ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

私のための価値ある勉強。『シリコンバレーで結果を出す人は何を勉強しているのか』を読んで

おはようございます、ゆまコロです。

 

鳩山玲人さんの『シリコンバレーで結果を出す人は何を勉強しているのか』を読みました。

 

「大人の勉強は学生時代の10倍の価値がある」という帯が気になって手に取りました。

 

これは考えたことなかったな、と思ったのは、「有料のニュースを読む」というもの。

 

 情報収集では「有料」のニュースを読む

 

 紙の本を今でもよく読む一方で、情報収集についてはデジタル化しています。かつては紙の雑誌を好んで読んでいましたが、最新の情報を収集するために今使っているのは、有料のニュースサービスです。 アメリカだとグーグルニュースやアップルニュースが充実しているので、サブスクリプションしています。
 この2つを活用すれば、自分が好きな雑誌の記事から時事ニュースまで幅広く押さえ
られるだけでなく、自分の興味・関心に合わせて読むべき記事をピックアップもしてもらえるので、毎朝1時間ほどみっちり情報収集するのが習慣になっています。
 一方で、最近のオンラインアプリは自分の好みにカスタマイズされすぎていて、自分の関心が薄いカテゴリーが表示されなくなり、社会の全体像を見失ってしまう面もあります。そのようなデメリットも意識し、これらに加えて、日本の情報なら日経新聞電子版のように情報がカスタマイズされすぎないニュースを見るようにして、情報を全体像で押さえるようにしています。
 

 ネット上のニュースには無料で読めるものもたくさんありますが、やはり有料のもの「勉強法」は良質で、分析の深さが違います。きちんと対価を払い、踏み込んだ背景の分析なども読めるものを選ぶのがおすすめです。 
 日本であれば NewsPicks(ニューズピックス) がおすすめでしょう。 NewsPicks は、 ニュースサイトとして最新情報をタイムリーに読めるだけでなく、ソーシャル型のオンライン経済メディアでもあるので、自分で気になるニュースや情報をピック(投稿)したり、それにコメントしたりすることもできます。また、さまざまな分野の映像コンテンツも豊富です。


 「伝える」を練習する

 私は今、Newspicks で「伝書鳩(でんしょばと)TV」という動画ニュースに出ています。これは週に2本、1~2分のアニメ動画でテクノロジー、カルチャー、政治など幅広くアメリカの最新ニュースを取り上げる番組で、アニメの中で私は「Ray」というキャラクターになって、アメリカの最新事情をわかりやすくお伝えしています。

 

 この番組に出るようになって痛感したのは、「伝える」ということは練習して経験を積まなければ、うまくならないということです。
 「伝書鳩TV」ではアメリカのスタートアップの最先端テクノロジーなどについてもごく短く、やわらかな表現で簡潔に説明しなければなりません。もちろんトピックを選ぶときには視聴者の関心を考えますし、いかに注目を集めるかを工夫しながら話すことにもなります。番組はすでに30回を超えているのですが、この経験を通じて自分の「伝える技術」は確実に伸びていると感じます。
 考えてみれば、相手の注意を引きながらわかりやすく簡潔に伝えるというのは、まさにピッチ(短いプレゼンなど)で求められる「伝える技術」と同じなのです。

 

 昔は「伝える技術」といえば、パワーポイントでいかに見栄えのする営業資料を作るかといったテーマが関心を集めていましたが、今の時代はSNSの中で自分をどうアピールし、自分のアイデンティティを作っていくかということが求められるようになっています。

(p64)

 

「伝える」は練習しなければ、うまくならない、というのは、私も実感したことがあります。

友人の結婚式でスピーチをした時、1人目の時は相当上がってしまいましたが、それほど間を置かずに2人目のスピーチを頼まれた時、本番で、「なんか楽になってるかも」という感じがあったのです。

(まあ、あまり率先してやりたいタイプではありませんが。)

 

鳩山さんは、自己分析の大切さも説いています。

 

 みなさんの中には、「そんなことはテストを受けなくてもわかるだろう」「自分のことは自分が一番わかっている」と思う方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
 しかし、このような分析は非常に重要です。 それは自分を知るということだけでなく、人の多様性について考えることにつながるからです。
 私は、シリコンバレーではダイバーシティの本質的な重要性が深く理解されていると感じます。それは日本でダイバーシティが「女性活躍」 「性的少数者への配慮」などに偏って捉えられて、お題目のように扱われがちなのとは対照的といってもいいかもしれません。
 シリコンバレーでは、多様性の重視は道徳的な意味で大切という面ももちろんありますが、それ以上に、組織の力を最大化してビジネスを推進していくために必須の要素として捉えられています。
 価値観やものの考え方は一人ひとりが異なるものであり、お互いがそれを理解して尊重すること、その違いを活かせる組織作りをすることが個人と組織の両方を強くするのです。
 ごくシンプルにいえば、多様な人が集まってさまざまな角度から意見を交わして意思決定すれば、それだけその意思決定の確実性が高まるということかもしれません。


 シリコンバレーでは「人」を学ぶことを重視
 

 カウフマンフェローズでは、「The 6 Types of Working Genius」 などのテストで診断を受け取ったあとに、エクササイズも行います。診断を踏まえ、これまでの経験を振り返りながら周囲の人にもヒアリングし、自分をどう活かしていけるのか、自分が本当に得意なことを探っていくのです。
 そのようなステップを経て、私は単に「自分はこういうことが得意だ」「こういうことは苦手だ」ということを理解するだけでなく、自分と反りが合わないと思っていた人が、自分とは異なる「The Genius of Wonder」 タイプの人なのだと理解し、その前提に立って意見にじっくり耳を傾けようと意識したり、「The Genius of Enablement」タイプの人なのだとわかれば、そのアイデアから参考にできるところがあるはずだと考えてみたりというように、自分のよいところを活かしながら周囲とどう協同すべきかを分析できるようになったと感じます。

 

 カウフマンフェローズでこのようなプログラムが導入されているのは、スタートアップの成功要因として「人」が占める割合が大きいからでしょう。
 結局のところ、ビジネスを動かしているのは「人」であり、特にスタートアップのように組織としての規模が大きくなく成熟度も低い場合、ビジネスの成功が一人ひとりの「人」にかかっている割合は、より大きいといえます。
 つまり「人」がどのような特性を持ち、どのように行動するのかを理解することは、ビジネスを成功に導くための必須要素ということです。
 ですからシリコンバレーでは、産業について学ぶのと同様、人間とその行動特性を学ぶことが重視されているのです。さまざまな研究も進んでおり、その結果として「The 6 Types of Working Genius」や「SCARF」などのモデルが一般的に利用されるようになっているのではないかと思います。
   実際、シリコンバレーでは「人」を学び、チーム力を最大化するという考え方が浸透しているためか、「あなたの Genius は何ですか?」といった会話になることもめずらしくありません。
 日本でもよく知られているコンセプトが似たテストに、人を9つのタイプに分ける「エニアグラム」がありますが、「エニアグラムのタイプは何番ですか?」「8番です」「あぁ、8番なんですね」といった会話も普通に交わされています。
 そうやって「自分とは異なる他者」について学び、理解しようと努め、お互いにパフォーマンスを最大化できるようにしようと試みているのです。

 日本でもよく知られているテストの一つとしては、「ストレングス・ファインダー」があげられます。興味がある方は、『さあ、才能に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』(日本経済新聞出版)に目を通し、実際にウェブでテストを受けてみてもいいかもしれません。

(p138)

 

「日本でダイバーシティが「女性活躍」 「性的少数者への配慮」などに偏って捉えられて、お題目のように扱われがちなのとは対照的といってもいいかもしれません。
 シリコンバレーでは、多様性の重視は道徳的な意味で大切という面ももちろんありますが、それ以上に、組織の力を最大化してビジネスを推進していくために必須の要素として捉えられています。」

本当にこの意見には、賛成の意思表示しかありません。

 

「自分は何ができるのか」を明確にする


 もう一つ、「自分について学ぶ」という観点では、カウフマンフェローズでも実践し
たパーソナルブランディングもおすすめです。
 パーソナルブランディングには、企業を内部分析するように自分について分析することと、そのうえでどのように自分をブランディングして売り込んでいくかという2つの重要なピースがあります。
 日本ではあまりパーソナルブランディングの重要性が語られていないように思うのですが、これはパーソナルブランディングではなく「私は三菱商事の○○です」「サンリオの○○です」というように、企業のブランディングをそのまま自分のブランディングとしているケースが多いからではないかと思います。
 しかし「どこの組織に所属しているか」ということだけで自分を語っていると、転職したり独立したりして企業と切り離されたときに「自分は何ができるのか」「自分はどのような人なのか」ということを伝えて売り込むことがまったくできなくなってしまいます。
 これから転職などでキャリアを積んでいくことを考えるなら、やはり「人材として自分を売り込むとすれば、強みは何なのか」を明確にし、パーソナルブランディングを確立することが重要になるでしょう。
 パーソナルブランディングでは、自分の専門領域や身につけた知見、技能についての棚卸しをするだけでなく、「相手にどのような人物だと思われたいか」「どんな自分でありたいか」を考えることも必要です。
 「この人と会うといつでも楽しい」「この人は絶対に時間に遅れない」といったイメージを確立することもパーソナルブランディングの一部といえます。

(p150)

 

「「人材として自分を売り込むとすれば、強みは何なのか」を明確に」する、という視点、これもやはり、これまであまり掘り下げて考えたことはなかったです。

 

 パーソナルブランディングができれば、さまざまな場面で人に伝えることができます。

 私自身は、「これが得意です」「こういうことが好きです」と言い続けることで、それが口コミとなって広がり、自分に合う仕事が舞い込んでくるという経験を数多く重ねてきました。
 このように意識的に自分を売り出してこそ、パーソナルブランディングをする意味がありますし、それが活かされるのだと思います。


 転機となる出会いを活かすためにも、常にベストの自分でいる


 カウフマンフェローズでパーソナルブランディングについて学ぶのは、それがベンチャーキャピタリストにとって重要だからです。
 なぜベンチャーキャピタリストにパーソナルブランディングが必要なのかというと、自分のブランドを明確にすることにより、常に自分のベストの状態で人と関われるようになる可能性が高まるからです。
ベンチャーキャピタルは、100人、1000人と多くの人に会い、その中にマーク・ザッカーバーグのような人物が一人いるかどうかという世界です。
 しかし、目の前にいる人が「マーク・ザッカーバーグ」かどうかは、すぐにはわかりません。ですから、どんな人に会っても常にベストの自分を見せられるようにする必要があるのです。それができなければ、「マーク・ザッカーバーグ」と関係性を築くチャンスを逃してしまうことになりかねません。
 

 私は、これはベンチャーキャピタリストでなくても、重要な視点だと思っています。
 人生では、いつ転機となるような出会いが訪れるかわかりません。
たとえば私は今LINEの社外取締役を務めていますが、もとを辿れば東宝川村元気さんの紹介に始まって、さまざまなご縁がつながった結果、正式なオファーをいただいたのです。
 いつもベストな自分でいるというのは実際には難しいものではありますが、なるべくそうあろうとし続けていることが、こうした人からのご縁をつかむことにつながっているように思います。

(p152)

 

私は今まで結構受け身で仕事をしていた故、プライベートのことなどそれほど周囲に話すタイプではありませんでしたが、「これが得意です」「こういうことが好きです」ということを、自分なりによく考えて、日頃からもっと表に出していった方がいいのかも、と思いました。

 

 自己開示をすると、「ご縁」に恵まれる

 「シリコンバレーにいるから、うまい話が転がり込んでくるんだろう」
 「やっぱり、そこそこ英語ができるからじゃないの?」
 「そもそも、自分には鳩山さんのような知り合いがいるわけでもないし」
 「まぁ、自分には縁のないサクセス・ストーリーの一つだよね」
 などと思った人もいるかもしれません。
 確かに、もしみなさんがこの本を閉じたあとで何も行動を変えることがなければ、いい「ご縁」が見つかる可能性は低そうです。
 しかし大事なのは、シリコンバレーにいることでも、英語ができることでも、顔が広いことでもありません。
 もちろんシリコンバレーに暮らして刺激を得たり、英語を学んだり、人脈を広げたりするのは素晴らしいことですが、今の時点でそうした環境になかったとしても、みなさんが自分の行動を変えれば、いくらでも「ご縁」は見つけられるはずです。
 よい転職の機会を自分も得たいと思うなら、基本動作は3つあります。一つめは、いろいろな人に「会社を辞めるつもりです」と話すこと。2つめは、履歴書を用意すること。3つめは、ヘッドハンターや転職サービスに登録し、興味を持てた会社の人と会って話すことです。

(p178)

 

取り急ぎ転職の予定はないですが、この基本動作は覚えておきたいなと思いました。

そして一番いいなと思ったのは、以下の部分。

 

 定年を迎えて「どこにも行くところがない」ということにならないよう、先を見据えてできるだけ早く動き始めることをおすすめします。

 

 「仕事100%」の世界の終焉

 

 日本では終身雇用が崩壊したといわれながらも「新卒で入った会社で定年まで勤め上げる」ことに違和感を覚える人は少なく、キャリア観があまり多様化していないように感じますが、シリコンバレーの人々が自分で自分の人生を設計している姿を目の当たりにするにつけ、「新卒から定年まで」の人生設計にはやはり不自然さがあるように思います。
 世界に目を転じれば、一つの会社の仕事だけで人生が100%埋まってしまうような生き方ではなく、社会や環境に目を向けていくなど視点をたくさん持つことが当たり前になってきています。
 シリコンバレー的な生き方とは、世の中の動きに目を向け、そのうえで「自分がその中でどう生きたいか」「社会に対して自分がどう向き合っていくのか」を考えることでもあり、それは日本で暮らす多くの方にとっても大切な姿勢になってくるのではないでしょうか。

 

 こんなことを書いていますが、私自身のことを正直に吐露すれば、かつては「企業と自分を一致させる」のがごく当たり前のことだと思っていました。勤めている企業のゴールが、そのまま自分のゴールだと思っていたのです。
 サンリオで働いていた頃の私の生きがいは、サンリオを大きくすることであり、それこそが自分のミッションでありビジョンであると何のためらいもなく考えていました。
 それがある日、自分の意に反してサンリオを離れることになったわけです。

 

 しばらくすると、なぜサンリオを大きくすることが私個人のミッションだなどと思っていたのか、不思議に思うようになりました。
 会社のミッションと個人のミッションというのは違うものだと気づき、そしてそのとき、自分には自分自身のミッションやビジョンがなかったということに思い至ったのです。
 サンリオを辞めた当初は、「これからミッションやビジョンに共感できる会社を見つけて、その会社の一部になる」ことが次の自分の生き方であり、自分の居場所を探す方法だと思っていたのですが、それもまったく違いました。
 

 大事なのは、「自分は何がしたいのか」を考えることでした。
 「エンターテインメントに関わる仕事をしたい」「グローバルに、日本とアメリカの架け橋になるような貢献をしたい」という自分の思いを明確にできたのは、このことに気づけたからですし、さらに「自分の成長も重要だけれど、それだけでなく、家族も幸せになってもらいたい。だから家族も、それぞれが自分なりのミッションやビジョンを持って生きていってほしい」と強く思うようにもなりました。
 これは、私が会社勤めを辞めたから、このように考えたのだということではありません。
 カウフマンフェローズのエクササイズでも取り上げられる企業側の課題として、「働く個人のミッションと企業のミッションをどう一致させていくか」があります。
 単に「企業のミッションは企業のミッションであり、個人のミッションとは別物だ」ということではなく、その2つが重なったときに、企業としても個人としても最大のパフォーマンスが発揮されるということを前提として、近年はそれをどのように一致させるかについて、企業が努力することが必要だという議論が盛んになっているのです。

(p186)

 

「会社のミッションと個人のミッションというのは違うものだと気づき、そしてそのとき、自分には自分自身のミッションやビジョンがなかったということに思い至ったのです。」
確かに私も、会社のミッションに自分を合わせる、という姿勢になんの疑いも持っていなかったな、と思いました。

あと、この本で好きなのは、おすすめの本が巻末にたくさん紹介されていることです。

ひとまず、忘れたくないと思った1冊はこれ。

 

『ハーバード流マネジメント講座 90日で成果を出すリーダー』
マイケル・ワトキンス著、伊豆原弓訳、翔泳社
新しい部署に異動になった、新しい会社に転職した、あるいは出世した。そういうときにどのようにその日を迎え、行動していけばよいのか。最初の「30日」は、新しい環境に圧倒されがちだが、ここで何をするかが肝心と説き、新しいポジションや転職後の90日でやるべき10のポイントを提示する。私自身もこの本を実際に活用して90日のロードマップを作成した。転職前の心の準備としても読むと、心が落ちつくはず。

 

 

 

今後、異動や転職することになったらぜひ開こうと思いました。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。