ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ジョン・クリストファー『トリポッド ②脱出』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ジョン・クリストファー、中原尚哉(訳)『トリポッド ②脱出』を読みました。

 

1巻から100年ほど経った世界で、地球が侵略者であるトリポッドに征服されたあとの物語です。

物語では人々はある年齢まで成長すると、キャップと呼ばれる帽子を被せられ、トリポッドの支配を受けるようになります。

 

主人公ウィル・パーカーは、キャップによる洗脳が上手くいかず、精神に異常をきたした者(作中でははぐれ者と呼ばれている)を装って、反抗する意思のある若者を探している男オジマンディアスと出会ったことをきっかけに、トリポッドの支配から逃れる道を探します。

 

1巻の主人公と比べると、時折その気持ちに同調できないところもある主人公なのですが、語り口は時々ドキッとするものがあります。

 

 

 来年戴帽式(=キャップを被せられること。ゆまコロ注)を迎えるぼくが、こんなふうにはぐれ者に興味をもつのは、悪い兆候に見えるのだろう。そんなのばかばかしい。でも、他人のやることをいちいち愚行だと怒る人間は、自分自身が愚行を犯しやすいものなのだ。

 

 

ほんとに13歳?達観した突き放しです。

こんな言葉もあります。

 

 

ワートンでは、子どもと大人の境界はもっとはっきりしていた。大人はみんな他人だった。両親でもそうだ。そんな大人たちを、ぼくは尊敬し、恐れ、愛しさえした。でも、この城の人々とほど親しくはなれなかった。

 

 

良い悪いはともかく、ウィルは自分と他者との間に、自分の方から距離を置くことから対人関係をスタートさせそうな感じを受けます。

 

侵略者に反抗する仲間を見つけ、次巻ではいよいよトリポッドが何者なのかに迫ります。

1巻の主人公のままだったらな…と思わなくもないのですが、楽しみです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

トリポッド〈2〉脱出 (ハヤカワ文庫SF)

トリポッド〈2〉脱出 (ハヤカワ文庫SF)