ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

レイチェル・サイモン『妹とバスに乗って』

おはようございます、ゆまコロです。

 

レイチェル・サイモン、幾島幸子(訳)『妹とバスに乗って』を読みました。

 

姉のレイチェルは39歳。知的障害を持つ妹ベスは38歳。妹は生活保護を受けて暮らしています。路線バスに乗るのが趣味の妹に合わせ、ある時から姉も一緒にバスに乗るようになり、成功がすべてと考えていたレイチェルの考え方に変化が現れます。

 

今は離れて暮らし、あまり連絡も取り合っていない二人でしたが、子供の頃のお姉さんの思い出が印象深いです。

 

「私のまわりの生徒たちは皆口をつぐみ、よそよそしく歩調を速める。彼らにとって、べスのクラスの子どもたちは自分とはちがう存在なのだ―—それも良い意味ではなく。

 

 私とベスは目を合わせる。私がそっと手を振ると、ベスはかすかに微笑み返す。このときの気持ちがたまらなく嫌だ。「ハーイ、ベス!」と大声で叫べたらどんなにいいだろう。みんながベスと私のほうをふり向いて、別々に見えるこの二つの世界が本当は別々なんかじゃないことをわかってくれたら…。でもやっぱり、肩が触れそうになるぐらいの距離ですれ違っても、私は叫ばない。ただ黙って人の流れに身をまかせる。喉に熱いものがこみあげてくるけれど、何も口に出さず、教室に入っていく。裏切り者の気分にさいなまれ、自分を含めたあらゆる人に対する嫌悪感でいっぱいになりながら。」

 

レイチェルの感じたこの居心地の悪さは、経験したことのない自分にも、なんとなく想像が出来ました。それだけに、大人になってから妹と一緒に過ごすことによって、レイチェルが変わっていく様子は嬉しかったです。

 

レイチェルとベスを含め、計四人の子どもを抱えて離婚した、彼女たちの母親は、さぞ大変だったろうなと思いました。忍耐強い父親も偉いと思います。

 

これが実話というのに驚きました。面白かったです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

妹とバスに乗って

妹とバスに乗って