おはようございます、ゆまコロです。
アーシュラ・K・ル=グウィン、清水真砂子(訳)『こわれた腕環 ゲド戦記Ⅱ』を読みました。
ゲドが影と戦った1巻とは、ずいぶん雰囲気の違う続巻です。
好きなのは、テナーが海を見る場面です。
砂漠も山も、こんなふうに叫びをあげることは決してない。しかし、海は永遠にことばを発しつづける。ただ、そのことばは、テナーには初めて聞く外国語にも等しいもので、彼女は少しも意味がわからなかった。
海に対してこんな発想をしたことはなかったので、新鮮な感じを受けました。
もう一つ、この文章も素敵です。
長い間、捕らえられていた闇の手から、今、自分の心がすっかり自由になっているのを…。だが、彼女はあの山中で覚えたような喜びを、今はどうしても感じることができないでいた。テナーは両腕に顔をうずめて泣きだした。その頬が塩辛くぬれた。彼女は悪の奴隷となっていたずらに費やした歳月を悔やんで泣き、自由ゆえの苦しみに泣いた。
1巻にも上記と似たようなシーンがあった時に思いましたが、このシリーズでは、求めていた自分と対峙した時に、嬉しさと同時に起こる恐怖や苦しさで涙を流す描写が好きです。
安穏とした現状を捨てたアルハ(テナー)が、とても前向きで、勇気を持っている様子がなんだか読んでいて嬉しかったです。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
- 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,ゲイル・ギャラティ,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (14件) を見る