おはようございます、ゆまコロです。
吉田太一『遺品整理屋は見た!!天国へのお引越しのお手伝い』を読みました。
このご老人とは会話のキャッチボールがうまくできそうにありません。話は長くなりそうです。私は覚悟を決めました。しばらくの間、かみ合わないながらも会話をした後、私から切り出しました。
「お父さん、こんど無料で相談に乗りに行きますから。いつだったらいいですか?」
「来るんか?いや来んでもええよ、大体わかったから」
「そうですか?でもいつでも相談には乗りますので電話してくださいね」
私がそう答えると、ご老人がしみじみと「あんたはええ人やなぁ」とおっしゃってくださいました。
そんなことはないですよ、これも仕事ですからと返すと、ご老人がふと、何かいわくありげな口調になってこんなことを話し始めたのです。
「いや、実はな…。最近、ワシの知り合いが死んで十日目に見つかってな」
「ああ、それはお気の毒でしたね」
「そのときに死体を見つけたのがワシでなあ、いまでもその光景が忘れられんのや」
「…それは、見たくなかったでしょうね」
「夢にまで出てきよる。お化けが怖いんじゃなくて、孤立死をするのが怖いんじゃよ」
「そうおっしゃいますけど、お父さん、私だって誰だって孤立死する可能性はあるんですよ。一生、二十四時間誰かと一緒におる人はいませんからね、あんまり考えないほうがいいですよ」
「あんたは、そう言うけどな…」
「だったらええこと教えましょう。近所に公園はありますか?あったら、毎日公園に行ってください。特に朝がいいですよ」
「公園かいな」
「できれば二カ月以上は頑張って行ってください。毎日来ているお友だちができるまで」
「なんでや?」
「毎日来ている人が来なくなったら、友だちが心配してくれるでしょ!いまは携帯電話を持っている人も多いから心配して電話くれるかもしれないじゃないですか?」
「なるほどなあ…。しかし友だちなんてそんな簡単にできるかな」
「まずは始めることですよ。そうじゃないと本当に孤立死してしまいますよ!」
「わかった、また電話してもいいか?」
「どうぞ!」
(p67)
筆者は「孤立死を避けるための心がけとしていちばん大事なのは「積極的に生きること」ではないかと思う(p256)」と書いていますが、これは覚えておこうと思った会話です。
そして、自分の体が思うように動かせなくなったとき、自分はどんな暮らしをしているだろうか?と考えると、どうにも不安になってきます。
老人施設問題の解決策として、定員割れしている学校の一部を老人施設に改築するというアイデアはどうだろうかと私は考えています。元気なお年寄りに入居してもらい、学校教育の一環として学校を子供たちとのふれあいの場として活用するのです。こうすれば学校の建物の有効利用や経費老人ホームの不足の解消にもなるでしょう。高齢者と子供たちがふれあう機会が増えれば、来るべき超高齢化社会へ理解ある世代を増やすことになるのではないかと思います。
(p175)
日本の六十五歳以上の人口に占める介護施設やケア付き高齢者住宅の割合は世界の先進国の中では大変少ない水準にある(一〇パーセントのアメリカを筆頭に諸外国は八パーセントを超えているのに、日本は四パーセント)とありましたが、初めて知りました。
最後まで読んでくださってありがとうございました。