ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

クリスチャン・ボルタンスキー展に行ってきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

国立新美術館(東京・乃木坂)で開催中の、

クリスチャン・ボルタンスキー展に行ってきました。

 

会期が始まって1ヶ月ほど経った後の平日、朝一で行ってきました。

国立新美術館の2階の展示室です。

 

開館の25分前くらいに到着して、まだ待っている人はいませんでした。(開館時間の10時近くになって、後ろに4人ほど並んでいました。)

 

ゆったりした展示で、見て回るには歩きやすくて良かったです。(平日だったからかも知れません。)

 

この展示の中で私が気に入ったのは、「アニミタス(白)」という映像作品です。

カナダ北部の雪原に、風鈴のようなものが無数に立っている様子が映っています。(映像からは、雪が積もっているのは分かりますが、場所は判然としません。出品リストでカナダと知りました。)

見学者の席と、スクリーンの間には、丸めたティッシュのようなものがたくさん置いてあります。

椅子に座って風鈴(?)が風に揺れる映像を見ていると、ここで何を考えていいのかよく分からなくなるような、不思議な気分になってきます。

 

もう一つ、同じ部屋にある「発言する」という作品も、強く印象に残りました。

黒い服を着た人形の前に立つと、それぞれ、

 

<自分自身の死について、そして死後の世界へはどうやってたどり着くのか>

(出品リストより)

 

ということを聞いてきます。喋るセリフは異なっているのですが、人形をめぐって話を聞いていると、だんだん怖くなってきます。

 

ただ、作品には解説板もないので、今見ている作品のタイトルなどが知りたい時は、入口で渡される地図と出品リストを頼りに探す必要があります。(新聞サイズなので、開いて見つけるのがちょっと大変です。)

 

今回の展覧会のクリスチャン・ボルタンスキーさんは、1944年9月21日にパリで生まれた現代アーティストです。

 

彼についてネットで調べている時に、気になるインタヴューを見つけました。

 

 

ーーあなた(=ボルタンスキー)はよく、「(作品を通じて)問いを発することが重要だ」とおっしゃっています。でもそれは簡単なことではありません。あなたはどうして問いを発し続けることができたのですか?

 

 この世界はとても残酷です。私は信仰を持っていませんが、我々の上に何かしらの「力」が存在するのだとすれば、その「力」はなぜ恐ろしいことが起こるのを認めているのでしょうか? 真理を追求するのは、人間の精神の一部だと思います。それぞれの個人が、なぜこんなにも恐ろしいことがたくさんあるのか、なぜ死があるのかを理解したがっている。

 

 私にも答えはありません。むしろ「答えを知っている」という人は危険だと思います。なぜならばそれを他人に強いろうとするからです。人間であるということは答えを探すということ。ユダヤ教では「赤ちゃんはすべての答えを持っている」と言われています。胎児はすべてを知っていますが、生まれると天使が来て、すべてを忘れてしまう。そして一生をかけて、そのお腹の中で知っていたことを思い出そうとするのです。この言い伝えーーすべての胎児がすべての知識を持っているという話が私は好きです。

 

ーー死ぬときにも答えは見つからないかもしれませんね。

 

 答えに近づくかもしれませんが、見つかることはないと思います。

 

 

 

bijutsutecho.com

 

 

展示を見ている時、なぜか(まだ実際に行ったことはないのですが、)アウシュヴィッツなどの強制収容所のことを考えていました。

作品の多くが、他人の人生や、誰かの不在について考えさせられる内容だったからかもしれません。

 

帰ってきてからウィキペディアの彼のページを見ると、おいたちについてこのように紹介されていました。

「1944年にナチス占領下のパリで生まれる。

父親は改宗ユダヤ人であったため、フランス人の母親と離婚して家を出て行ったように偽装し、家の床下に隠れ住んでいた。

終戦後母親やその友人から聞かされた強制収容所の話を含むこれらの経験がボルタンスキーのトラウマとなり、後年の作品制作に影響することとなる。」

 

ちなみに展覧会はズジスワフ・ベクシンスキーポーランドの画家)の作品が好きな人と行きました。作品の雰囲気はちょっとベクシンスキーと似ているような気もします。

 

東京・乃木坂の国立新美術館にて開催中~2019年9月2日(月)まで。

 

boltanski2019.exhibit.jp

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

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