おはようございます、ゆまコロです。
奈良美智『NARA NOTE』を読みました。
奈良美智さんの絵が好きです。
この本では、奈良さんが制作に向かう過程での苦労や、目指すところが日記形式でつづられています。
「99/08/21
それにしても、ここはなんて寒いんだろう。
ここ数年、夏はいつも日本だった。
暑い中だらだら汗を流して、立体作品を作ってた。
今、ひさしぶりのドイツの寒い夏は、あらためて僕がこの地を選んで絵を描こうとしていた頃を思い出させてくれる。
その想いは、秋から来年へと続く展覧会へのプレッシャーを、遠くへ押しやってくれる。
実際、あせって自分を失いかけてた気もする。
一体なんにあせることがある?
なにかを望む時は、それまでの自分に人々にまず感謝。
そうすれば望む事の意味のなさがわかるじゃないか?
全てを一瞬空っぽにしてみれば、それでも見えてるものが在る。
そしてそこから放たれるものが在る!」
「2000/04/16
エアランゲンから汽車に乗って4時間半。
部屋の電気をつければ「YOUNG MOTHER」も「DAISY」も、ちゃんと待っていた。
一時帰国まであと5日。それまでに何か描きたいものがある。
それが何だかわからないが、ここ数日の気持ちの整理なのだろう。
僕の描くものたちは、ときどき反抗的だが、負けることを恐れてはいない。
そして、勝とうとも思っていない。
そもそも勝負とかゲームとか、そんな次元ではないのだ。
小学校の教室に掲げられていた校訓。
「明るく 素直に たくましく」
何故か思い出している。何故だろう。」
奈良さんの絵の前に立つと、絵の中の人物は寂しい雰囲気を漂わせながらも、見ている人には親しげに話しかけてくるような、不思議な感じがします。
こういう現場から生まれてくるのか、と考えると、また美術館で奈良さんの作品に出合うのが楽しみになるような本です。
最後まで読んで下さってありがとうございました。