おはようございます、ゆまコロです。
リュドミラ・ウリツカヤ、沼野恭子(訳)『ソーネチカ』を読みました。
本の虫である主人公ソーネチカが家庭を築くお話です。
ロシアの寒い図書館で、将来の夫になるロベルトに出会う辺りの、ちょっと夢見がちな日常の描写が好きです。
母乳はたっぷり楽に出るので、乳首を軽く突つかれて思わず身震いしても、歯の生えていない歯茎で軽くかまれても、授乳はソーネチカに快楽をもたらしてくれた。夜明け前の早い時間にかならず目をさます夫も、そのことをどういうわけか感じとっているらしく、ソーネチカの広い背中を抱き、焼きもちをやいているみたいに自分のほうに引き寄せるので、ソーネチカは、どうにかなってしまいそうなほどの幸せを二重に抱えて気が遠くなりそうになる。こうして、朝の光がさしこむころにはソーネチカはほほえみ、みずからの肉体で、自分とは切り離せない大切なふたりの飢えを、黙々と、喜んで、癒してやっているのだった。
幸せそうな様子が伝わってきます。
しかしその後、ポーランド出身の美しい女性が家に出入りするようになり、ソーネチカの生活も変化してきます。
なぜ、ソーネチカは夫を奪ったヤーシャに対して腹を立てないのか、読んでいてとても不思議でした。
あるいは、再びロベルトに絵筆を持たせるきっかけになり、芸術家としての命を与えて輝かせたヤーシャのことも愛していたのかもしれません。
そこがソーネチカの魅力のようにも思いました。
最後まで読んで下さってありがとうございました。