ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

NHKスペシャル取材班『日本海軍400時間の証言 ―軍令部・参謀たちが語った敗戦―』

おはようございます、ゆまコロです。

 

NHKスペシャル取材班『日本海軍400時間の証言 ―軍令部・参謀たちが語った敗戦―』を読みました。

 

第二次世界大戦当時、海軍の官僚だった人が、平成元年に行われた反省会にて、「日本を戦争に持っていったことに対して、自分が悪かった、反省しなければならない」と公言していて、その姿勢が潔いなと思いました。

 

人間魚雷と呼ばれる「回天」の説明に、愕然とします。

 

 回天は四基から六基、潜水艦に搭載されて港を発進する。敵艦を発見すると潜水艦艦長から「回天戦用意」の命令が下される。潜水艦と回天の間は、専用の通路で結ばれており、搭乗員は通路のはしごを駆け上がってハッチを開けて乗り込む。整備担当の兵士が回天のハッチをしめたら、二度とそれが開かれることはない。電話だけが、潜水艦の仲間との間をつなぐ通信手段だが、潜水艦から出撃すると同時に電話の回線も引きちぎられる。

 

 そこから、敵艦までおよそ三十分間の一人旅が始まる。

 

 敵艦に間違いなく体当たりするには、出撃当初に示された敵艦の位置や角度、自らの速度などから類推して方向を定めるしかない。潜望鏡は取り付けられているが、長さが1.25メートルしかないため、水面近くに浮上する必要がある。このため、潜望鏡を上げるのは敵艦からの探知を招く危険行為とされていた。頼りとなるのは唯一、ストップウォッチのような時計のみ。回天に乗り込んだ兵士は、「あと何分何秒で敵艦に当たるはずだ」と自らの計算を信じて操作を行う。

 

 兵士がじっと見つめる時計の針は、自身の命の残り時間をも示しているのである。

 

 軍令部が開発した兵器「回天」とは、そういう兵器であった。 

 

もう一つ、日本海軍が航空基地を作るために上陸した中国南部の島・三灶島(さんそうとう)での、住民の証言が痛ましく、読んでいてなかなか先に進めませんでした。

この記述については、scopedog 様のブログについて詳しく書かれていますので、ここでは割愛します。

 

scopedog.hatenablog.com

 

今の時代をもたらしてくれた人たちに感謝するとともに、平和な毎日が続くことを願うばかりです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。