おはようございます、ゆまコロです。
天野貴元『オール・イン 実録・奨励会三段リーグ』を読みました。
この本を読むと、棋士として生計を立てることがいかに難しく、またそこに至るまでの道筋が過酷であるかが垣間見えます。
筆者はプロ棋士を目指す途中で、舌がんを発症します。言葉を失うまでの記録も、読んでいて辛かったです。
「電車のなかでは行きも帰りも詰将棋。疲れ果てたまま詰将棋をしているうちに寝てしまい、気づいたら中央線の終着駅である山梨県の大月駅だったこともあった。
奨励会員は、友人であり、仲間であると同時にプロ入りを争うライバルでもある。どんなに親しくても、いざとなれば蹴落とさなければならない敵となるわけで、ある意味不思議な関係とも言える。
奨励会時代を振り返ってみて、僕はライバルに対して「負ければいいのに」と思ったことは一度もない。それは、仲間と直接プロ入りを争った三段リーグ時代でも同様だ。
これは何かを自慢しているわけではなくて、それまでそう思う必要がなかったのだ。それほど僕は、ある時期まで自分の才能に対する自惚れが強かった。また、他人が負けるのを期待しているようでは、そもそも将棋界のトップに立つことなど、とてもできないとも思っていた。
「強ければ、自ずと結果は出る」
それが僕の考えでもあり、プライドでもあった。」
生き方を貫くことの厳しさ、考え方に衝撃を受けました。将棋のルールを知らなくても、共鳴できるところがあると思います。
良かったです。
最後まで読んで下さってありがとうございました。