おはようございます、ゆまコロです。
東野圭吾『手紙』を読みました。
会社の人と、泣ける本について話していた時、「これも泣けるよー」と言って貸してくれました。
お兄さんが自分のために罪を犯し、刑務所に入ったら、弟の生活はどうなるのか?というお話です。
本来であれば仲の良い兄弟であったと思われるのに、兄の犯した罪によって、当然のように二人の間には大きな隔たりが生じてきます。
印象的なのが、弟が音楽に夢中になりながらも、兄のせいでその道が閉ざされそうになる場面です。
「同情じゃねえよ。おまえが刑務所に 入れられるわけじゃないんだろ。おまえのことを同情してどうすんだよ。兄貴が刑務所に入ってたら弟は音楽をやっちゃいけないっていう法律でもあるのかよ。そんなものないだろ。気にすることないじゃないか」
むきになって語る寺尾の顔を直貴は見返した。こんなふうにいってくれることは涙が出るほどうれしかった。だが彼の言葉をそのまま受け取るわけにはいかなかった。
刑務所にいる兄の存在は、弟の人生の思いもよらぬところで、たびたびネックとなり、そのたびに物語はこじれていきます。
しかし、こんなに頭の良い主人公なら、自分の存在が刑務所にいる兄にとって拠り所となっていることは分かりそうなのになあ、とやきもきしながら読みました。
余談ですが…。
瑣末なところなのですが、主人公が彼女との間に、合意なしで子どもを授かろうとする場面を読んだ時に、なんかこの手法どこかで見たことがある、と思って引っかかっていたのですが、どこで見たのか思い出せないまま物語が終わってしまいました。
本書を貸してくれた同僚に聞いてみたくなったのですが、この細かいディテールについて触れると、なんだか微妙な空気が流れそうなので自重しました。
思い出せなくて気持ちが悪いので、つい書いてしまいました。
最後まで読んで下さってありがとうございました。