で、淡々と過ぎて行くように描かれています。

 

印象に残った言葉はこちらです。

 

「私は戦死する最後の男の写真を撮った。この最後の日、もっとも勇敢なる兵士の数人がなおも死んでいくであろう。生き残ってゆくものは、死んでゆく彼らをすぐ忘れ去るのであろうか。」

 

恵比寿にある東京都写真美術館に行くと、入口の壁に、大きなサイズのキャパの写真が飾られています。

 

ノルマンディー上陸作戦を取材したキャパと同じ場所に立っているかのような大きさです。

 

使命を持って仕事を全うした彼に敬意を表します。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

ちょっとピンぼけ (文春文庫)

ちょっとピンぼけ (文春文庫)