こんにちは、ゆまコロです。
樺沢紫苑『精神科医が教えるムダにならない勉強法』を読みました。
著者のいう、ムダにならない勉強法とは、「アウトプットする」勉強のことです。
(前略)人間は「嫌い」なこと、「辛い」ことをやらされると、副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールは海馬の最大の敵です。海馬というのは、記憶された情報が定着するまで、記憶が仮保管される場所です。「記憶」そのものに関わっている重要な部位ですが、コルチゾールが分泌されると、その海馬の働きが低下してしまいます。
さらに、重度のストレスが長期間続くと、海馬で新しい神経細胞が作られなくなり、海馬の細胞自体が破壊されます。
つまり、ストレスがかかると記憶力は悪くなるのです。「楽しい」はアクセル、「辛い」はブレーキと言い換えることができるでしょう。
楽しみながら勉強をすれば、ドーパミンが分泌され、脳は集中力、記憶力を高め、「学習」に対してアクセルを踏みます。イヤイヤ勉強すれば、ストレスホルモンが分泌され、海馬の働きは低下し、記憶力が低くなる。脳にブレーキをかけるのです。(p62)
ここを読んで私が思い出したのが、辛かった前職での思い出でした。入社して1年ほど経っても仕事のやり方や、それぞれの業務の優先順位が分からず、先輩に怒られることも日常茶飯事でした。
「前も言ったのに、ゆまコロさんはどうして忘れちゃうの?」
何度言われたか分かりません。
自分って、こんなに頭が悪かったんだ、と落ち込むほど仕事が覚えられません。また同じ業務が発生することは明らかなのに、説明されてもちっとも頭に入ってきませんでした。
しかし、実際にはミスが多すぎて、夜寝る時もそのことを思い出してクヨクヨし、もう早く忘れようと思いながら毎晩就寝していました。
今考えると、海馬の細胞を破壊し続けながら働いてたんだな、と思います。笑
筆者は、「楽しい」だけで脳は活性化するといい、脳を喜ばせる勉強の方法として、以下の四つを挙げています。
・知らないこと3割の参考書を選ぶ「ちょい難勉強法」
・継続することでドーパミンを出やすくする「コツコツ勉強法」
・記録するだけ「レコーディング勉強法」
・仕事の勉強を楽しく感じる「お山の大将勉強法」
その中で、私がいいなと思ったのは、レコーディング勉強法です。
脳は「ご褒美」を喜びます。「ご褒美」といっても、何か高価なものをプレゼントする必要はなく、小さな成果、すなわち「プチ成果」が脳にとって、十分な「ご褒美」となるのです。そのために、「記録」は欠かせません。
例えば、毎日英会話のヒアリングをしている人は、1日のヒアリング時間を記録してください。「1日60分のヒアリング」を目標にしているところ、今日は80分できたのなら、「やったー!今日は80分もヒアリングできたという喜びが、脳の「報酬」となってドーパミンが出ます。
「今日は問題集を何ページ解いたか」を記録するのもいいでしょう。「勉強時間」を記録するのもいいでしょう。とにかく自分が取り組んでいることを数値化して記録すればいいのです。(中略)
これが、脳への「ご褒美」です。こうした「数値の変化」「微細な成果」「ちょっとした結果」でも、脳は「ご褒美」ととらえて、ドーパミンを分泌します。結果として、モチベーションが補充されるのです。(p82)
全然この記述とは関係ありませんが、一時期、レコーディングダイエットをやっていました。
結果的には大して痩せませんでしたが、数年前の記録を見ると、当時の献立が書かれていて、今も結構重宝してます。
「守破離」は、茶人・千利休の歌「規矩作法 守りつくして破るとも離るるとても本を忘るな」をもとにしているといわれます。茶道、武道、伝統芸能などの世界で、師弟関係、学びの姿勢を示す言葉、物事を極めるための重要な方法論として知られます。
私はさまざまな勉強法を研究してきましたが、学問もビジネスもスポーツも遊びも、この「守破離」以上に「学び」をムダなく効率良く取得する方法はない、という結論に達しました。
千利休が生きた戦国時代から約400年がたちますから、「守破離」は400年もの「時の試練」を生き抜いた勉強法ともいえるわけです。
守破離を簡単に説明すると、次のようになります。
「守」は、師についてその流儀を習い、その流儀を守って励むこと。
「破」は、師の流儀を極めた後に他流を研究すること。
「離」は、自己の研究を集大成し、独自の境地を開いて一流派を編み出すこと。
つまり、基本をそのままそっくり、徹底的に真似る「守」のステージ(初級)。
他の人や他の流派のやり方を研究し、さらに成長していく「破」のステージ(中級)。
そして、自分流のスタイルを探求し、ブレイクスルーする「離」のステージ(上級)と言い換えられます。
まずは基本を徹底的に真似て、しっかりと習得する。次に基本を踏まえたうえで、他の方法やいろいろなパターンを試してみる。最後に「自分流」を確立する。
これが、「守破離勉強法」です。(p106)
恥ずかしながら、無知な私は守破離という言葉自体を知りませんでした。勉強になります。
「朱に交われば赤くなる」といいますが、それは脳科学的には全く正しい。
自分が誰とつき合い、誰と時間を過ごすのか。それによって、どれだけ成長できるのかが決まります。つき合う人を間違ったり、ぬるま湯のような環境にいたりすると、どんなに頑張っても「自己成長」にはつながらないのです。
ミラーニューロンの凄い働き
なぜ、人と一緒にいるだけで、その人の影響を大きく受けてしまうのでしょうか?そこに脳科学的根拠は、あるのでしょうか?
この本を読んでいるあなたは、日本語を流暢に話せると思いますが、では日本語を必死になって勉強した記憶がありますか?おそらくないと思います。物心ついた頃には、日本語を当たり前に話していたはずです。よく考えると、不思議なことですね。必死になって勉強したわけでもないのに、語学を丸ごと1つ習得できているのですから。
赤ちゃんは、親の言葉を聞き、親の一挙手一投足を見て、それを真似ていきます。何か努力している様子もない。頭に鉢巻を巻いて必死に頑張っている様子もない。まさに、スポンジが水を吸収するように、何の苦労もなく、自分が見るもの全てを、自分の脳の中に吸収しているのです。(中略)
それは、「ミラーニューロン」が働いているからです。脳には、人の動きを真似る神経細胞が存在しており、それは「ミラーニューロン」と呼ばれます。
このミラーニューロンは、見たもの全てを真似する傾向があります。赤ちゃんの脳は未成熟で急成長しているため、ミラーニューロンが活発で、見るもの全てをスポンジが水を吸収するように自分のものにすることができます。赤ちゃんほどではないにしても、成人して大人になっても、ミラーニューロンは常に活動しています。
私たちは、見るもの全てを真似してしまう傾向がある。このミラーニューロンの特性を理解すると、何の努力もせずに、全自動で楽に勉強することができるのです。
(p132)
私が本書で一番気になった個所です。
90代の祖父が先日、2年前に亡くなった祖母がよく言っていた科白と同じことを口にしていて、なんだか夫婦って似るんだなと感じたことを思いだしました。
そして肝心のアウトプットについてです。
インプットの中身、「情報」と「知識」のバランスに注意しましょう。では、その割合は、どのくらいがベストなのでしょうか。私の経験でいうと、2対8くらいでしょう。そのくらいの情報があれば十分です。
「今」が旬な新聞、雑誌、ネットで得られるインプットは、大半が「情報」です。本から得られるインプットは、大部分が「知識」です。つまり、ザックリいうと、「ネット」と「読書」の割合は、2対8がいいということでもあります。多くの人は、ネット8割、読書2割。あるいは、もっとネットの割合が多いかもしれません。
今の「ネット」と「読書」の時間配分を逆転させて、「知識」を増やさないと、インプットをしても、その情報も時間もムダになると思います。
情報は集めすぎない。「今」必要な情報を、必要に応じて集めるのがムダにならない情報収集のコツです。(p188)
「一生、今のままでいいの?」と聞かれれば、NOと言いたいのに、電車ではスマホを見ている自分を思い浮かべました。
本書で紹介されている、日本人の平均年間読書本数は12、13冊というデータにも、あれっと思いましたが、もうちょっと自分のインプットの質について考えたくなりました。
そして最後に、これ学生の時にやればよかったなーと思ったのがこれ。
究極の自己テスト~「丸ごと再生勉強法」
教科書から重要事項をまとめた「まとめノート」を作っている人は多いと思います。
私のとっておきの勉強法は、「丸ごと再生勉強法」です。
つまり、「まとめノート」を1ページ丸ごと、何も見ずに、そのまま思い出しながら、まっさらの紙に書いていくのです。
これはかなり難易度が高く、自分が覚えていない部分が歴然とわかります。何も見ないで、手がかりもなしに再生するのですから、書けた部分に関しては、完全に記憶されているわけです。書けなかった部分は、記憶されていないということで、その部分を重点的に再記憶していきます。
「丸ごと再生勉強法」は、なかなか大変な勉強法ですが、「まとめノート」をパーフェクトに再生できるようになっていれば、試験で高得点をとれることは間違いありません。
(p200)
こんなに読書しないでいいのかな、と不安に思う人や、試験を控えていて自分の勉強法を変えたいと思っている人には、なにかヒントがあると思います。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
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