おはようございます、ゆまコロです。
石田淳『行動科学を使ってできる人が育つ! 教える技術』を読みました。
著者は、日本の行動科学マネジメントの第一人者とのことです。
頑張れば何とかなる的な、精神論とは関係なく、行動に焦点をあてた科学的で実用的なマネジメント手法で、短期間でできない人をできる人に変えるためのエッセンスが詰まっています。
本書の中で、これは意識した方がいいなと思ったのは、「プロンプト」と「フェイディング」という行動分析学の用語です。
●教える技術41
部下や後輩に任せているか?
「プロンプト」とは、ある行動が起きやすいように補助してあげることを言います。 “クイズの答えがわからなくて困っている人に人を出す” といった言語的なものもあれば、 “逆立ちのトレーニングをしている人が、高く蹴り上げた脚をつかんで支えてあげる” というように身体的なものもあります。
一方、「フェイディング」は補助を外す作業です。
プールで使うビート板や、幼児用自転車についている補助輪もプロンプトです。
では、自転車の補助輪は何のためにあるのでしょう?ゆくゆくは、補助輪なしで乗れるようになるためです。水泳のトレーニングも、目指しているのは “ビート板を使ってかっこよく泳ぐこと” ではなく、ビート板を使わずに泳げるようになること。
しかし、いろんな会社を拝見していると、補助輪をつけたまま部下を走らせ続けている上司が非常に多いように感じます。
外部との打ち合わせに、いつまでも上司がついていっている。会議の資料づくりをゼロから部下に任せるべきなのに、常に上司が文書の構成を考え、メモ書きしたものを渡している…などなど。
たとえば、外部との打ち合わせに上司が同行しているケース。まだ部下が仕事を始めたばかりの時期であれば、プレゼンテーションなどの大事な場面で、上司がさりげなくサポートするというのはまったく問題ありません。
しかし、それはあくまでも部下が自分でプレゼンテーションできるようになるためのプロンプトですから、いつかは外さなければいけません。
新人のためのプロンプトには配慮していても、フェイディングには無頓着。
これでは、本当の意味での成長や自立が阻害されてしまいます。上司も部下も、無自覚のままプロンプトを外し忘れているケースが非常に多いので、ぜひこの機会に、あなたも点検してみてください。(p136)
本書での実践的な事柄は、一対一で教える状況よりは、勉強会など大人数に教えるときに役立つ情報が多いように思いました。(例えば時間配分や、プリントの構成例など)
人材育成の仕事にも長年関わってきて、実感していることがあります。それは、人は簡単には育たないということです。
このことをもっとも身にしみて感じているのは、おそらく子育てを経験したお母さんたちではないでしょうか?彼女たちは “今日、子どもに言ったことが明日からできるようになる” なんて、まったく思っていません。
新しいことを覚えさせるにも、生活習慣や学習能力を身につけさせるにも、何度も何度も繰り返し根気よく教える必要がありますから。経験を積み年齢を重ねてきたビジネスマンも、基本はまったく同じです。教育にはある程度の時間がかかるのです。(p44)
じゃあ具体的にどうすればいいのか?という答えをすぐに求めるよりは、目の前にいる人をできる人にするための、心構えのつもりで受け止めると、うまくいくのではないかという気がしました。
伝えたつもりがきちんと伝わっていなかったときや、教えるのって難しいな、と思ったときに読むと、次はこちらももっと工夫してみようと思えます。
最後まで読んで下さってありがとうございました。