ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

村上春樹『蛍・納屋を焼く・その他の短編』

おはようございます、ゆまコロです。

 

村上春樹『蛍・納屋を焼く・その他の短編』を読みました。

同じ作者の短編なのに、話によってこんなに「これは好き」「これは好きではない」という好みが分かれるものだろうか、と思いながら読みました。

 

ざっくり感想を述べます。

 

  • 「蛍」

 =友だちの彼女と寝た後に、彼女が失踪してしまう話です。こう書くと敬遠したくなりそうなのですが、結構好きな話です。この科白が特に好きです。

 

 

「ほら、ぴょんぴょん跳ぶやつがあるだろうよ」

「そんなのないよ」

 

 

村上作品の中の科白にしては、いつもとテンポが違うような…。

でも嫌いではないです。

 

  • 「踊る小人」

 =面白いと読んでいたのもつかの間、途中から舞城王太郎さんの本みたいな展開になり、怖かったです。

 

  • 「納屋を焼く」

 =なぜかあんまり好きな感じがせず、どうしてだろう?と考えたら、大麻を吸う描写が苦手な気がしました。村上作品ではちょっと意外なツールであるように感じます。

 

  • 「冬の博物館としてのポルノグラフィー」

 =この話で、「これは好きじゃない」感が強く出てしまいました。夢の話?と思わせるようなストーリーに、読んでいるうちに少し自分の気持ちが離れていく気がしました。

 

  • 「めくらやなぎと眠る女」

 =この話に出てくる「僕」といとこの関係は、そこだけ空気が違っている感じがして、ちょっと良いです。

 

自分の中での好みが分かれたために、この著者のどういうところが好きなのだろうか?ということを考えるきっかけになった本です。

 

人生において自力では回避できない悲しみや苦しみに直面したとき、

・どうやって平静を保つか、

・自分を見失わないためにはどうしたらいいか、

 ということを真剣に考えている人の姿を、村上作品ではよく見かけます。

 

そういう非常時におけるヒントみたいなものを求めていた気がします。

 

長編とはまた違った味わいです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)