こんにちは、ゆまコロです。
エーリッヒ・ケストナー、植田敏郎(訳)『飛ぶ教室』を読みました。
何年か前に読もうとして、途中で挫折した本です。やっと読破しました。
タイトルの『飛ぶ教室』とは、作中に出てくるクリスマス劇のタイトルです。
こんなに登場人物が少ないのに、なぜか誰が誰だったか途中でこんがらがってしまいます。
主要な五人組の覚え書きです。
- マルチン …クラス一の秀才。絵を描くのも上手。
- ジョニー(ヨナタン・トロット)…4歳の時に父親に捨てられる過去を持つ。
- マチアス …喧嘩が強い。
- ウリー …作中で弱虫を克服する。
- セバスチアン …頭が良い。難解な本を読んでいる。
物語が面白くなるのは、ベック先生が昔話を始める辺りからです。
両親が交通費を捻出できず、クリスマス休暇に帰省できないマルチンが、先生と話をする場面が切ないです。
「きみに戻ってきてほしいと思っている。そして君も帰りたいと思っている。それなのにきみは、ここに残ろうとしている。一体どういうことかね。」
「先生、それはぼく、 言いたくありません。ぼく、むこうへいってもいいですか。」
一方、マルチンのいないクリスマスをどうするかを話す両親の描写も上手だなと思いました。
「作品が書かれた1933年当時、ドイツはナチスの支配下にあり、自由主義の作家は本を書くことを制限されていた。しかし、ケストナーの児童文学作品は人気があり、優れていたことから、児童文学作品のみ書くことを許され、発行に至った。 」(ウィキペディアより)
とありますが、ケストナーは子どもの心情や、彼らの世界で起こりうる問題と、それに対する解決策を分かりやすく描くことに長けていると感じました。
古さを感じさせないお話です。
最後まで読んで下さってありがとうございました。