おはようございます、ゆまコロです。
夏目漱石『坊ちゃん』を読みました。
初めてこの話を読んだ時、思ったよりも面白かったと感じたのを覚えています。(失礼な言い方ですみません。)
ただ、期待に胸を膨らませて読んでいた「マドンナ」が結局出てこないのと、坊ちゃんが思ったより生徒たちと深く関わらなかったことがちょっと不満でした。
しかし、主人公が自分を可愛がってくれた清(下女)を大事にしているところが好きです。
おれが東京へ着いて下宿へも行かず、革鞄(かばん)を提(さ)げたまま、清や帰ったよと飛び込んだら、あら坊ちゃん、よくまあ、早く帰って来て下さったと涙をぽたぽたと落した。おれもあまり嬉しかったから、もう田舎へは行かない、東京で清とうちを持つんだと言った。
解説で紹介されている留学中の話も面白かったです。
渡英の思い出について、筆者はこう書いています。
倫敦(ロンドン)に住み暮らしたる二年は尤も不愉快の二年なり。余は英国紳士の間にあって群狼に伍する一匹のむく犬の如く、あわれなる生活を営みたり。
この文章を読むまで、夏目先生ほど頭の良い人は、経済的にも精神的にも円満なのかと思っていましたが、鬱積していた様子が伝わってきました。
洋行前から神経衰弱にかかっているし、49年の生涯で5回も胃潰瘍を患い、糖尿病にもなったとのことで、作品だけからでは読みとれない不安定さもあったように思いました。
最後まで読んで下さってありがとうございました。