おはようございます、ゆまコロです。
印象的だったのは以下の2ヶ所です。
「「あたしの田舎、知ってる?」
「北の方だって言ってたよな」
「母は産婆さんだったの」
「え?」
「赤ちゃんをとりあげる人よ、父は弁護士だったけど、田舎ってそういう夫婦もいるのよ、それで、父は忙しかったから、あたしは母に連れられてよく出産する女の人の家に行ったの、でも見せてくれないのよ、赤ちゃんが生まれるところをね、見せてくれないの、でもよくあたし隠れて見てたわ、どうして見ちゃいけないの?ってよくあたし聞いたわ、すると母は古い人だったから、汚らわしいことをするとこうやって赤ん坊が生まれんだみたいな意味のことを言ったのね、出産する女の人はとても苦しそうだったし、ものすごい声を出してたし、何か罰を受けてるように思えたのよ、だからあたしはセックスしちゃいけないんだって、ずっと思ってたし、今も思ってるの」
オレはどうなんだ?と私が聞くと、彼女は黙ってビルマ産の魚を指差した。」
もうひとつはこの会話です。
「「ところで、ああいう素敵な女をどこで見つけるんだ?」
「一般論で言うと、彼女のようなタイプはどんどん増えてる、性格が良くて、頭もよくて、きれいで、コンプレックスもない女は、本能的にいい男を捜そうとする、だが、父権が崩壊し、あらゆる情報が乱れている今では魅力的なオスが少ないという真実が丸見えだ、しかも彼女達は非妥協的で、経済的に自立しているんだ、結婚なんてアホらしいと思ってるのさ、要するに、知ってるわけだ、幸福をもたらしてくれるのは制度的な安定ではない、刺激的で、官能的な、良い出来事だけが、つまりいい時間をすごすことが幸福につながるわけだ、そういう女はいっぱいいる、捜す必要はない、ただ出会えばいいんだ」
「どうも嘘臭いな」
「実は嘘だ」
Gがそう言って、私達は笑った。」
この会話、丸っと嘘なんでしょうか?村上龍の本は、フィクションでも、ここに書かれていることは実は本当なんじゃないか、と疑ってしまうことがあります。
句点が多いからでしょうか、ほんとの会話をテープ起こししたのを読んでるみたいだな、と思いました。
「料理」と本のタイトルにはあるのに、あまり食欲を刺激しないような気もします。
面白かったです。
最後まで読んで下さってありがとうございました。