ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

サイモン・ゴドウィン演出『ハムレット』を観てきました。

おはようございます、ゆまコロです。

 

サイモン・ゴドウィン演出『ハムレット』を観てきました。主演は岡田将生さん、ヒロインは黒木華さん。

 

2019年の1月にチケットを申し込んで、ようやくの観劇です。

以下、心を揺さぶられた場面や、面白いと感じたところを書いていきます。

 

●女性が多くて良い。

城壁に立つ見張りの声から始まるこの劇ですが、第一声が女性の声だったのが、緊張感があって良かったです。ギルデンスターン(ハムレットの旧友)とコーネリア(廷臣)も女性だったのが新鮮でした。

日経にも書かれていましたが、このことがより現代らしさを出しているように思います。

 

●舞台装置がすごい。

 日経新聞でも好意的に書かれていました(2019年5月17日夕刊)が、背景となる装置が面白いです。丸いターンテーブル(回り舞台というらしい。中華料理屋さんのテーブルみたいなの。)に乗ったセットが、三分割されていて、場面が変わるごとに移動(回転)します。

 パターンは、1,玄関 2,書斎 3,寝室 なのですが、その場面場面によって、謁見の間になったり、お城の城壁になったりします。木造建築みたいなのが北欧ぽくって可愛いです。

 登場人物は屋根部分で話すハムレットと亡霊(ハムレットのお父さん)だけだけど、下の部分ではお父さんの回想シーンになっていたりして、ちょっと映画みたいで、視覚的にも分かりやすかったです。

 

●衣装が面白い。

 ハムレットのフォーマルな印象の衣装が、物語が進むにしたがって、だんだん崩れた印象になっていくのが面白いなと思いました。着ている物は、どの人物もほぼ現代的な感じです。最後の決闘シーンは本当にフェンシングの恰好なので、見ているこちらも何となく気が引き締まります。(結果に何ら影響しないけど。)

 それとオフィーリアの最初のワンピースが可愛いです。黒木華さんは近くで見ると本当に細く、物語後半でオフィーリアが発狂すると狂気と脆さが際立っていました。

 

松雪泰子さんがすごい。

 王妃ガートルード(ハムレットのお母さん)の役なのですが、今回のお芝居で最も目を惹いていたように感じました。(あくまでも個人的な意見です。)

 おじさんたちのセリフが何となくもごもごしているな、という印象が時々気になる中、松雪さんの声はとても聴きとりやすかったです。

 ややもすれば息子の狂気(のフリ)の演技に押されたり、王宮に押し入る暴徒にイライラしたり、発狂したオフィーリアを持て余りたりしちゃいそうな難しい役だと思うのですが、堂々としていてまぶしかったです。それでいて、再婚相手(クローディアス。ハムレットの叔父)や息子ハムレットの愛情がいつも感じられる優しい演技だと思いました。

 

●親友との裏設定がすごい。

 自らの死に向かって突き進んでいく物語である主人公にとって、親友ホレイシオの存在は気を許せる間柄というか、素の状態に戻れる貴重な友人だと思うので、戯曲を読んでいてもお芝居を観ていても、ホレイシオが出てくるとほっとします。

 

なのですが…、パンフレットにある対談を読んで、衝撃的だったのがこちら。

 

村上(虹郎さん)フォーティンブラス役:ホレイシオって真摯に人の話を聞いてあげる、真面目ないいヤツですよね。ハムレットに対する野心、猜疑心みたいなものってあるんですか?

 

竪山(隼太さん)ホレイシオ役:う~ん、唯一、「ギルデンスターンとローゼンクランツは死んだ」と知った時に、ほんのちょっとジリッとなるくらいかなあ。でも基本的には…。

 

岡田(将生さん)ハムレット役:ないよ!

 

村上:ハムレットに言われた(笑)。

 

黒木(華さん)オフィーリア役:そう、ハムレットとホレイシオ、岡田さんと竪山さんが、何かすごくわかり合えている雰囲気があるんですよ。

 

岡田:2人の間で、ある事実関係を作っていったんだよね。実はもう1人、仲のいい友達がいた、と。

 

竪山:僕らは大学で3人組だった、という設定にして。“インファクト” っていって、「事実を5つ述べよ」といったワークショップみたいなものが最初のスタートだったんですけど、その時に、一緒に作ったんですよね。

 

岡田:そう、僕らに共通するもう1人の友人を決めて…、ここで名前は出せないけど(笑)、その人はすでに死んでしまっている、という設定にしちゃって。(一同笑)

 

竪山:その友達が死んだという悲しみを共有すれば、僕ら2人の結びつきが強くなるよね、と話したんです。

シアターコクーンのプログラムより)

 

このワークショップが面白そう、と思ったのもそうなのですが、なにその設定、めっちゃ読みたい(笑)

パンフレットのこのページを読んだ時、身もだえしすぎてそれからなかなか眠れませんでした。

 

観たばかりでまだ頭の大部分がハムレットのことで占められています。

魅力をお伝えするのはなかなか難しいですが、シェイクスピア作品のファンが増えるといいなあと思いながら帰路につきました。

 

東京都渋谷のシアターコクーンにて 2019年6月2日(日)まで。

2019年6月7日~6月11日に大阪公演もあります。

https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/19_hamlet.html

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

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