おはようございます、ゆまコロです。
先日ルドルフの話をしたので、どうせなら遡ってみます。
斉藤洋『ルドルフ ともだち ひとりだち 続:ルドルフとイッパイアッテナ』を読みました。
この2巻での事件はやはり、ルドルフが岐阜に帰るところでしょう。
私は帰りの道中のルドルフが、見ず知らずの親子にごはんをもらうシーンが好きです。
「あっというまに食べ終わると、待っていたように小さな女の子は、しゃがんで、ぼくの頭をなではじめた。もらう物だけもらって、はい、さようなら、というわけにはいかない。耳なんかをちょっと引っぱられるくらいはかくごしていたが、女の子は、そういうらんぼうなことはしなかった。
「ヨーコちゃんがのこしたのを、ねこちゃんに食べてもらって、すてずにすんで、よかったね。」
「うん。ねこちゃんに食べてもらって、よかった。」
なんという、おくゆかしい親子だろうか。おなかのすいたねこに食べ物をくれて、しかも、「食べてもらってよかった。」っていっている。なまはんかな教養では、こういうふうにはいえない。ぼくは感心してしまった。」
そして念願のおうちにやっと帰れたのに、他のねこがすでに自分がいたポジションにいる、ということを知り、家を飛び出してまた東京に帰るというのが、とても切ない。
「もっとおちついた気分だったら、東海道をゆっくり旅行してきたのだけど、あのときはショックが大きかったから、とてもそんな気分にはなれなかった。
それから、べつにぼくは、リエちゃんのことをうらんではいない。それどころか、一年も待っていてくれたことに、感謝している。もっとはやく帰れたのに、そうしなかったぼくがわるいのだ。
それに、ぼくのかわりに飼われている、もうひとりのルドルフは、ぼくの弟だから、ぼくの分身が岐阜にいるようなものだ。
出かけた三日後の朝はやく、ぼくがもどってきたものだから、ブッチーは、とってもびっくりした。
「それにしても、ちょっとはやすぎるな。」
そういったのは、イッパイアッテナだった。イッパイアッテナは、リエちゃんが、もう、べつのねこを飼っているんじゃないか、それで、ぼくがまた東京にもどってくるんじゃないかって思っていたんだって。だから、ブッチーが、もう、一生、あえないかもしれないって、泣きそうになったとき、イッパイアッテナは、ぼくにもう一度あえるような気がするなんていったんだ。」
ルドルフはリエちゃんを恨んでも不思議はないと思うのだけど、いつも自分本位でない考え方をするのが偉いなあ、と随所で思いました。
最後まで読んで下さってありがとうございました。