ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

トーベ・ヤンソン『たのしいムーミン一家』

おはようございます、ゆまコロです。

 

トーベ・ヤンソン『たのしいムーミン一家』を読みました。

 

ムーミンシリーズの3作目です。

物語の冒頭で、スナフキンも冬眠しているのが、ちょっと以外な感じがしました。

 

「ニョロニョロたちは、どうにかして気圧計をとりかえそうと、ヘムレンさんの上によじのぼって、みんなで気圧計にしがみついていました。もののこげるようなにおいは、いまでは、とてもひどくなっていました。

 スニフは目をさまして、しくしく泣きはじめました。そのとたんに、つんざくようなさけび声があがりました。一ぴきのニョロニョロが、ヘムレンさんの鼻をふみつけたのです。

 たちまちみんなが目をさまして、飛び起きました。大さわぎになりました。ニョロニョロはふみつぶされるし、スニフは感電しました。ヘムレンさんは恐怖のさけびをあげて飛びだしましたが、たちまち帆づなに足をひっかけてしまったので、小屋がドスンとみんなの上にたおれました。いやはや、まったくおそろしいさわぎでした。

 あとでスニフのいったところによると、みんなが帆布の下からはいだすには、少なくとも一時間はかかったそうです。たぶん、いくらかおおげさすぎるかもしれませんけど。

 しかし、みんながどうやら顔をそろえるまえに、ニョロニョロたちは気圧計をとって、林の中にすがたを消していたのです。それでも、あとを追いかけようというものは、ただのひとりもありませんでした。

 ヘムレンさんは、みじめにうめいて、鼻を砂の中につっこんでいました。

「これじゃあ、あんまりだ。どうして家もないまずしい植物学者が、しずかに平和な一生を送ることができないんだろ。」

こういって、ヘムレンさんはなげきました。

「生きるってことは、平和なものじゃないんですよ。」

と、スナフキンは、満足そうにいいました。」p121

 

そう言われてみると、ムーミン達の周りには、割とアンラッキーな出来事が起こります。

災害に見舞われたり(洪水や、隕石の落下)、欲しいものが手に入らなかったり(2作目でスニフがルビーを取って帰れなかったことなど)…。

 

本作に登場する "飛行おに" も、スナフキンによって語られる時は、結構不吉な印象があります。

(結末はちょっと違いますが。)

 

スナフキンが旅立ったあと、みんなから心配されるほど落ち込むムーミントロールが可愛いかったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

 

たのしいムーミン一家 復刻版

たのしいムーミン一家 復刻版