おはようございます、ゆまコロです。
ポール・ギャリコ、矢川澄子(訳)『雪のひとひら』を読みました。
作者は、ニューヨーク生まれの小説家です。
雪の結晶の発生から消滅までをたどる、絵本のようなお話ですが、この物語が「女性の一生」を表していると聞くと、なんだか複雑な感情が湧いてきます。
全体的に平和な印象なのですが、水車や火事の様子はちょっと心穏やかではいられません。
主人公・雪のひとひらが神様ともいえる存在に感謝し、拠り所として生きる描写は、プロテスタントとしての作者の宗教観が少し見えるようです。日本人にはなかなか描きにくそうな表現だと思いました。
雨のしずくが消えていく場面が悲しく、大事なものを失うということは人生において必然なのだな、と思えます。
それだけに、自らの死を目前にした雪のひとひらが恐怖を抱く場面は、一番リアルに感じられました。
ラストの言葉が印象的です。
「ごくろうさまだった、小さな雪のひとひら。
さあ、ようこそお帰り」
"Well done, Little Snowflake.
Come home to me now."
優しくて、何とも言えない重みがあります。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
- 作者: ポールギャリコ,Paul Gallico,矢川澄子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/11/27
- メディア: 文庫
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