ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

ポール・ギャリコ『雪のひとひら』

おはようございます、ゆまコロです。

 

ポール・ギャリコ矢川澄子(訳)『雪のひとひら』を読みました。

 

作者は、ニューヨーク生まれの小説家です。

雪の結晶の発生から消滅までをたどる、絵本のようなお話ですが、この物語が「女性の一生」を表していると聞くと、なんだか複雑な感情が湧いてきます。

 

全体的に平和な印象なのですが、水車や火事の様子はちょっと心穏やかではいられません。

主人公・雪のひとひらが神様ともいえる存在に感謝し、拠り所として生きる描写は、プロテスタントとしての作者の宗教観が少し見えるようです。日本人にはなかなか描きにくそうな表現だと思いました。

 

雨のしずくが消えていく場面が悲しく、大事なものを失うということは人生において必然なのだな、と思えます。

 

それだけに、自らの死を目前にした雪のひとひらが恐怖を抱く場面は、一番リアルに感じられました。

ラストの言葉が印象的です。

 

「ごくろうさまだった、小さな雪のひとひら

さあ、ようこそお帰り」

 

"Well done, Little Snowflake.

Come home to me now." 

 

優しくて、何とも言えない重みがあります。

  

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

雪のひとひら (新潮文庫)

雪のひとひら (新潮文庫)