ニジタツ読書

マイペース会社員のゆるふわ書評。なるべく良いところを汲み取ろうとする、やや甘口なブックレビューです。

マヌエル・リバス『蝶の舌』

おはようございます、ゆまコロです。

 

マヌエル・リバス、野谷文昭・熊倉靖子(訳)『蝶の舌』を読みました。

 

この本は、本当はガリシア語(ガリシアとは、スペインの一地方)で書かれているとのことです。

 

短編集なのですが、ちょっと良い出来事があって、そのあと嫌な出来事が起きて終わる、というパターンが多かったです。(短編って、そういうものなのでしょうか。)

いずれにせよ、スペインの話は、暑い日に読むとぴったりな気がします。

 

本のタイトルにもなっている話は、スペイン内戦によって第二共和政が崩壊する直前の時期に、小学校でアナーキストの教師から自由な教育を受けて成長する、モンチョという少年の話です。

この話が一番好きです。

 

「ある日、グレゴリオ先生が蝶を探しに行こうと僕を迎えに来たとき、もしさしつかえなければ服のサイズを測らせてほしい、と父は言った。

 

「服?」

 

グレゴリオ先生、悪くとらないでください。先生にお礼がしたいのです。私にできるのは服を仕立てることなんです」

 

先生は戸惑い、あたりを見回した。

 

「私の仕事です」

 

父は微笑みながら言った。

 

「私はすべての職業に敬意を表します」

 

先生は最後に言った。

 

グレゴリオ先生は一年間その服を着ていた。そして一九三六年七月のあの日もそれを着ていた。」

(La lengua de las mariposas (「蝶の舌」))

 

1年その服を着ているってすごいな。

でもなんだかホンワカしました。

映画にもなっているようです。

 

最後まで読んで下さってありがとうございました。

 

蝶の舌 (BOOK PLUS)

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