ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

司馬遼太郎『坂の上の雲(一)』

おはようございます、ゆまコロです。

 

司馬遼太郎坂の上の雲(一)』を読みました。

 

好きな個所はここです。

 

「真之が生まれたとき、家計が貧窮をきわめ(いまもそうだが)、父の久敬が、このあかん坊は寺ィでもやらにゃ育てられん、といったのを、十歳になった好古が「寺ィやっちゃいやぞな、おっつけウチが勉強してお豆腐ほどお金をこしらえてきてあげるぞな」といったということを真之は両親からさんざんきかされてきた。むろんそれについては真之も

 

(信兄(あに)さんのためなら命もいらん)

 

と子供心におもってきたが、そういう自分にとって重すぎる関係の兄だけに顔を見合わせることがむしょうにはずかしいのである。」

 

(か、かわいい。)

あと印象的なのは、お兄さんの好古の容姿についての記述があるところです。

 

「鼻が日本人ばなれしたほどに高かったために、松山でもこの信三郎好古のことを

「鼻信(はなしん)」

と、ひとはかげ口をいった。両眼の眼裂(きれ)が異様にながく、色白でくちびるが赤い。めずらしいほどの美男であったが、好古はなにがきらいといっても自分が美男であるということをひとにいわれるほどきらいなことはなかった。この点でもこの人物は目的主義であり、美醜は男にとってなんの意味もなさずと平素からいっており、男にとって必要なのは、「若いころにはなにをしようかということであり、老いては何をしたかということである」というこのたったひとことだけを人生の目的としていた。」

 

この2か所の記述が強烈だったので、他のストーリーについてここで語ることは割愛します。

 続きが楽しみです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)