ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

辻村美月『凍りのくじら』

おはようございます、ゆまコロです。

 

辻村美月『凍りのくじら』を読みました。

 

私は藤子・F・不二雄先生が好きなのですが、ドラえもん好きならこの本はおすすめですよ、と言われて紹介されたのがこの本です。

 

各章のタイトルがひみつ道具の名前になっていて、話に入る前からすごく驚きました。

 

それはさておき、この本の中で、なるほどなあと思ったのは、気の合う他人と、孤独についてのこんな考え方です。

 

「そんな具合なんだけど、たまに、会ってすぐに驚く程、意気投合する相手に巡り合えることがあるんだ。誰も聞いてくれないかもしれないけど、こいつなら聞いてくれるかもしれない。その僕の性質を、いい方に見抜いてくれる場合。それは大抵、自分の悩みや身の上についての話ではなくて、映画や小説の話だったり、日常に対して自分が思う感性的な話であることが多い。

 

 そういう人は、本当に生き生きと僕に話をしてくれる。今まで対等に言葉を返してくれる相手に恵まれたことがないんだろうなって、わかるんだ。孤高や孤独って、つまりはそういうことだと思う。頭がいい人間の場合、それは深刻にならざるを得ないよ。実際に対等な人間が周りにいるかどうかは問題ではなくて、いない、と彼らが自覚してしまっていることが問題なんだ。」

 

 

しかし、主人公の元彼・若尾の目的が不明で怖いです。主人公がなぜこの人を好きなのかいまいちよく分からず、(些細なところなのですが)引っかかりました。

 

タイトルのくじらの話はもっと内容に絡んでくるのかと思ったら、そこは意外とあっさりでした。

 

おすすめしてもらったのに辛口になってしまってごめんなさい。でも全体的には展開に動きがあって面白かったです。他のドラえもん好きの感想が気になりました。

 

著者が原作を担当されたドラえもんの映画はまだ見ていなのですが、見るのが楽しみです。 

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)