ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

森村誠一『新版 悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像』

おはようございます、ゆまコロです。

 

森村誠一『新版 悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像』を読みました。

 

印象的だったのは、次の2ヶ所です。

 

「「今にして思えば、あのロシア人のいっていたことは、自由を奪われた人間の心からの叫びだった……しかし当時の私には彼の怒りが理解できなかった。マルタ(※捕虜のこと)はそもそも人間ではなかったし、いわんやマルタごときになめられてたまるか、暴動を起こされてたまるかという気持ちだった……だが死の訪れる最後まで銃口の前で胸を張り、足を踏み鳴らして抗議していたその態度は、一種強烈な印象をわれわれに与えたものだ……われわれは弾丸で彼の口を封じたが、自由を束縛された素手の彼にまぎれもなく圧倒されていた。あのとき、正義がわれわれにはないことを、皆が暗黙裡に悟っていた。あのときの光景を思い出すと、今でも夜眠れなくなる」」

 

「この美しい惑星に生まれ合わせた私たちは、なぜ戦争をして殺し合わねばならないのか。戦争のルールが守られようと守られまいと、戦争は人類の英知を否定するものである。

 

 戦争は畢竟、偏狭で独善的な民族主義から発する。自分の国と民族さえ居心地よく暮らせれば他の国などどうなってもいいという発想である。」

 

読み始めて20ページ目くらいで、早くも読もうと思ったことを後悔していました。

日本人として、いたたまれない気持ちになりますが、加害の記録が残っているというのは大事なことだと思いました。

飽食のタイトル通り、実際に第七三一部隊が戦時下で豊かな食生活と快適な住環境の恩恵を受けていたことが興味深かったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

新版 悪魔の飽食―日本細菌戦部隊の恐怖の実像! (角川文庫)