ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ジョルジュ・サンド『愛の妖精』

おはようございます。ゆまコロです。


ジョルジュ・サンド、宮崎峯雄(訳)『愛の妖精』を読みました。

読んでいて盛り上がったので、落ち着くべく整理して書きます。

とても仲の良い双子の兄弟が、あまり仲が良すぎるので、心配した家族が弟(ランドリー)を奉公に出します。


兄(シルヴィネ)は弟がいなくなり、周りが心配になるほど落胆するのですが、ある日ショックが高じてか行方不明になってしまいます。それを知ったランドリーは、兄が自殺するのでは、と不安になり探し回りますが、その時兄を見つけてくれたのは、口が悪くおしゃべりで、村の子供たちから敬遠されている少女でした。

村からつまはじきにされていた少女・ファデットでしたが、ランドリーは、実は彼女は物知りで、踊りがうまく、根は優しいことを知って、以来二人は仲良くなります。ファデットも、それまで気にもしなかった自分の身なりを気にしたり、優しい気持ちを素直に外に出すようになったりと、変化が現れます。

兄シルヴィネは二人が仲良くなるのを見て、いてもたってもいられなくなり、悲しみに暮れます。また兄弟の父親も、みんなから除け者にされていたファデットをよく思ってはいませんでした。そんな兄弟とその両親を見て、ファデットはついに…。

 

ちょっと意外な展開でした。
そしてその後の展開の中で交わされる、シルヴィネとランドリーの両親の会話が好きです。

「「ファデットはあんなに心のやさしい娘でしょう。いっしょうけんめいにシルヴィネの病気をなおしてやったので、シルヴィネはファデットが好きになってしまったんですよ。でも、ファデットは弟のお嫁さんですからね、あまり好きになっては悪いと思って、シルヴィネは村をでていったのですよ。ファデットもシルヴィネの親切な思いやりがわかったので、村をでていくことに賛成したのでしょうよ。ファデットはわたしたちにはなにもいいませんけれどね…。わたしはなんといったって母親ですからね、そのくらいのことはわかりましたよ…。」


「そうか…。すると、シルヴィネは、一生、嫁さんをもらわんかもしれんぞ。」


と、バルボウは、耳のうしろをかきながらいいました。


「そう、いつか、まじない屋の“ふろ屋のおばさん”が、いったじゃないか。シルヴィネがきれいな心の女の人を好きになったら、弟のことを忘れることができるだろうと…。そして、一生、その人を好きになっているだろうとな。シルヴィネはなんといっても、心のやさしいやつだからなあ。」」

 

この話、漫画で読みたいですね。

とても面白かったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

愛の妖精 (岩波文庫)

愛の妖精 (岩波文庫)