ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ジュンパ・ラヒリ小川高義(訳)『停電の夜に』を読みました。

 

作者は、カルカッタ出身のベンガル人の両親のもと、ロンドンで生まれ、幼少時に渡米したそうです。

 

どれも魅力的なシチュエーションと、少し切ない結末が個性的な短編集です。

 

この本の中で気に入ったのは「三度目で最後の大陸(The Third And Final Continent)」と、「ピルザダさんが食事に来たころ(When Mr.Pirzada Came to Dine)」の二つです。

 

その他、自分のことをセクシーだと言ってくれるのは不倫相手のデヴだけだと思っていた女性ミランダが、友人のいとこの息子を預かった時に思わぬセリフをもらう話も良いです。

 

「ジッパーあげてくれない?」

彼女はベッドに腰かけた。

 

ロヒンがきっちり上まであげると、ミランダは立ち上がってくるりと回った。ロヒンが本を下においた。

 

「セクシーだ」と言ってのける。

 

「何ですって?」

 

「セクシーだ」

ミランダはまた腰をおろした。どうという意味があるわけないと思いながら、一瞬心臓が止まるようだった。

(「Sexy」) 

 

この後、ミランダとデヴとの関係が薄れていくのも良いです。

 

原題は「病気の通訳(Interpreter of Maladies)」というらしいのですが、そのタイトルも素敵だなと思いました。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

停電の夜に (新潮文庫)

停電の夜に (新潮文庫)