ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

目標に必要な自分の姿が見えてくる。『一流の達成力』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。

原田隆史さん、柴山健太郎さんの『一流の達成力〜原田メソッド「オープンウィンドウ64」』を読みました。

 

オープンウィンドウ64とは、著者の原田隆史さんが教師生活のなかで確立した「優れた人格・人間力を土台に、目標達成できる」人を育てる人材育成手法のことです。

 

大谷翔平選手が高校生のときに作成したものを見てみたくて、この本を読みました。

 

やり方としては、最初に中央のマスに自分が達成したい目標を書き込み、周りの8マスに目標達成に向けて重要なキーワード、取り組む分野を書き込んでいきます。そして、8つのキーワードやテーマ毎に関連する具体的な行動を検討することで、思考がどんどん広がり、最終的に目標を達成するための64の具体的行動が導き出される、というものです。

 

 彼の非凡なところは、このシートを見てもおわかりの通り、「人間性」や「運」を高めようと努力したことでした。 この部分を見ただけでも、彼がプロ野球界に入ってからもあれだけの活躍ができることが納得いただけるのではないでしょうか。
 彼のようにOW64を使うと、自分も夢や目標が達成できるのかという声を数多くの購入者や読者からいただきました。

 

 私たちはここで、あなたに断言します。
 OW64を使えば、確実に達成力が高まります。
 現状よりも高い目標を得ることができます。
 私、原田隆史が長年かけて開発したこのシートは、企業、教育、スポーツ、芸術などのあらゆる分野で成果を出し続けています。
 そして、これからも多くの方、とくに子どもたちに夢や目標を達成してほしいという強い思いで、OW4の開発者の原田と、そのOW4を実践の場で指導している柴山が今回書籍としてOWの秘密を開陳しようと思いました。
(p10)

 

大谷選手の書いた目標を見ると、運を上げるために「ゴミ拾い」をするとか、人間性を高めるために「礼儀」を重んじるとか、メンタルを鍛えるために「一喜一憂しない」とか、たしかに一見すると野球と関係ない事柄が書かれています。これらを、目標達成に関係ないことと切り捨てるのではなく、すべて自分の成長につながる要素と捉えているところが見えてくるようです。

マンガ「ちはやふる」で、千早がかるた部に運を引き寄せるために部室を吹奏楽部に譲った話を思い出しました。

 

 どちらが目標の基本かといえば、それはやはり「BE」で、そこから次のパフォーマンスを出していくのです。このような考え方をうまく体得する手法にU理論という優れたものがありますが、一度自分の中にある、いままでの自分である「BE」の部分を掘り下げて、新しい自分である「BE」を生み出し、それをベースとして行動を変革するという方法は、少し体感しにくい面もありました。
 そこで「BE」を考えるベースとして役に立つのは、名だたる経営者たちの哲学です。
 たとえば、稲盛和夫さんの人生の成功の手本である「考え方×熱意(努力)×才能」は、熱意を持って才能を発揮しても、心の部分である考え方がゼロだと結果はゼロ、マイナスであれば結果はマイナスになってしまうという人生の方程式です。
 また、 井深大(いぶかまさる)さんや本田宗一郎さん、松下幸之助さんの哲学も「BE」が最初にあって、大きな変革を遂げています。おそらく、人間形成が先にくる考え方という時代に戻ってきているのではないかと感じています。
 調べてみると、彼らの人格形成や、のちの社会貢献に大きく影響している共通項が3つありました。

 1つは幼少期に愛に育(はぐく)まれて育っていること、2つ目は大病や事故などで生死をさまようような体験をしていること。このような2つの体験があると、自分の我欲を解き放ち、我が離れると「社会、他者・無形」のほうに突き進むので、一気に人格的にも広がりを見せるのです。
 あともう1つは、いま流行りの瞑想や坐禅、マインドフルネスです。
 これらの継続によって自己への気づきが高まり、良い行動を行おうとします。また、頭の中が解放されていきます。考えすぎると雑念や我欲でいっぱいになりますが、頭が解放されると、潜在意識のもとになる「サムシング・グレート」から発想やヒントが下りてきます。 これは筑波大学名誉教授の村上和雄先生がおっしゃっています。

 

 ですから、未来や目標を考えるうえで、あなたの原体験や成育歴、自分は4つの観点のどこが強いのか、どうしても数字だけを追い求める人間なのか、それとも他者と協働して何かやるのが好きなのか、一度自分を棚卸しするという作業をしてみてほしいのです。
 まずは、自分が目標を立てる際に、「未来の4つの目的・目標」がどれくらい出るかを紙に書いてみれば、自分自身がわかってきます。
「私・有形」の部分が10個、「社会、他者・無形」の部分が1個しか出ないという人もいれば、「他者・無形」の部分が100個以上出てくる人もいます。
 ただし、ここはバランスですから、「私・有形」しか出てこない人は、もう少し身の回りの人や社会の幸せを考えるような思考や人間形成が必要ですし、逆に「社会、他者・無形」ばかりの人は、もう少しビジネスの視点なども取り入れて、「私・有形」を増やし、自分に足りない目に見える目標を持つようにするといいのです。
 あなた自身の生き方そのものに根差した部分ですから、目標を決める前に、一度ここだけを考えて視野を広げてみてください。


「BE」から生まれる目標に制限はない

 

 私たちは研修で、「DO」 「HAVE」よりも、自分のあるべき姿 「BE」が大切だという話をよくします。 受講生は初めて知る 「未来の目的・目標の4観点」の話で感動しているうえに、感情を目標にしてもいいと言われると、一瞬なんのことだか戸惑います。
 そこで、「みなさんは、うれしい感情や楽しい感情、自信などを得ることが動機になってもいいのです。また、生き生きしたい、ワクワクして働きたいなどを目標に置きモチベーションを高めてもいいですよ」と言うと、多くの受講生が安心します。
 これまで目標というと、「年収アップ」や「会社の売上アップ」など有形のものを立てなければならないという固定観念がありましたから、多くの人が心のどこかに「何か違うな」という感情を抱いていたのではないでしょうか。
 これからの目標は、そうした「有形」のものとともに「社会、他者」に関するものや「無形」のものも必要なのです。世の中のためとか人が和むとか家族を安心させるという目標は、昔なら社会人としてふさわしくないと思われたでしょうが、いまの時代はそんなことはないのです。
 たすき掛けの法則というものがありますが、「社会、他者・無形」の目標が増えたら、同時に「私・有形」の目標も増えていきます。

 しかし、若い人や女性などは、とくに高い目標を書くことに躊躇してしまいます。

原田メソッドの考え方を女性や学生、就活生に広げた講座の生徒さんは、高い目標を書いていいのだろうかと筆が止まることがあります。
 私たちはそうした人たちに説明するときに、成功者たちは「未来思考アウトプット型」だという話をします。
 そもそも人間は、成長していく過程で「過去思考インプット型」や「消極的思考」になっていきます。親や学校で 「どうせ無理」と言われ続けたり、メディアなどの影響で、「どうせ自分にはできない」「できなかったらどうしよう」「やってもムダだ」と、勝手に思い込んでしまうのです。
 たとえば、多くの子どもが小学校の卒業文集では、「サッカーで日本代表になりたい」とか「世界一になりたい」と書きます。
 しかし、彼らが中学生になると、「サッカー関係の仕事」というように夢を下げてしまいます。それがだんだん年齢を重ねるにつれて、サッカー関係の仕事からスポーツ関係の仕事になって、中学を卒業する頃になると、夢を言えなくなっているのです。しかし、成功している経営者などは逆に、見えない未来へ向かってポジティブに夢を掲げ、その夢の達成に向かって具体的に「私・有形」の目標を生み出していきます。
 もちろん、根底には「社会、他者・無形」の思いが存在しているからなのでしょうが、「未来思考アウトプット型」だからこそ、「私・有形」の目標を高く掲げることができるのです。
 「未来思考アウトプット型」で物事を考えるためには、あなたの心のコップを積極的、前向き、真面目、本気という常に上向きの状態にしておくことです。そうすれば、すべてを受け入れる状態が出来上がります。そうして、そのコップの中に大きな夢や目標をどんどん入れていけるのです。
 ですから若い人たちには、コップの器を上向きにするために、さまざまな想像をしてもらいます。その中で、「ドラゴンボールワーク」というものがあります。
 これは、漫画『ドラゴンボール』で、ボールを7つ集めるとシェンロンという龍が出てきて、1つだけ願いを叶えてくれるというもので、ワークでは1つの願いではなくて、5分間で書いたものをすべて叶えてくれるとしたら、何を書くかというというワークをするのです。
 するとほとんどの人が、一気に夢や目標を書き出します。 5分しか時間がないわけですから、 「これは無理だろう」など考える暇などなくなります。 そうやって書き出した夢や目標を恥ずかしいなどと言っていられなくなるのです。
 私たちはこうしたワークの際には、何も制限がなく、時間もすべて自由だったらという前提で書いてもらいます。
 やはり自分自身にブレーキをかけている人が多いので、感情に対しての目標も含めていくと、もう少し自由に目標が書ける人が増えてくるのではないかと思っています。

(p68)

 

目標を「私的有形」「私的無形」「他者的有形」「他者的無形」の4つの観点で捉えましょう、というものなのですが、そう言われると自分は何を望んでいるのか、自分でもよく分からなくなってきます。

「未来や目標を考えるうえで、あなたの原体験や成育歴、自分は4つの観点のどこが強いのか、どうしても数字だけを追い求める人間なのか、それとも他者と協働して何かやるのが好きなのか、一度自分を棚卸しするという作業をしてみてほしいのです。」

確かに64マスに目標と行動目標を書いていこうとすると、すぐ思いつく欄や書きやすいところはあるのですが、逆にどう考えてもひねり出せないところもあります。

自分を棚卸しするという作業はあまりやったことがなかったな、と書いていて思いました。

具体的な書き方はこんな感じです。

 

 OW64の書き方・使い方

 

【その1】 あなたが一番達成したい目標を中心に書く

 

 OW64は、8×8=64マスの中に目標と行動目標を書き込んでいくシートです。
 シートの中心に1つ、あなたがなし得たい目標 (テーマ)を書きます。そして、真上から時計回りに、その中心の目標を達成するために必要な要素を8つ落とし込んでいきます(基礎思考)。
 8つの要素を落とし込んだら、その目標を放射状に伸ばした9マスの部分の中心に書き込みます。そして、それぞれの目標に対して先ほどと同じように真上から時計回りに、やるべきこと、行動目標を8つ書き込んでいきます(実践思考)。

 

1.  取り組む 「テーマ」を決める。
2.  「基礎思考」を8つ書き出す。
3. 8つそれぞれから、さらに8つの「実践思考」を生み出す (実践思考とは、その言葉を聞くと具体的な活動や行動、その活動場面がイメージできる言葉のことを指す)。
4.  1つの「テーマ」に対して8×8=64個の「実践思考」が生まれる。


 たったそれだけです。しかし、実際にこの作業をやってみるとわかるのですが、初めての人だとかなり時間がかかります。研修では、第1章、第2章で説明した目標の考え方である4つの観点から、中心にはどんな目標を置くのかを考えてもらいます。
 中心の目標に何を置くかで悩んでしまう人もいますが、ここは有形の目標でも無形の目標でもかまいません。しかし、ゴールがはっきりしている場合、たとえばビジネスなら、単純に「売上××億円」や「会社が地域社会に貢献する」というものでもかまいません。
 

 私たちは企業にも研修をしているので、企業でシートを書くときは、当然このような仕事絡みの目標を設定して、参加者にはシートの中心にその目標を書いてもらいます。

 また、スポーツの場合なら「全国大会で優勝する」「日本一のプレーヤーになる」、試験勉強や受験を受ける人は「××検定合格!」という目標設定ができるでしょう。
 このように、シートの中心に置くのは、誰もが挑戦できる再現性があるものを目標に落とし込んだほうが、そこから広げていった行動目標なども具体的に見えてきます。
 再現性があるものとは、売上目標、資格取得、大会優勝などのほかに、収入、地位、ダイエットなど数値化しやすい目標になります。
 中心に置く目標を私たちは「テーマ」と呼んでいて、あなたの人生にとって幹となるような目標です。 「社会、他者・無形」 という話を何度もしていますが、この土台がしっかりしていると、「私・有形」の目標はその目的へ向かうために明確になっていきますから、より行動へコミットできるのです。
 いずれにしても、まずは中心にあなたの大きな夢や大きな目標を書いてみましょう。
 OW64解のいいところは、この1枚がすべてではなく、必要ならば中心に置く目標を何枚にも分けて書いていいところです。
 ですから、まずは1つ、あなたの目標とするテーマを掲げてみましょう。

 

【その2】 中心のテーマから「心・技・体・生活」の要素を8つに落とし込む
 

 中心に目標が書けたら、次にその目標を達成するために必要な目標や活動を、真上から8つ書き込んでいきます。
 この8つの柱を「基礎思考」と呼んでいます。中心の目標を達成するために基礎的に必要な要素を落とし込んでいくのです。そこでこの8つの柱にできれば入れてほしい要素があります。
 それは「心・技・体・生活」です。
 心技体は武術などで使われる言葉ですが、技術だけではダメで、技術の基礎となる体が備わっていないと技術は向上しない。また、技術が向上してもメンタルが弱いと真の強さは身につけられないというものです。
 また私たちは、この3つに加えて「生活」も入れています。
 これは仕事や勉強、 スポーツや芸術活動などの目に見える活動の裏にある私生活に着目し、生活改善をはかることで結果を出すということに気づいてもらうためのものです。この4つの要素がバランスよく配置されると目標が達成されやすくなります。


【心】……メンタルの強さ、ポジティブ思考、感情コントロール、感謝の心…など
【技】….... スキルの向上、キャリア、ノウハウ、自己分析、努力…など
【体】…..…体力づくり(トレーニングの継続)、健康・体調管理…など
【生活】…仕事をしていないときの過ごし方、家族との過ごし方、交友関係…など

 

 実際に会社の目標を例に出しながら説明していきましょう。
 おそらく、一番わかりやすいのが会社の掲げるテーマです。
 たとえば、あなたが店舗の営業部に所属しているならば、テーマには「売上を600万円にするためには」という共通テーマを書き出します。書き出していく際には、重要だと思う要素から上から時計回りに、また「心・技・体・生活」の要素ができるだけ入るように落とし込んでいきます。
 すると、基礎思考の8つの柱に必要な目標は次のようになります。

 

【心】……チームの関係性の向上、スタッフへのメンタルサポート
【技】 ……販売促進、人材育成、サービスの向上、商品力のアップ
【体】……自分の体力を含めた人間力の向上
【生活】…生活面の環境整備


 心の面では、関係性の向上はこれからの組織に必修ですし、スタッフへのメンタルサポートは常識となりつつあります。
 技術面での基礎思考は、売上を上げるための目標ですから、販売力をつけなければなりません。
 商品力のアップも当然でしょう。 商品の魅力を引き出せれば売上も伸びていきます。
 また、サービスの向上はお客様のリピート率を上げるためには欠かせない要素で、それらを効率的に高めるためにも人材育成は必修です。 技術は、ほかの目標においても、最もわかりやすい部分ではないでしょうか。
(p95)

 

私は今回、仕事で達成したいことを目標に書いたのですが、64個埋めるのがとにかく大変でした。ものすごく考えてひねり出した項目を見ると、ネタがなさすぎて突拍子もないことを書いたりしていて、これって行動目標としてありなのかな、と不安に思ったりもします。

 

 ルーティンチェック表


 ルーティンが大事なのは、行動を習慣化し、 潜在意識にまで落とし込むためです。言い換えれば、意識しないでも習慣化された行動から勝手に結果を出せる自分をつくるという感じです。
 潜在意識の研究は近年、脳科学の世界でしきりに研究されていて、意識の部分は脳の3%で、残り99%が潜在意識の範疇といわれています。
 この潜在意識の部分をどう使うかは人類の課題でしたが、答えの1つは、習慣形成でした。 心理学でいえば自動化するといいます。ハイパフォーマーはプラスの習慣を持っているということがわかっています。
 では、その習慣をどうつくったらいいのかというと、通常ではある行動を2日間続けられるように取り組むと習慣化するとなっていますが、私たちの研修ではルーティン表に落とし込み、14日間続けられるように取り組めばOKとしています。 意識しないでも毎朝歯を磨くように、無意識に行動できるようにすればいいわけです。

 それまでは顕在意識の段階です。ルーティンチェック表では14日間、毎日行動できたかどうか○×をつけてチェックしていきます。
 表の上の家庭、職場という欄では、「原田式長期目的・目標設定用紙」に書いた奉仕活動を実行する場所や時間を具体的に決めて落とし込みます。その下の①~⑳は優先順位の高いルーティン行動を書きます。
 そして、14日後に「自動化できたと思われるルーティン」を自分で判断し用紙の下方に項目だけ移します。 そして新たなルーティンや、まだルーティン化できていないものに集中的に取り組み、自動化させていきます。
 こうしてすべてが自動化できればルーティンチェック表の役割は終わりです。新たな目標を設定して、同様のプロセスで進んで行ってください。
 ルーティン行動を実行するときは、最初は自分で意識して行わなければなりませんが、仲間や家族と見せ合ったり、励まし合ったり、チェックし合ったりして行動すると継続しやすいでしょう。
 仕事のパフォーマンスも、勉強も、スポーツも結果につながる良い習慣が、 あなたのステージを上げ、 運を開いていくのです。
(p184)

 

「原田式長期目的・目標設定用紙」は、ゴール達成に向けて、その時々に適切に対処するための、セルフコントロール能力を高めるための用紙です。プラスとなる習慣をルーティン化するために、「翌日に疲労を持ち越さないために」とか、「整理整頓を心がけるために」、何を心がければよいかを前もって考えておきます。

 

「オープンウィンドウ64」も、「長期目的・目標設定用紙」も、実際に書いて見ると形にするのはなかなか難しいです。また、自分は何が得意な人間でどんなことを望んでいるのか、思いもよらなかった気づきに出会えることもあります。

書いたものがだいたいの形になる頃には、目標のためにまだ何もしていないのに疲れちゃって、こんなんで大丈夫かな、と思ったりもするのですが、出来上がったものを見ると、なるほどこれをすればよいのか、という地図が出てきたようで、なかなか壮観ではあります。

 

新年に立てた目標は8%の人しか達成できないと聞いたことがあります。

達成したい目標があるときは、書き方だけでも見てみると、心の準備運動になると思います。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。