おはようございます、ゆまコロです。
ヤニス・バルファキス、関美和(訳)『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を読みました。
著者であるギリシャの元財務大臣が10代の娘に伝えたかったのは、端的にいうと以下のことだと感じました。
・世の中はお金持ちが更にお金持ちになるために作られている。
・そうならないためにも自分たちで考えて行動することが大事。
著者は2008年の金融危機に憤りを感じながらも、人間らしい心と常識を取り戻すのに、経済危機という犠牲が必要だったことを「需要と売上と価格の悪循環」という項目で説明しています。
しかしそんなおかしな犠牲を払わなくても、機械を賢く使って、機械の労働がすべての人に恩恵をもたらすような大転換があればいい、とも述べています。
すべての人に恩恵をもたらすような機械の使い方について、ひとつアイデアを挙げてみよう。
簡単に言うと、企業が所有する機械の一部を、すべての人で共有し、その恩恵も共有するというやり方だ。たとえば機械が生み出す利益の一定割合を共通のファンドに入れて、すべての人に等しく分配してはどうだろう?それが人類の歴史をどんな方向に変えていくか、考えてみてほしい。
いまのところ、自動化の増加によって全体の収入の中で労働者に向かう割合は減り、ますます多くの富が機械を所有するひと握りの人たちのポケットに入るようになっている。ここまでに説明したように、富の集中が極まると、大多数の人たちは使えるおカネが減り、ものが売れなくなる。
(p166)
利益を共通のファンドに入れて、等しく分配する、そんなことが取り入れられたらいいなとは思いますが、そんな姿がなかなか具体的にはイメージできませんでした。
映画や神話の話がふんだんに例に出てきて、それらに触れたことがある人は分かりやすいだろうけど、かえってとっつきにくくなる人もいるだろうな、という印象です。
オイディプス王とファウストの話は面白かったけど、ブレードランナーやマトリックスの話になるとよく分からなくなったので、親しみやすい、親しみにくいの差は人それぞれだと思います。
最後まで読んで下さってありがとうございました。