おはようございます、ゆまコロです。
ポール・オースター、柴田元幸(訳)『幽霊たち』を読みました。
現実味のある夢を見ているような感じがするのだけど、時々、感激するほど優しいのが、オースターの文章の好きなところです。
ブルーがブラックの部屋から持ち帰った紙束が、自分の書いた報告書だった、と知る場面が怖いです。
ちょっと藤子・F・不二雄先生の短編みたいな感じがします。
「かりに少年がゴールドの息子だったというなら、話はわかる。復讐、ということに尽きるわけであり、それなら誰にも合点がいく。だが少年はゴールドにとって赤の他人だったのだ。そこに個人的な要素はいっさい入っていないし、隠れた動機なども何ひとつなさそうだ。この点がブルーの胸を強く打つ。つまりゴールドは、子供を殺した犯人が罰せられずに済んでしまうような世界を認めたくないのだ。たとえ犯人自身はすでに死んでいるとしても同じことである。その不正をただすためなら、ゴールドは自分の人生、自分の幸福を犠牲にしてもいいと思っているのだ。」
登場人物の名前が色の名前なのも、無機質な感じがしてなんだか不安な気分になりました。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
- 作者: ポール・オースター,Paul Auster,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/03/01
- メディア: 文庫
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