おはようございます、ゆまコロです。
村上春樹『辺境・近境』を読みました。
村上春樹さんが訪れた旅の記録です。
この本に収められているのは、以下の場所です。
この中で私が気に入ったのは、ノモンハン編です。
長春(元・満州国の首都新京)の動物園で、村上さんが虎の赤ちゃんを抱っこしているのが非常に羨ましいです。
(だけど、かなり怖そうでした。)
もう一つ、印象的なのは、理由もなくメキシコを訪れたことを訝しがられた村上さんが、どうしてメキシコに行こうとしたのかを考えるところです。
それを理由(リーズン)と名づけることもできる。しかしそれでもやはり、我々は根本的には偶然性によって支配されているし、我々がその領域の輪郭を超えることができないという基本的事実には変わりない。学校の先生がどれだけ倫理的で整合的な説明を持ち出してこようとも、理由というものは、元々かたちのないものに対していわば無理やりにこしらえあげた一時的な枠組にすぎないのだ。そんな、言葉にできる何かにどれほどの意味があるだろう。本当に意味があるのは、言葉にできないものの中に潜んでいるのではないのか。
文章を書く人なのに、言葉にできないものを信じている、という姿勢が良いなと思いました。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
『写真篇』も面白かったです。