ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ポール・スローン『ポール・スローンの思考力を鍛える30の習慣』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ポール・スローン黒輪篤嗣(訳)『ポール・スローンの思考力を鍛える30の習慣』を読みました。

 

本の帯にレイトン教授が描いてあり、つい手に取ってしまいました。

発想力、記憶力、会話力を伸ばすための30のヒントが書かれています。

 

それぞれの項目を見ていくと、「26 目標を書いて実現をめざす」など、まあ出来そうかな、と思える事柄もあるのですが、最も難しそうだと思ったのはこちら。

 

17 感情知能を伸ばす

 

(前略)感情そのものにはいいも悪いもない。どんな人間にも、いろいろな感情がある。たいせつなのは、感情がわたしたちにどういう影響を及ぼすか、わたしたちの態度や行動をどう変えるかをどう変えるかを分析し、理解することだ。

 感情知能の高い者は、自分や他者の感情を認識し、それを自分のために利用できる。

 

 ひとつの方法としては、 まず近い過去に感じた気分をいくつか書き出し、次にそれぞれの気分からどういう振る舞いや反応が生まれたかをその横に書いてみるとよい。気分と行為の結びつきを見つける作業だ。やりたがらない人も多いが、見返りは大きい。

 たとえば、批判されたとき、腹を立て、その結果、攻撃的になったということが思い出されたとしよう。そうすると気分と振る舞いの結びつきが分かるので、なぜ攻撃的になってしまったのかと反省できる。

 またさらに重要なのは、それによって、将来の対策を講じられるということだ。会議で批判された場面 ――正当な批判もあれば、不当な批判もあるだろう―― を想像し、さまざまな対応のしかたを考えてみることができる。激怒して、相手を罵倒してしまうというようなものまで含め、ありうる展開をいろいろと考えよう。そしてそのなかから最も建設的と思える対応を選び出し、頭のなかでその練習をしよう。

 その後、実際にそういう場面に直面したら、まずはちょっと間を置く。そして気持ちを落ち着かせ、深呼吸をひとつしてから、練習しておいた対応を試みよう。怒りを前向きなエネルギーに変えるということもそこには含まれるかもしれない。

 一流の運動選手は身体的な技能の練習だけでなく、イメージトレーニングも繰り返し行っている。メジャー大会の決勝に進出したときに味わうと思われるあらゆる感情を、イメージトレーニングで感じようとする。そしてその対処のしかたを練習して、本番に備えるためだ。同じことは、わたしたちのふだんの生活でもできる。

 

 自分を説得するということがここでは重要だ。どういう展開がありうるかを自分に説いて聞かせ、よりよい振る舞いや対応をするよう自分を導く。

 たとえば、「次に批判されたときは、黙って耳を傾け、そのなかに肯定的、建設的な要素を見つけ出そう。相手の意見から学ぶことはできる。相手を攻撃しない。指摘してくれたことに感謝しよう」というように。

 

 信頼の置ける人物、たとえばコーチや、メンターや、友人や、妻や夫などに、自分の感情や反応を話すのも、人によっては役に立つ。

 自分がどう感じたか、そのせいでどう振る舞ったかを正直に、ありのままに話すことができれば、話す行為そのものがカタルシスをもたらしてくれる。(p135)

 

 

気分から自分の反応を振り返る作業は、確かにちょっと億劫な気がします。しかし、そのあとの、批判から感謝へ持っていくやり方は、出来る自信がありません。

 

逆に、共感した箇所は、「13 言葉で考える力を伸ばす」の章の、「知らない言葉を逃さない」というところです。

 

 

知らない言葉に出会ったら、必ず、辞書を引いて、意味や用法などを調べよう。

 知らない言葉を飛ばして、読み進めるのは簡単だ。だから新しい言葉を覚えるこのチャンスを逃したくなかったら、意識して辞書を引く必要がある。

 

(中略)語彙が増えてきたら、適切な文脈のなかで、新しく知った言葉を使ってみよう。そうすることで忘れにくくなる。

 ただ日常生活で、むずかしい抽象的な言い回しを多用するのは、よくない。気取っているように見えたり、偉ぶっているように見えたりする。ふさわしい場面で、正しい意味で使えてはじめて、語彙の豊かさはあなたの力となる。

 語彙が増えることには、知的水準の高い文章を読めるようになるという二次的な利点もある。文章の書き方についての本は多数出版されているので、自分に合ったものを見つけよう。原則としては、書くときも、話すときも、簡潔さを心がけるべきだ。とはいえ、正確な意味を伝えるために必要なら、非日常的な言葉もためらわずに使ってかまわない。(p98)

 

 

脳トレの本として使うにはあまり具体的ではないですが、読み物としては面白かったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

ポール・スローンの思考力を鍛える30の習慣

ポール・スローンの思考力を鍛える30の習慣